芦屋市の相続税申告の特徴
令和元年の相続税申告状況のデータによると、芦屋市における申告割合は23.07%、課税割合は18.26%です。
全国平均の申告割合10.71%、課税割合8.35%と比較すると倍以上の数値となっており、東京都23区に匹敵します。
また、1件当たり納税額も、全国平均1,714万円に対して2,524万円と高額です。
芦屋市の最大の特徴は、市街化区域の9割以上が住宅地として活用されているという点です。さらに、その住宅地は超高級住宅地の代名詞といえるほど、確固たるブランドとして全国的に名高く、富裕層を超える超富裕層が数多く居住しています。
相続税の課税対象になる人が他の地域に比べて多い市であることから、当然ともいえる相続税申告状況です。
地価も1㎡あたり35万円となっており、神戸市を抑えての県内1位です。
芦屋市は、桁違いの富裕層が多い、地価が高いという相続税が発生しやすい条件が揃っており、全国においても相続税が課税されやすい要注意エリアになります。
芦屋市には行政区がないため、北部、中部、南部に分けてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
2.芦屋市北部エリア
地図を見ると分かるように、芦屋市の北部は一面が六甲山地の山々となっています。その自然に囲まれるように「奥池町」、「奥池南町」があります。
その環境から田舎の住宅地のように見えますが、芦屋ブランドそのものの高級住宅街であり、芦屋市を代表するエリアの1つです。厳しい豪邸条例が設けられているため、住宅街でありながら自然環境が守られた美しい街並みとなっており、企業の保養所や、有名人の別荘も多く建てられています。
地価についてはその立地からして高くはなく、芦屋市の最下位となっていますが、このエリアの相続税課税の大前提は超富裕層であることから、自宅以外にも多くの財産を所有しているはずで、地価の低さの影響は小さいと考えられます。
3.芦屋市中部エリア
基本的に芦屋市は阪急電鉄に近い北側に高級住宅街が多く、阪神電鉄が近い海側は一般の人でも手が出しやすいマンションや住宅が建ち並んでいます。したがって、中部は、高級住宅街と庶民の街が入り混じっているエリアになります。
相続税に関係するとなると高級住宅街ですが、中部エリアでは「平田町」や「松浜町」、「朝日が丘町」や「六麓荘町」が超高級住宅街になります。特に六麓荘町は、「これが住宅街?」というほど広い敷地に大きなお屋敷が建ち並ぶ限られた人しか住めない異世界で、芦屋市のヒエラルキーのトップに君臨しています。六麓荘町に家を建てる場合、最低でも7億必要だそうです。
芦屋市の高い課税割合と納付税額は、北部と中部が中心となっていると考えられます。
4.芦屋市南部エリア
「芦屋市=高級住宅街、お金持ちの街」というブランドイメージがどうしても先行してしまいますが、阪神電鉄が通っている南部エリアは、マンションや普通サイズの戸建て、スーパー、コンビニなど、比較的普通の街の景観が広がっています。
海側の新しい埋立地である芦屋浜のニュータウンにはおしゃれな家と、近代的な超高層マンションが建ち並んでいます。
埋立地であることから「ニセ芦屋」とマイナスな呼ばれ方をすることもあるようですが、整然とした街区に人工海岸のある綺麗な街並みにはファンも多く、芦屋マリーナには高級クルーザーが並んでいます。自宅前に船を係留している大きな邸宅も増えており、南部エリアは新たに芦屋ブランドとなっていくであろう様相を呈しています。
今後、富裕層の増加によって、相続税の発生もさらに増えていくと考えられます。
5.芦屋市の税理士情報
芦屋市の税理士は近畿税理士会の芦屋支部に所属しています。芦屋支部は芦屋市と神戸市東灘区が所属範囲となっており、登録している税理士約190人から構成されています。
そのうち芦屋市の税理士数は、令和3年11月15日現在において86人です。
芦屋市と神戸市東灘区を管轄する芦屋税務署の相続税申告件数は614件となっていることから、税理士1人あたりの件数は約3.23件になります。全国平均は約1.9件であることから考えると、芦屋市の税理士は非常に不足している状況です。
芦屋市は富裕層が多く、相続税の課税割合、納付税額ともに高いことを前述しました。税理士の需要が非常に高いエリアであるにも関わらず、不足しているという事実は不安に感じます。
ただ、芦屋市の立地を考えてみましょう。西側には神戸市が隣接し、東側の2市を挟んで大阪府があります。税理士の多い都市部に囲まれている点から、税理士の不足は重要視せずとも良いでしょう。
超富裕層が所有する財産の種類は多岐に渡り、その評価計算はもちろんのこと、生前の相続税対策を行うにあたっても、非常に難易度が高いことが予想されます。
芦屋市の税理士は、この難しい相続税申告を少ない人数でこなしていることになるため、相続税に強い優秀な税理士が多い可能性が高いでしょう。
相続税の申告を地元芦屋市の税理士に依頼したい場合は、できるだけ早いうちから探しましょう。費用面の問題がない場合には、40、50代のうちから顧問税理士契約を行い、優秀な税理士を確保しておくことをおすすめします。生涯にわたって様々な提案を受けることができ、さらに長年のあらゆる情報を得ている税理士は申告手続きもスムーズに進められるでしょう。
【参考サイト】近畿税理士会、近畿税理士会芦屋支部公式ページ