1．松原市の相続税申告の特徴

松原市は大阪府のちょうど中央に位置しており、「大阪のへそ」とも呼ばれています。

大阪市と堺市に挟まれた立地にから、人気のベッドタウンとして高い需要があり、高級住宅街も複数あることから相続税課税の多さが伺えます。

今回は、そんな松原市の相続税申告について詳しく解説していきます。

1-1．松原市の相続税申告状況

令和元年の相続税申告状況のデータによると、松原市を管轄している八尾税務署、大阪府、全国における相続税申告状況は次の通りとなっています。

1-2．八尾税務署エリアの課税割合は非常に高い

八尾税務署の課税割合は、全国と大阪府の平均値を1％弱上回っています。

大阪府の課税割合8.40%は、全国47都道府県のランキングおいて12位と、相続税の課税が多い都道府県の1つに挙げられます。

八尾税務署の9.13%は、大阪府全体の課税割合を引き上げる位置にあることから、このエリアは、大阪府の中でも相続税の課税に注意しなければならないエリアであることが分かります。

1-3．松原市のみの課税割合は八尾市の次に高いと推定される

八尾税務署は松原市、八尾市、柏原市を管轄しており、上記の数値は3市の平均値となっています。

この3市は、いずれも大阪市や堺市のベッドタウンとして機能している都市ですが、松原市と八尾市は富裕層も居住しているエリアになります。特に、八尾市は高級住宅街もあることから超富裕層も居住しているでしょう。

他方、柏原市については他の2市とは少し街の雰囲気が異なっており、高級住宅街はなく、一般的な住宅地が広がっています。

3市の立地を見ても、柏原市だけ大阪市から離れていることから、相続税が課税される可能性があるのは松原市と八尾市であると考えられますが、高級感がより強いのは八尾市であることから、松原市は八尾市次に位置することになるでしょう。

2．松原市の特徴

松原市は面積約16.66㎢、人口は約11万人の中規模な街です。

市内のほとんどが平坦地であるため、全域が住宅地として活用されています。高齢者や自転車などでの生活がしやすく、自然災害が非常に少ないのが特徴です。

古くから交通の要所として栄え、河内松原駅から大阪市中心部まではわずか10分という便利さです。

駅周辺には、役所などの公共施設をはじめ、病院や学校、スーパーなどの商業施設が揃っており、市内のみで日常生活を送ることができます。

それでは、松原市の特徴とそれが相続税課税へどのように影響しているのかを詳しく見ていきましょう。

2-1．松原市内どこにいても好アクセスな都市

松原市内には、近畿日本鉄道が北西部から東にかけてL字に走り、4つの駅があります。

道路は、近畿自動車道、阪神高速松原線、阪和自動車道、西名阪自動車道と4つの高速道路が通っており、国道も張り巡らされているため、どこに住んでいてもアクセスが良いのが特徴です。

ただ、鉄道が1本しかないため、沿線以外に居住する場合には車が必要になるでしょう。

2-2．松原市の中心駅は河内松原駅・商業は河内天美駅

松原市の中心駅は市の中央部にある河内松原駅で、1日に約3万人が利用する近鉄南大阪線の主要駅となっています。

大きなショッピングモールがあるような大きな駅ではなく、見た目はローカル駅という感じで賑わってはいません。

周辺に高層マンションなどもなく、戸建て住宅がメインとなっています。

商業施設や商店街などが多いのは、大阪市側にある河内天美駅周辺で、マンションも林立しています。

閑静な暮らしというよりは、とにかく交通利便性を重要視している人が多く居住しているでしょう。

2-3．マイホームの相場は比較的低め

松原市は優れた立地の割にマイホームを求めやすいことで知られており、戸建て新築住宅の相場は3,000万円弱となっています。一般的なサラリーマンの年収でも十分に購入できる金額です。

次項で解説する高級住宅街エリア以外では、相続税課税は少ないと考えられます。

2-4．富裕層が多いのは市南部

松原市で富裕層が多く居住するエリアは、柴垣、松ヶ丘、大堀、若林となっており、河内松原駅からさらに南部、藤井寺市側にあります。

これらのエリアでの戸建ての相場は4,000万円台となっており、他のエリアより1,000万円程高くなります。

高級住宅街とまではいきませんが、自然と富裕層が集まるエリアといえ、松原市の相続税が課税される可能性があるエリアです。

2-5．松原市の地価

松原市の平均地価は1㎡あたり11万5,891円で、大阪府全43位中20位の金額となっています。

なお、八尾市は13万円で16位、柏原市は9万円で25位となっており、3市がほぼ等間隔でならんでいます。地価から考えても、3市での相続税の課税の中心地は八尾市で間違いないでしょう。

市内で最も地価が高いエリアは商業地である河内天美駅周辺で、1㎡あたり12万円となっています。2位は3,000円の差で河内松原駅です。

松原市では松原市天美東土地区画整理事業が進められており、河内天美駅から500メートルほどにある天美東には、大規模ショッピングモール「セブンパーク天美」が2021年に開業したばかりとなっています。

地価変動が著しいエリアであり、一部地点における17万円という金額の地価変動率はプラス4.68%にもなります。

近辺の土地やマンションを所有している人は、相続税評価額の動きに注意しましょう。

反対に最も地価が低いエリアは藤井寺市側にある恵我ノ荘駅周辺で、1㎡あたり9万円となっています。

松原市は全域が住宅街となっており、地点による地価の差は大きくありません。

不動産課税については、河内松原駅周辺の高級住宅街と、河内天美駅周辺の地価変動が著しい地点以外はそれほど心配する必要はないでしょう。

3．松原市の税理士情報

全国には80,163人（令和4年3月末日時点）の税理士がおり、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県の近畿2府4県の税理士が所属する近畿税理士会には、その2割近くにもなる15,219人がいます。

そして、松原市、八尾市、柏原市を管轄している近畿税理士会八尾支部には83人が所属しており、内訳は次の通りとなっています。

八尾税務署の令和元年における相続税申告件数は556件であったことから、税理士1人あたりの相続税申告数は0.14件となり、大阪府全体の0.95件（日本税理士会連合会　平成30年5月発行税理士界）と比較すると、びっくりするほど少ない結果となっています。

ただ、隣接している大阪市には5,000人を超える税理士がいるため、過度な心配は不要です。

それでは最後に、松原市での税理士探しについて解説します。

3-1．松原市の税理士はわずか17人

約11万人の人が生活している松原市ですが、税理士はわずか17人しかいません。

これは松原市の税理士環境が悪い云々という問題ではなく、単に大阪市と堺市に隣接していることが大きな理由です。

松原市がサラリーマンのベッドタウンとなっていることと同様に、松原市に居住している税理士も、都心部に事務所を構えた方が仕事を得る機会が多いからです。

よって、相続税に強い税理士は大阪市や堺市に流れている可能性が高く、市内にいたとしても、激しい取り合いになるでしょう。

3-2．松原市の税理士探しは大阪市で

5,000人を超える税理士を擁する大阪市には、数多くの高級住宅街があり、大阪府の超富裕層が居住しています。

他市では考えられないような高額で複雑な相続税申告が多発することが考えられるため、相続税に強い税理士の数も多いことが容易に推測できます。

そのような税理士探しにうってつけの環境が、松原市からわずか10分程度の場所にあるとは非常にラッキーなことです。その立地を存分に生かしましょう。

3-3．堺市は程良い規模感

大阪市と同じく松原市に隣接している堺市には、371人の税理士がいます。

大阪第二の都市であり、超富裕層も数多く居住している堺市には、相続税に強い税理士も十分な数がいます。

「5,000人もいる中から選べない。」、「大阪トップクラスの税理士に依頼するまでもない。」などという場合には、堺市が探しやすいでしょう。

【参考サイト】「税理士登録者数 」| 日本税理士会連合会、近畿税理士会HP、近畿税理士会　八尾支部HP