1．富田林市の相続税申告の特徴

富田林市は大阪府の南東部に位置し、大阪都心部のベッドタウンとして発展しています。

清流、石川が南北に流れ、南部は金剛・葛城連峰を背景に緑豊かな丘陵と美しい田園風景が広がり、寺内町には歴史的に貴重な町並みが残されており、自然と歴史が共存した穏やかな時間を過ごせる街となっています。

今まさに開発途中の街であり、新興住宅地がどんどんと広がっています。高級住宅街も複数あるため、相続の税課税が多く起こっている都市であると予想されます。

今回は、富田林市の相続税申告について詳しく解説していきます。

1-1．富田林市の相続税申告状況

令和元年の相続税申告状況のデータによると、富田林市を管轄している富田林税務署、大阪府、全国における相続税申告状況は次の通りとなっています。

1-2．全国平均と同等は相続税課税が起こりやすいエリア

富田林税務署の課税割合は、全国と大阪府の平均値とほぼ同じ数値となっています。

全国平均と同じなら、相続税課税への注意度も全国の中盤程度かなと思いがちです。しかし、全国平均8.35％は、東京都や愛知県などの非常に高い数値の県が底上げしている結果であり、全国平均の数値自体は、課税割合の全国47都道府県ランキングに当てはめると13位にあたります。

富田林税務署の8.40%は同ランキングにおいて12位にあたることから、相続税課税に要注意エリアであることが分かります。

1-3．納付税額は非常に高い

富田林税務署の相続1件当たりの納付税額は2,263万円となっており、全国と大阪府平均を大きく上回っています。

納付税額の全国47都道府県ランキングでは、東京都の3,029万円を除き、他の都道府県の納付税額が2,000万円を超えることがないことから、2,000万円を超えている時点で非常に高い納付税額であることがお分かりいただけると思います。

富田林税務署エリアは、課税割合が高く、発生する相続税額も高額になりやすいため、相続税については大きな注意が必要なエリアになります。

1-4．富田林市の課税割合・納付税額はまだ高い可能性

富田林税務署は富田林市、河内長野市、羽曳野市、藤井寺市、大阪狭山市、河南町、太子町、 千早赤阪村の5市2町1村を管轄しており、管轄エリアが非常に多いのが特徴です。

5市はいずれもベッドタウンで、藤井寺市、大阪狭山市については高級住宅街があることで知られているブランドのあるエリアです。相続税が課税されているのは主にこの2市でしょう。

反対に2町1村については、地価が2、3万円の田舎エリアになるため、相続税が課税されることは少ないと考えられます。

これらの2町1村が平均値を下げていること、富田林市にも高級住宅街があることなどから、富田林市のみの課税割合や納付税額は、富田林税務署の数値より高い可能性があります。

2．富田林市の特徴

富田林市は面積約39.72㎢、人口約10万人の街です。

全域に住宅地が広っており、富田林市と大阪狭山市をまたがる西部の丘陵エリアには「金剛ニュータウン」があり、約1万8,000人が暮らしています。

都市近郊農業が盛んに行われ、なすときゅうりは府内ナンバー1の生産量を誇ります。

金剛山麓や富田林で採れる良質な竹を生かした優雅で格調高い「大阪金剛簾」は、大阪の伝統工芸品となっています。

それでは、富田林市の特徴とそれが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。

2-1．富田林市の金剛ニュータウン

金剛ニュータウンは、戦後の高度経済成長期に都心部の人口増加対策のために開発されました。

富田林市の久野喜台、寺池台、高辺台、五軒家、加太、青葉丘、新青葉丘、金剛伏山台、金剛錦織台、大阪狭山市の金剛が金剛ニュータウンに当てはまります。

千里ニュータウンや泉北ニュータウンなど、周辺にもニュータウンが続々と開発されていたため、それらを参考にしながら計画的に開発が進めることができ、環境水準の高いニュータウンとなっています。

富裕層も多く居住していることや、開発から60年以上経過しているため、住民の多くが相続の発生しやすい年代になっていることなどから、市内でも相続税が課税される可能性が高いエリアであると考えられます。

2-2．富田林市には高級住宅街が多数存在

金剛ニュータウンにある新青葉丘、金剛伏山台や、南旭ケ丘町、梅の里、不動ケ丘町、小金台、津々山台などは富裕層が多く居住するエリアとなっています。

特に、梅の里4丁目、新青葉丘町、小金台1丁目は超富裕層が居住する高級住宅街です。

2-3．富田林市は教育レベルが高い

富裕層が多いエリアの特徴の1つに、子供の教育レベルが高いことが挙げられます。

富田林市はＩＣＴを活用した学習指導など、学校教育に力を入れており、金剛駅周辺には学習塾が数多く林立しています。市民の教育熱の高さが感じられます。

このようなエリアには、教育費に多くのお金をかけることができる高所得な家庭が自然と集まります。

2-4．富田林市は都市近郊農業が盛ん

富田林市では、温暖で農産物の育成に恵まれた気候を生かした都市近郊型農業が早くから発展しています。

なす、きゅうりは大阪府内生産高第1位となっており、最高級の里芋と言われる「海老芋」は京都の料亭などでも使用される特産品となっています。

富田林市は全域が住宅地として発展しており、畑といえども評価額が高額になる可能性が高いです。

農業を営んでいる人は、生前に相続財産の総額を把握しておくことが重要です。

2-5．富田林市には大規模な再開発計画がある

富田林市は続々と開発が進んでいるエリアであり、駅周辺には新興住宅地が増えていっています。

また金剛中央公園を核に、周辺の駅や商店街などを一斉に再整備する計画が2031年度完了を目途に進められており、今後の地価の動向には十分注意する必要があります。

2-6．富田林市の地価

富田林市の平均地価は1㎡あたり8万1,122円で、大阪府全43位中30位の金額となっています。

大阪府内では高金額といえる地価ではなく、40坪の土地を1,000万円強で購入できることから、一般的な所得者層が多く居住していることが分かります。

ただ、高級住宅街では1㎡あたり20万円など、飛び抜けて高額な地点もあるため注意しなければなりません。

市内で最も地価が高いエリアは金剛駅周辺で1㎡あたり11万円、2位は大阪狭山市駅周辺で10万円となっています。

富田林市は都心部に近く、市街地が発達している西部の地価が高い特徴があります。

反対に最も地価が低いエリアは湯谷不動駅周辺で、1㎡あたり7万円となっています。

最高11万円、最低7万円という結果から、一部の高級住宅街の地価は突出しているものの、市内の地価に大差はないことが分かります。

3．富田林市の税理士情報

全国には80,163人（令和4年3月末日時点）の税理士がいます。

そのうち大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県の近畿2府4県の税理士は、近畿税理士会に所属しており、その総数は15,219人にものぼります。

一方、富田林市を管轄している近畿税理士会富田林支部には、145人の税理士が所属しており、内訳は次の通りとなっています。

分布を見ると、5市についてはいずれも似たようなエリアであり、税理士数についてもそれほど大きな差はないことが分かります。

富田林税務署の令和元年における相続税申告件数は568件であったことから、税理士1人あたりの相続税申告数は0.25件になります。

大阪府全体では0.95件であることから、非常に税理士が不足しており不安になりますが、このエリアは大阪市や堺市に程近いことから、過度な心配は不要です。

それでは最後に、富田林市での税理士探しについて解説します。

3-1．市内の税理士は29人

富田林市には29人しか税理士がいません。

高級住宅街や優良住宅街が多くあることから、それなりの相続税申告数はあると考えられるため、相続税に強い税理士はいると思われますが、少数であることは間違いありません。

相続財産が少ないなど、そこまで税理士にこだわる必要がない場合であっても、市内の税理士に依頼したい場合は、早め行動がカギになります。

3-2．基本的には大阪市で

大阪府の超富裕層が集中して居住している大阪市では、高額で複雑な相続税申告が日常的に発生しています。

そして相続税のみならず、法人税や所得税など税理士の需要が高い大阪市には、5,000人を超える税理士が集中しており、そのうち相続税に強い税理士の数は富田林市の比になりません。

富田林市から難波までは最短23分となっており、市内で探すのと同様の感覚ではないでしょうか。母体数が圧倒的に多い中で探す方が労力は軽いはずです。

3-3．堺市もおすすめ

相続税がかかるかどうかラインの相続税申告の場合には、大阪市トップクラスの税理士にわざわざ頼まなくてもという話にもなるでしょう。

堺市には371人の税理士がいます。高級住宅街も数多く擁しており、大阪市を縮小したイメージでしょう。

市内では不安、大阪市は人数が多すぎて誰が良いのか分からないなどの場合には、堺市が程よい規模感でおすすめです。

【参考サイト】「税理士登録者数」 | 日本税理士会連合会、近畿税理士会HP、近畿税理士会　富田林支部HP