1．大東市の相続税申告の特徴

大東市は大阪府の東部、河内地方のほぼ中央に位置しており、大阪市に隣接したベッドタウンとして発展してきました。高校野球の強豪校として有名な、「大阪桐蔭高校」のお膝元です。

奈良県との県境がある東側は生駒山系の山々が広がり、豊かな自然が残された中に住宅が発展しています。

工業、農業の産業面でも機械・金属などを中心に発展しており、ベッドタウンでありながら、市内で通勤通学している人も多いという特徴があります。

それでは今回は、大東市の相続税申告について、その地の特徴と絡めながら詳しく見ていきましょう。

1-1．大東市の相続税申告状況

令和元年の相続税申告状況のデータによると、大東市を管轄している門真税務署、大阪府、全国における相続税申告状況は次の通りとなっています。

1-2．門真税務署エリアの相続税課税は多くない

門真税務署の申告割合と課税割合は、大阪府と全国の平均値を2％以上下回っています。

課税割合の全国47都道府県ランキングに当てはめてみると30位にあたることから、全国的に見ても相続税の課税が少ないエリアであるといえるでしょう。

1-3．納付税額が多い点に注意

門真税務署が管轄するエリアは、相続税課税が起こりにくいエリアではありますが、相続1件当たりの納付税額は2,246万円となっており、非常に高額である点には注意しましょう。

納付税額の全国47都道府県ランキングでは、1位は東京都の3,029万円、2位は大阪府の1,881万円となっていることから、2,000万円台の都道府県はありません。

門真税務署エリアは、相続税が発生するとなると非常に高額になる可能性が高いため、相続税が課税されるかどうかの確認は非常に重要です。

1-4．大東市のみの課税割合はもう少し高い可能性

門真税務署は大東市、守口市、門真市、四條畷市を管轄しているため、上記の数値はこれら4市の平均値であり、大東市のみの数値ではありません。

4市いずれも近郊住宅都市として発展していますが、守口市より大東市・門真市が、大東市・門真市より四條畷市が発展しており、大阪市に近い順に発展の度合いが進みます。

したがって、門真税務署の課税割合は5.98％となっていますが、大東市のみではもう少し高い可能性があり、納付税額が高いことからも、生前に相続税に対して何もしないまま相続を迎えることは危険です。

2．大東市の特徴

大東市は面積約18.27㎢、人口約12万人の都市です。

大阪市、門真市、寝屋川市、四條畷市、東大阪市、奈良県に囲まれ、西の平野には住宅地を中心とする市街地、東には生駒山系の山々からなる「金剛生駒紀泉国定公園」が広がります。

市内にはJR学研都市線が中央に走り、3つの駅があります。中心駅である住道駅から京橋駅まで約9分、大阪駅と本町駅まで約21分で通勤通学することができます。

また古くから交通の要所として栄えていた大東市は、国道170号線、府道大阪生駒線など、特に道路交通網が充実しており、大阪府東部のものづくり産業の中心地となっています。

それでは次に、大東市の特徴とそれが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。

2-1．住道駅周辺はマンションが多い

中心駅となる住道駅周辺には、スーパーや百貨店、ショッピングモールなどの商業施設や、病院、図書館などの公共施設も集約されています。

大阪都心へ通勤通学する人々にとっては非常に便利な立地であり、駅周辺にはマンションが林立しています。

都心部で高所得を得ている人々の多くが居住していると考えられます。

2-2．富裕層が多いエリア

大東市には超富裕層が居住している高級住宅街はありませんが、次のエリアは富裕層が比較的多いエリアとなっています。

南楠の里町、大字竜間、三住町、新町、川中新町、緑が丘など

2-3．大東市の昼夜間人口比率97.8％

大東市は大阪市に隣接する住宅都市ですが、2015年国勢調査では昼夜間人口比率は97.8%となっており、市内に通勤や通学している人が非常に多いことが分かります。

2-4．大東市は製造業が盛ん

大東市では機械や金属などを中心に、プラスチック製品、鉄鋼、パルプ、紙、紙加工品が製造されています。

ちょっと古いデータになりますが、2014年の経済センサスの調査によると、市内には4,889の事業所があり、その9割超が中小企業であることから、その多くでこれら工業製品が製造されているでしょう。

約5.3万人働いており、市内への通勤者の多くが従事していると考えられます。

2-5．事業関連の資産への課税に注意

大きな工場になると法人形態を取っているところが多いですが、個人事業主のままという方は要注意です。個人事業主として町工場などを経営していると、機械などの事業用資産も相続財産になるのです。

一方で、法人の場合には、法人が所有している事業用資産についての相続税課税はありませんが、オーナー社長の場合には会社への貸付金など、個人事業主では発生し得ない相続財産もあります。

ご自分で事業を行っている場合には、個人事業主、法人問わず、相続税課税への配慮が一層必要になります。

2-6．大東市の地価

大東市の平均地価は1㎡あたり14万2,907円で、大阪府全43位中14位の金額となっています。

高級住宅街がある寝屋川市を上回っていることから、油断できないエリアであることが分かります。

門真税務署の同管轄内にある4市の順位は次の通りとなっており、守口市が頭1つ抜き出ている形です。

市内で最も地価が高いエリアは住道で、1㎡あたり14万円です。

浜町の一部では30万円と非常に高額な地点もあり、住道駅周辺に不動産を所有している場合には、不動産に対する課税に注意しましょう。

反対に、最も地価が低いエリアは大阪市鶴見区側にある門真南で、1㎡あたり11万となっています。

ただ、近年では長引く新型コロナウイルスの影響によって、自宅近くの商業地で買い物やレジャーを求める人が増え、商業地の地価上昇が顕著になってきています。

門真南駅周辺は正にその条件に合うエリアとなっており、地価の変動率は軒並み2％弱、3％に近い地点もあります。市内で最も地価が低いエリアであるとはいえども、決して安心して良いわけではありません。

近いうちに相続税課税が起こりそうな人は、地価変動に十分注意しましょう。

3．大東市の税理士情報

全国には令和4年3月末日時点で80,163人の税理士がおり、そのうち近畿税理士会（大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県）には15,219人の税理士が所属しています。

そして、大東市が管轄されている近畿税理士会門真支部には130人が所属しており、内訳は次の通りとなっています。

守口市への税理士の集中具合からも、このエリアの相続税課税の中心地は守口市であり、大東市や門真市がそれに次いでいる状況をうかがい知ることができます。

門真税務署の令和元年における相続税申告件数357件で、税理士1人あたりの相続税申告数は0.36件になります。

大阪府全体では0.95件（日本税理士会連合会　平成30年5月発行税理士界）であることから、このエリアは税理士不足であるといえますが、5,000人超の税理士が集中している大阪市に隣接していることから、税理士探しに大きな問題はありません。

それでは最後に、大東市での税理士の探し方について解説します。

3-1．大東市内よりも大阪市

大東市内には、税理士がわずか21人しかいません。

税理士の多くは所得税や法人税を主としていること、市内には超富裕層が少ないことなどから、相続税に強い税理士は少ないことが想定されます。

大阪市に隣接している大東市の優れた立地と交通利便性を考えると、無理に市内で税理士を探す理由はないのではないでしょうか。

大阪市の5,000人超という圧倒的な母体数の中での税理士探しをおすすめします。

3-2．顧問税理士に固執する必要はない

事業を行っている人は、地元に顧問税理士がいることが多いでしょう。

長年の付き合いがあり、事業に関して周知している顧問税理士は、相続においても非常に強い味方になります。

ただ、その税理士が相続税に強い税理士とは限らない点に注意しなければなりません。

相続税に弱くても、顧問税理士なら無条件に安心ということは絶対にありません。

むしろ、相続税に強い税理士であれば、相続税のみの依頼であっても顧問税理士以上の仕事ができる可能性が高いです。

事業をしているから顧問税理士に依頼しなければならない、顧問税理士でないと分からないということは全くありません。税理士にも適材適所があります。

サラリーマンの相続税申告よりも複雑で高額になるケースが多いことからも、相続税に強い税理士はより必要になります。柔軟な税理士探しを心掛けましょう。

【参考サイト】「税理士登録者数」 | 日本税理士会連合会、近畿税理士会ＨＰ、近畿税理士会 門真支部ＨＰ