電話加入権を相続した場合、相続税はかかるの?相続手続きは必要?

近年は、スマートフォンの普及により、固定電話を持たない人が若年層を中心に増えています。一方で、50歳以上の年代では、90%以上が固定電話を使っていると言われています。

この固定電話には「電話加入権」という、あまり聞き慣れない権利がついており、れっきとした財産となっています。

相続財産には預貯金や不動産の他に各種権利やライセンスなどが対象となりますが、この電話加入権も相続財産となり、きちんと財産評価して、相続手続きをしないといけません。

そこで、今回は、「電話加入権」について、評価方法や相続手続きについて解説します。

1. 電話加入権とは?

まず、ここでは、電話加入権および相続との関係について見ていきます。

1-1. そもそも電話加入権とは?

電話加入権とは、NTT東日本とNTT西日本の加入電話回線を契約するための権利のことで、「施設設置負担金」を支払ってその権利を得ているので、この電話加入権自体は購入者各自の財産となります。

電話加入権を取得すれば、宅内にNTT電話回線を引き込んで通信サービスを受けられるようになります。過去には8万円ほど支払って、NTT加入電話を引いた方もいらっしゃると思います。

ただし、使用している電話の種類によっては、電話加入権が不要な電話もあります。
ご家庭の電話に電話加入権が設定されているか不明な方は、電話会社に確認を取りましょう。

1-2. 電話加入権は相続財産なの?

電話加入権自体、購入者の財産ですので、電話加入権自体を売買することができ、必要ない人から購入したり、必要な人に売却するような転売も可能です。

相続財産には預貯金や不動産の他に各種権利やライセンスなどが対象となりますが、この電話加入権も相続財産となります。

正しく財産評価して、相続手続きをしないといけません。

2. 電話加入権の相続税評価方法は?

前章で、「電話加入権は財産である」ということを見てきました。
ここでは、その電話加入権の財産としての評価方法について解説する。

電話加入権は、その種類によって、次の3つの方法で評価します。

  1. 取引相場のある電話加入権
  2. 取引のない電話加入権
  3. 特殊番号の電話加入権

2-1. 取引相場のある電話加入権

取引相場のある電話加入権の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価します。

なお、取引相場のある電話加入権は、基本的には取引価額で評価しますが、下記の「取引のない電話加入権の標準価額」で評価しても良いことになっています。

2-2. 取引のない電話加入権

取引相場のない電話加入権の価額は、売買実例価額等を基として、電話取扱局ごとに国税局長の定める標準価額によって評価します。

現在の標準価額は、全国一律1,500円です。

通常の電話加入権の評価は、この標準価額を使います。

2-3. 特殊番号の電話加入権

「特殊な番号(1番から10番まで若しくは100番のような呼称しやすい番号又は42番、4989番のような誰もがいやがる番号)、その他前項の定めにより評価することが不適当と認められる電話加入権の価額については、前項の定めにより評価した価額を基とし、売買実例価額や精通者の意見等を勘案して、適宜増減した価額によって評価」します(※)。

※ 次の国税庁のHPより引用しています。特殊番号の電話加入権の評価

3. 電話加入権に相続税申告は?

上記「2. 電話加入権の評価方法は」で見てきました評価価額が、電話加入権の相続税評価額になります。

この電話加入権の相続税評価額を相続財産に加算して、相続税を支払うことになります。

しかし、電話加入権の相続税評価額が非常に低額なので、相続税に対する影響はほとんどない、と言えます。

なお、一般動産の相続税評価、不動産の相続税評価については、それぞれ以下の記事を是非お読みください。

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相続に関しては、電話加入権の相続税はほとんど問題になりませんが、一方で、電話加入権そのものの相続手続きが多少面倒です。

相続手続きについては、事項で説明します。

4.電話加入権の相続の手続き方法は?

相続の一環として、電話加入権について、被相続人から相続人への名義変更の手続きが必要です。

ここでは、相続に伴う名義変更について、その具体的な手続きを説明します。

電話加入権の名義変更は、次の手順で行います。

  1. 必要書類のダウンロード
  2. 必要事項の記入
  3. 必要な添付書類の準備
  4. NTT加入権センタに郵送

4-1. 必要書類のダウンロード

まず、NTTのホームページから、届出用紙(電話加入権等承継・改称届出書)と記入要領をダウンロードします。

4-2. 必要事項の記入

記入要領を確認の上、ダウンロードした届出用紙に必要事項を記入します。

4-3. 必要な添付書類の準備

次に、申請に必要な、次の添付書類を準備します。

死亡の事実及び相続関係が確認できる書類(写し可)

  • 全部事項証明書(戸籍謄本)(※1)
  • 個人事項証明書(戸籍抄本)(※1)
  • 遺言書(※2)
    公正証書の場合を除き、家庭裁判所の検認があるもの
  • 法定相続情報一覧図
    など

※1 現契約者との相続関係が確認でき、死亡年月日の記載があるもの
死亡年月日の記載がない場合は、全部事項証明書(戸籍謄本)や個人事項証明書(戸籍抄本)とあわせて、死亡の事実が確認できる住民票(死亡年月日の記載があるもの)、死亡診断書、埋葬許可書 等、いずれか一点を用意します。

※2 遺言書内において、相続関係が確認できない場合には、その他に全部事項証明書(戸籍謄本)等が必要となる場合があります。なお、相続権のない方へ遺言書により名義変更する場合等は、「譲渡」の手続きをします。

新契約者の契約者名・住所・生年月日が確認できる書類(写し可)

  • 運転免許証
  • パスポート
  • 在留カード、特別永住者証明書
  • マイナンバーカード(個人番号カード:表面)
  • 健康保険証
  • 国民年金手帳
    など

4-4. NTT加入権センタに郵送

最後に、記入した届出用紙(電話加入権等承継・改称届出書)と添付書類を、NTT加入権センターに郵送します。

詳細は、次のNTT東日本ホームページ、または、NTT西日本のホームページを参照ください。

【参考外部サイト】NTT東日本|名義変更のお手続きについて ・NTT西日本|名義変更のお手続き

ちなみに、名義変更の手数料は無料です。

5.まとめ

今回は、「電話加入権」の相続と相続税について見てきました。

電話加入権については、財産評価自体は難しくなく、また、相続税申告へのインパクトもほとんどないと言えますが、相続手続き(名義変更手続き)そのものが多少面倒です。

もし、電話の名義人がわからないといったトラブルがあれば、電話会社に問い合わせをしてみましょう。

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監修
税理士相談Cafe編集部
税理士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続税や相続周りに関する記事を500近く作成(2023年4月時点)。
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