愛するペットに遺産を相続させられるのか?

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近年多くの人から注目されているのがペットと相続の関係です。
今や家族の一員となったペットに遺産を相続させて、自分の死後も楽しく元気に生活して欲しいと望む飼い主も増えています。

そこで今回は、ペットと相続の関係を詳しく解説します。ペットへの遺産相続や、飼い主の死後もペットが今まで通り生活できる契約など、飼い主必見の相続情報をしっかり確認していきましょう。

1.ペットは相続の対象になる?ならない?

一昔前よりもペットと主に暮らす方が増え、今では人間と同じように家族の一員として扱われるようになりました。
ですが、飼い主が亡くなった場合、そのペットはどうなってしまうのか気にある方も多いと思います。

では、ペットの自分の資産を相続させて、誰かに育ててもらうことはできるのでしょうか?

1-1.日本の法律ではペットは相続できない

ペット=家族という考え方は、広く浸透しています。ただ、この考え方はあくまでも私たちが認識していることなのです。実は、ペットは法律上家族としては認められず、ペットが資産を相続することはできません

もう少し具体的に解説すると、ペットは生き物なのですが法律上は「物」として扱われます。
例えば、もし散歩中のペットが車に轢かれてしまった場合、そのドライバーは器物破損の罪に問われます。
殺人などではなく、ガードレールなどに衝突したときと同じように、器物破損罪となるのです。

一方で、民法の規定によると、資産を相続する方は「相続人」と記されています。
そのため、「人」でないと相続権は発生せず相続できません

つまり、ペットは物として扱われるため人ではなく、人でないため相続権を持たないので、遺言状などがあっても資産を相続できないのです。

1-2.アメリカでは認められている?

ペットが資産を相続できないことに、賛否両論あると思います。ただ、この法律上の解釈は、あくまでも日本での取り扱いです。
実は、海外に目を向けてみると、ペットが飼い主の資産を相続した例があるのです。

実際に、ペットが相続を行なったと報じられたのはアメリカです。
アメリカでは、州によって法律が異なるのですが、中にはペットが資産を相続することを認めているところがあります。
こうした州では、一定の上限はあるものの相続が可能ですので、飼い主はペットのために遺言書を残すことも多いそうです。

ペット=家族という考え方に適合しているため、ペットと暮らしている方にとっては嬉しい情報かもしれません。
ですが、誰がペットが相続した資産を管理するのかなど、具体的に考えなくてはいけませんので、軽い気持ちで行うことは難しいといわれています。

2.負担付遺贈でペットを相続させる

ペットに遺産を相続させることは日本ではできません。ですが、飼い主が亡くなった場合、ペットの飼育は誰が行うのか心配になってしまう方もいます。
そこで、遺言によって他の誰かに自分の代わりとなってペットの飼育をお願いすることができます。

2-1.特定の資産を遺贈する代わりに、ペットの世話を負担させる

ペットは物として扱いますが、資産と同じように相続させることはできません。なぜなら、生物であるので資産としては考えられないからです。
では、飼い主が亡くなったら手放さなければいけないのでしょうか?

ペット自体を相続させることはできませんが、ペットの飼育をお願いする方法があります。
それは、「負担付遺贈」です。特定の資産を相続させるのを条件に、ペットの飼育をお願いするという方法となります。

例えば、単にペットの飼育をお願いすると、エサ代や病院代など高額な負担を飼育者にかけることとなります。
ですので、飼育費用として◯◯万円を遺贈するため、ペットを飼育してくださいと遺言に残すのです。
つまり、ペットの飼育という負担を条件に資産を遺贈させます。

ただし、負担付遺贈の場合は、あくまでもお願いするだけです。飼育を依頼された方は、負担付遺贈を受けるのか放棄するのかを自由に決めることができます。
そのため、飼育したくないから資産を受け取らない、ということも可能です。

2-2.負担付遺贈は継続して行われる

負担付遺贈は、与えられた負担を適切に行使しなければ資産を受取る権利がなくなります。
どういうことかというと、ペットの飼育が条件となっている場合は、亡くなるまで世話をしなければいけません。

そのため、途中で飼育を放棄した場合は受け取った資産を返却しなければいけません。
ただ、負担付遺贈を受諾しても適切にペットを飼育しているのか、亡くなった飼い主は確認できません。
すると、中には資産だけを手に入れてペットの飼育を放置してしまい、最悪のケースでは逃したり保健所へ連れて行ったりすることがあります。

そこで、負担付遺贈を行い確実にペットの飼育を行なってもらいたい場合、まずは信頼できる人を選びましょう。
負担付遺贈では、相続ではないため相続権のない知人・友人なども受遺者として選択できます
ですので、ペットの飼育を行っている方や、普段から交流がありペットを大切にしてくれる方を選びましょう。

2-3.遺言執行者の指定

また、遺言執行者などの監督者を指定しておくことも大切です。
遺言執行者は、遺言を適切に執行させるための責任者ですが、負担付遺贈の場合はその後も適切に約束を守っているかを見極める責任があります。

つまり、負担付遺贈でペットの飼育を任せた人が、適切なお世話をしているのかを飼い主に代わって確認します。
毎日チェックする必要はありませんが、定期的に遺言執行者が状況を確認できるように定めておくことで、確実にあなたの大切なペットを飼育するように促すことができます。

3.負担付死因贈与

負担付遺贈はペットの飼育をお願いするために効果的ですが、受遺者の意思で受けるかどうかを決めることができます。
場合によって、約束していたのにあなたが亡くなった後で受けてもらえない場合もあります。

そこで、確実にペットの飼育を任せるためには「負担付死因贈与契約」という方法を利用しましょう。
負担付死因贈与契約は、亡くなった後に対象となるものを贈与する契約を結んでしまう方法です。
遺贈ではなく契約となります。すでにお互いに合意した上で結ばれていますので、亡くなった後に一方的に解除することはできません。

ただし、気をつけなくてはいけないことが幾つかあります。

  • 相手方の承諾を得る
  • 不備が出ないように契約をする
  • 書面によって契約内容を残す

死因贈与契約は契約の一種とみなされているため、書面により成立・執行が行われると考えられています。
そのため、書面がなければ契約破棄することも可能なのです。遺言書だけでなく、公正証書などで死因贈与契約について残しておくなどの対策が必須となります。

負担付死因贈与契約は強制力があるため、慎重に扱わなければいけない方法です。託される方の負担を極力軽減できるように、生前から準備しておきましょう。

【関連】似て非なる遺贈と死因贈与の違い

4.死後の事務委任契約を締結する

ペットの飼育を他者へ依頼する方法を2つ見てきましたが、もう一つ効果的な方法がります。
それが、「死後の事務委任契約」です。この契約を結んでおくことで、あなたが亡くなった後のペットの飼育を任せることができるようになります。

4-1.死後の事務委任契約とは

死後の事務委任契約は、もともと亡くなった際の事務手続きを行なってもらう方を対象として、生前に結ぶ契約です。
今までの方法と違うのは、報酬のような資産の遺贈が行われないことです。

もちろん、お礼としてお金を渡すことはできますが必須ではありません。
遺贈の条件としてのペットの飼育ではなく、あくまでもペットの飼育がメインの契約となります。

ただし、一度契約を結ぶことでその効力は、あなたの死後すぐに発揮します。そして、一方的に破棄することはできませんので、必ず行使しなくてはいけません。
ですので、資産の譲渡などが必要なく確実にお世話をしてもらえるため、上記2つの方法と比べると行いやすい方法かもしれません。

4-2.契約書作成のポイント

死後の事務委任契約はどのように行えばよいのかというと、基本的には書面で契約書を作成し、お互いに保管しておきます。
文面や内容などは、当事者間で自由に決めることができますので、話し合いながら契約書を作成します。

契約書で必ず記入して置かなければいけないのが、以下の事項です。

  • 委任者、受任者の氏名、住所、捺印
  • 契約日時

この2つは必須事項となりますので、忘れずに記入しましょう。
また、契約内容や項目はいくつでも問題ありませんが、矛盾や後々の不具合が生じないようにしておくことが必要です。
ただ、基本的に決められた書き方などはありませんので、第三者などが見たときにわかるような書き方であれば問題ありません。

例えば、ペットの飼育についての条件ならば、「Aの愛犬をBの自宅において、その生涯にわたり飼育しなければならない。」と記入します。
漠然とした内容でもOKですが、エサや予防接種などこだわりの飼育方法があるのなら、具体的に記入しておきましょう。

加えて、契約書は2通作成し、全てに署名押印し、それぞれ1通ずつを保有しておくことが必要です。
もし、契約書の作成に不安がある場合は、行政書士など専門家へ依頼するのもオススメです。
費用は必要となりますが、より確実に効果を発揮する契約書となりますので、相談だけでも行ってみましょう。

5.信託制度でペットの新たな生活を守る

最後に、ここ数年新しいペットの飼育を依頼する方法として注目されている「信託制度」について解説します。少し複雑なこともありますが、便利な制度であることは間違いありません。では、信託制度とは一体どのような制度なのでしょうか?

5-1.契約した内容を確実に行わなければいけない

信託制度とは、相続させるのではなく資産の所有権を移転させる方法のことを表しています。これは、遺言書や信託契約によって行うことができ、相続ではないため相続税を回避する方法として知られています。

信託制度のポイントは、所有権を移転させる場合に財産の管理や使い方まで細かく契約として残しておくことができます。そして、資産を受け取った方は、この契約にもとづいて適切に財産を管理しなければいけない義務を生じます。

【関連】究極の相続対策、家族信託(民事信託)とは

この制度をペットの飼育と照らし合わせて考えると、ペットの細かな飼育法やエサ代など、あなたの意向に沿った飼育を受け継いだ方が行わなければいけない、ということになります。
つまり、あなたが今まで行ってきた飼育と同じ環境でペットは生活できるのです。

また、信託制度の場合は、資産の一部を誰かに渡すことを契約に盛り込むこともできます。
例えば、ペットの飼育を他の誰かへ依頼し、飼育を担当する方へ毎月エサ代などを別の人が提供する、といったことまでできるようになります。

ですので、あなたが亡くなった後も、あなたと同じようにペットを飼育し愛する制度として、ここ数年人気と需要が伸びています。
きちんと仕組みを理解しておくと、いさというときに便利に活用できます。

5-2.ペット信託®などを利用しよう!

信託制度を活用したペットの飼育の引き継ぎですが、現在では専門に取り扱う団体などが徐々に作られています。
中でも、一般社団法人ファミリーアニマル支援協会が普及活動をしている「ペット信託®」は民事信託のひとつとして、注目されています。

ペット信託®は2013年に商標登録されたサービスの1つで、厳密に言えば今までの信託制度と変わりありません。
では、どうして利用する方が多いのかというと、信託制度を活用するためのサポートを一元的に行なってくれるからです。

信託制度は、原則として信託を行う「委託者」が信託を受ける「受託者」へお金を渡します。基本的には受託者が資金を管理しますので、最低でも頼れる1名がいれば信託制度を活用できます。

ただ、もし誰も頼る方が居ない場合は、管理会社を設立することが必要です。
また、信託制度では誰かの管理会社に複数の方が委託者として参加することはできないため、管理会社は飼い主ごとに必要となります。

このように、状況によっては信託制度を活用するためには、いろいろと超えなければいけないハードルがあります。
そこで、ペット信託®では、動物にも信託制度にも詳しい専門家に相談できるようになっています。

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