1.泉大津市の相続税申告の特徴
泉大津市は大阪府の中央西部の海沿いに位置しており、小さな市域に都市機能が集約されたコンパクトシティです。
国内産毛布の9割以上を生産している「毛布のまち」として知られており、市のマスコットキャラクターにもなっています。
沿岸部は埋め立て地で堺泉北臨海工業地帯が広がり、泉大津港には阪九フェリーも運行され、北九州市から多くの人や物が運ばれてきます。
大阪都心部からほど近い位置にあり、大阪駅まで30分程度で行くことができるため、住むのにちょうど良い街として人気を得ている泉大津市。
今回は、そんな泉大津市の相続税申告について詳しく解説していきます。
1-1.泉大津市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、泉大津市を管轄している泉大津税務署、大阪府、全国における相続税申告状況は次の通りとなっています。
申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
泉大津税務署 管轄エリア | 10.10% | 8.17% | 1,429万円 |
大阪府平均 | 10.65% | 8.40% | 1,881万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万 |
1-2.泉大津市は相続税の課税が起こりやすい
泉大津税務署の上記3つの数値は、大阪府と全国の平均値を若干下回る結果となっています。
「平均よりも下なら、相続税課税はあまり起こらない?」と思いがちですが、全国の課税割合8.35%を全国47都道府県のランキングに当てはめてみると13位の位置にあたります。平均であっても中盤の順位ではないのです。
泉大津税務署の8.17%も14位の位置に該当するため、全国的に見ると上位にあることになります。
相続税課税において泉大津市は、決して安心できるエリアではありません。
1-3.泉大津市の課税割合はより高い可能性
泉大津税務署は泉大津市、和泉市、高石市、忠岡町を管轄しており、上記の数値はこれら3市1町の平均値となっています。
これらの中で最も地価が高いのは高石市で、次に泉大津市となっており、高石市は高級住宅街もあり、泉大津市よりも都心部に近いことから、泉大津税務署の管轄内で最も課税割合が高いのは高石市と考えられます。
泉大津市もそれに次ぐ課税割合となっていると考えられ、泉大津税務署の平均値を底上げしている側になるでしょう。
泉大津市のみでの課税割合は公表されていませんが、恐らく、泉大津税務署の8.17%よりも高いと予想されます。
2.泉大津市の特徴
泉大津市は面積13.73平方キロメートルの都市で、そのうち約4.80平方キロメートルは埋め立て地となっており、約7万人が暮らしています。
市内全域がほぼ平坦地となっており、自転車で難なく行き来することができます。
大阪湾に面し、六甲山や淡路島を望める自然環境、小さな市域の中に教育、医療、商業施設が充実しており、手が届くところに何でもある暮らしやすい環境が整っている泉大津市は、都心部のベッドタウンとして高い人気を誇っています。
それでは、泉大津市の詳しい特徴とそれが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。
2-1.泉大津市は抜群の交通アクセスを誇る都市
市街地がある中央から西部には南海電気鉄道南海本線、和泉市のJR阪和線も利用することができ、市内には「北助松」、「松ノ浜」、「泉大津」の3つの駅があります。
難波や関西国際空港までわずか20分で到達できる利便性の高さです。
高速道路の出入り口も2ヶ所あり大阪市内へは約30分、県外への外出もスムーズとなっています。
鉄道がないエリアは、一般道を走る南海バスや中日臨海バスがカバーしており、抜け目のない抜群の交通アクセスが泉大津市の最大の魅力です。
交通アクセスの良さはベッドタウンとして必要不可欠な要素でもあり、駅に近くなるほど不動産の価値が高くなります。
2-2.泉大津市の中心地は泉大津駅
市街地の中心は、市域の中央部を走る南海電気鉄道南海本線の沿線で、特に泉大津駅周辺は市役所、大型ショッピングモール、スーパー、家電量販店、病院など生活に必要な施設が揃うエリアになります。
駅周辺には中高層マンションやタワーマンションが林立し、都会的な街並みとなっています。
生活利便性、交通利便性を併せ持ったエリアであり、不動産の需要も高いことから高所得者が多くなります。
2-3.泉大津市は高級住宅街はないが富裕層が多いエリアがある
泉大津市には豪邸が立ち並ぶ高級住宅街はありませんが、都心部で働く高所得者は多く居住しています。
特に松之浜町、池園町、楠町東、宇多には、富裕層が比較的多く、相続税の課税が起こりやすいエリアとなっています。
2-4.泉大津市は再開発が盛ん
近年では歴史的な景観を残しつつ、駅周辺や臨海部を中心に積極的な再開発が行われています。
泉大津駅では老朽化した駅ビルが解体され、高架下商業施設「エヌクラス泉大津」が開業し、
臨海部では人、物、情報の国際交流ゾーンを目指した「きららタウン泉大津」が整備されました。
現在でも、泉大津駅西地区周辺の整備などが進んでおり、対象となるエリアは地価の動向が激しくなるため、相続発生のタイミングによっては高額な不動産課税が行われる可能性があります。
2-5.泉大津市の地価
泉大津市の平均地価は1㎡あたり10万7,955円で、大阪府全43位中24位、10万円台最後の市となっています。
泉大津税務署の管轄内での1位は高石市で1㎡あたり13万71円、その他の和泉市と忠岡町はいずれも8万円となっていることから、この管轄内では泉大津市と高石市を中心に相続税の課税がなされていると考えられます。
市内で最も地価が高いエリアは中心駅となる泉大津駅で、1㎡あたり11万円となっています。
駅から500メートルほど先に広がっている住宅地では12万円のエリアも多く、40坪の土地で1,700万円程になります。
ただし、再開発も頻繁に行われていることから、今後さらに上昇することも考えられ、相続税の基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超える可能性があります。
反対に最も地価が低いエリアは、市北部の北助松で1㎡あたり8万となっています。
最高で11万円、最低で8万円であり、泉大津市の地価は地点による差が小さい特徴があります。
泉大津市内には、ここに住んでいれば相続税については安心というエリアはありません。
3.泉大津市の税理士情報
全国の税理士数は令和4年2月末日時点で80,054人となっており、そのうち近畿税理士会(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県)には15,191人の税理士が所属しています。
そして近畿税理士会は83の支部に分かれており、泉大津市の税理士は泉大津支部(泉大津市、高石市、和泉市、忠岡町)に所属しています。会員数は108人で、そのうち泉大津市に事務所を置いている税理士は27人です。
泉大津税務署の令和元年における相続税申告件数は319件であり、税理士1人あたりの相続税申告数は0.33件になります。
大阪府全体での0.95件(日本税理士会連合会 平成30年5月発行税理士界)であることから、泉大津市では税理士が不足していることが分かります。
泉大津市での税理士探しは、市内はおすすめしません。税理士数が少ないうえに、相続税に強い税理士が少ないことが予想されるからです。
それではどのように探したらよいのでしょうか。
3-1.大阪市には相続税に強い税理士が集中している
泉大津市で税理士が不足している理由は、都心部の大阪市には近畿税理士会の税理士15,191人の3分の1にもなる、5,000人超の税理士が集中しているからです。
それだけ多くの仕事があるからであり、相続税においても多くの超富裕層が居住している大阪市では、桁違いの相続税が発生する相続税申告が頻繁に行われています。
相続財産が多く、節税対策が必要な場合には、大阪市の相続税専門税理士に依頼できると安心です。
3-2.堺市もおすすめ
高石市を挟んでお隣にある堺市も、税理士探しの地としておすすめです。
堺市は大阪市に次ぐ大阪府第2の都市であり、「大美野」など数多くの有名な高級住宅地を擁しています。
また、堺市のみの税理士で構成されている近畿税理士会堺支部は、371人の税理士が所属している大規模な支部であり、大阪市と同様に複雑な相続税申告を頻繁にこなしている税理士が数多くいます。
大阪市での税理士探しに躊躇がある場合には、堺市を候補にすると良いでしょう。
ただ、大阪市よりは格段に税理士数が少なくなるため、その分、相続税に強い税理士も探しにくくなります。計画的な税理士探しを心掛けましょう。
【参考サイト】「税理士登録者数」 | 日本税理士会連合会、近畿税理士会HP、近畿税理士会泉大津支部HP