二次相続の相続税対策|配偶者控除の使いすぎに注意
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相続税を申告する際には、遺言書がなければ、遺産分割協議書が必要書類になります。
では、なぜ相続税申告には遺産分割協議書が必要なのでしょうか?税理士に遺産分割協議書の作成を依頼することはできるのでしょうか?
今回は、遺産分割協議書に焦点を当てて、税理士との関係を徹底的に解説していきます。
目次
遺産相続を行う場合、相続人が1人であれば、その相続人がすべての遺産を相続するので遺産を分割する必要はありません。
しかし、原則的に遺言書がなく相続人が2人以上いる場合には、相続人全員が参加して誰がどの遺産を相続するのかを決める話し合いが必要になります。その話し合いが、遺産分割協議です。
遺産分割協議で決まった遺産分割の方法を書面に残し、相続人全員が署名・捺印(実印)したものが「遺産分割協議書」です。
全ての相続人は遺産分割協議書に拘束され、撤回することができません。
遺産分割協議書を書き換えることもできますが、相続人全員の合意が必要となります。
相続税を算出するためには、誰がどの遺産をいくら取得したのかを明確にする必要があります。したがって、遺言書がない場合には、遺産分割協議書が相続税申告の添付書類となるのです。
では、税理士は遺産分割協議書を作成することができるのでしょうか?税理士が、遺産分割協議書を作成すると違法になることがあるのでしょうか?
確かに、税理士が遺産分割について依頼を受け、交渉・折衝をすれば、弁護士法72条に抵触し、非弁行為として違法な行為となります。
しかし、依頼人に対して、どのように遺産を分割すれば税制上有利かについてはアドバイスをすることができます。
しかし、相続税の申告書に遺産分割協議書の添付が必要な場合は、問題なく作成することができます。税理士は、依頼者の相続税申告に必要な添付書類の作成はすることはできるのです。
また、税理士は、行政書士として登録することができます。行政書士は、官公署に提出する書類作成を生業とする職業であり、行政書士として登録のある税理士であれば、遺産分割協議書だけを作成することに問題はありません。
一般に、相続税申告の税理士報酬は、遺産総額の0.5%~1.0%と言われます。
通常、相続税申告を税理士に依頼すると、その報酬の範囲で遺産分割協議書を作成してもらうことができます。
そこで、相続税申告が必要であれば、遺産分割協議書の作成については、税理士に依頼することをお勧めします。
ここでは、なぜ税理士に依頼するのが良いのか、そのメリットを説明します。
相続税を納める必要がある方にとって、相続税の控除や特例を活用して相続財産の評価を下げ、相続税額を下げることは重要です。
相続税に強い税理士であれば、それを可能にしてくれます。
また、二次相続などを考慮した相続財産の分割方法についてのアドバイスももらうことができます。
遺産分割協議書を作成する際にも、このような税理士からの情報を参考にするのが賢明です。
相続税の申告手続きができるのは税理士だけです。
遺産分割協議書に基づいて、それぞれの相続人が相続税を納税するので、税理士にまとめて依頼すれば、手続きがスムーズに行えます。また、遺産分割協議書は、相続税申告の際に税務署に提出する添付書類となります。
また、後々税務調査が入った場合でも、税理士に対応を依頼することができます。
相続手続きの多くには、期限があります。相続開始から相続手続きを総括的に見てもらえると相続人の負担は軽減されます。
最近では税理士事務所も他の士業と連携し、ワンストップで相続手続きまでが可能な事務所が増えています。
そうした事務所であれば、相続手続き開始から相続手続きを一貫して依頼することができ、期限に慌てる必要がなくなります。
では、税理士に依頼するデメリットにはどのようなものがあるでしょうか?
税理士にもできない相続手続きがあります。
税理士は、不動産の相続登記(相続による名義変更)ができず、また、家庭裁判所関連の手続きや遺産相続紛争の代理交渉ができません(非弁行為の禁止)。
これらの相続手続きが必要な場合は、依頼する税理士と協力関係にある司法書士や弁護士などと連携をとってもらうことになります。
税理士に限らず、専門家に依頼すると報酬がかかります。
しかし、専門家の知識と経験をお金で買うと割り切り、逆に、依頼した専門家を使い倒すぐらい有効活用するようにしてはいかがでしょうか。
最後に、遺産分割協議、および遺産分割協議書作成の手順について見ていきます。
まず、遺言書があるかどうかを確認しなければなりません。
遺言書があっても包括的に相続分を指定している場合や、分割方法の記載が漏れている遺産がある場合などには、遺産分割協議が必要になることがあります。
相続は初めてという相続人が多いのが実情です。まず、相続手続きの全体像やスケジュールを把握して、相続手続きを進めていくことが大事です。
特に、相続税を申請する必要がある場合は、期限が決まっているので、それまでに終わるように計画的に進めていく必要があります。
法定相続人の範囲を理解したうえで、相続人を確定させる必要があります。
通常はそれほど困難ではありませんが、被相続人に、離婚した元配偶者との間に子供がいる、他の女性との間に婚姻外の子供(非嫡出子)がいる、養子がいるといった場合には、調査や相続人の確定に注意が必要です。
被相続人の全ての財産を調査します。銀行や証券会社から入手する残高はもとより、不動産や動産の全てについて調査します。
ちなみに、借金などの負債も相続財産に含まれます。
財産調査に基づき、相続財産目録を作成します。この後の遺産分割協議では相続する遺産額が重要になるため、このタイミングで相続遺産ごとの評価額を把握することが重要です。
特に、株式の相続税評価や不動産の相続税評価には専門知識が必要です。
ゼロから遺産分割を協議するより、遺産分割協議書の素案がある方が協議がスムーズにいくことが多く、この後の遺産分割協議のもとになる素案を作っておくことをお勧めします。
相続人全員で協議します。
遺産分割協議の結果、相続人全員の合意により遺産分割方法を最終化して、遺産分割協議書を作成します。
相続税申告とともに遺産分割協議書の作成を税理士に依頼する場合に重要なポイントは、相続の経験が豊富で信頼できる税理士事務所を選ぶことです。相続に強い税理士事務所もありますが、相続をほとんどやったことがない税理士事務所があることも事実です。どの税理士事務所に依頼するか、よく吟味することが重要です。
人がお亡くなりになると、相続以外に、やらなければいけないことがとても多くあります。「餅は餅屋」で、専門家に依頼できるところは専門家に依頼することをお勧めします。
専門家の知識や経験を有効活用するのに加えて、専門家に依頼することにより、忙しい中にも、多少なりともご自分に「心の余裕」を持つことができるのではないでしょうか。