相続税について税務署に相談するなら知っておくべきポイント

「初めての相続なので相続税のことは全然分からない」、「相続税について、誰に相談したらいいのか悩んでいる」と不安に思っている方も少なくないと思います。

相続税について、その基本的なことから計算方法についてまで、税務署で無料で相談できることをご存知でしょうか? 意外と知られていないのですが、とても便利なサービスが税務署で行われています。

今回は、税務署への無料相談をするにあたって、知っておくべきポイントを解説していきます。

1.税務署への相談の基本知識

まず、税務署への相談に関して、その概要を説明します。皆さんの疑問に下記の項目に答える形で見ていきます。

  • 相続税について相談したいが、どのような方法があるの?
  • 面談で相談したいが、どこの税務署に行けばいいの?
  • 予約は必要なの?
  • 相談にどれくらい時間を取ってくれるの?
  • 相談の回数に制限はあるの?
  • 誰が相談にのってくれるの?
  • 土日や祝日、夜間も相談できるの?
  • お金はかかるの?

これらの疑問に対して、ここからお答えしていきます。

1-1. 相続税を相談したいが、どのような方法があるの?

電話

電話での相談も可能です。 所轄の税務署に電話をかけて、自動音声の案内に従い操作することにより、相談を受けてくれる担当者につながります。 電話での相談は、相続税についての一般的な質問に対応するのが主です。

個別事例の相談は、電話ではなく、面談による相談をお勧めします

電子メール、FAX

聴覚障害者の方に対しては、専用の電子メールやFAXの相談窓口が開設されていて、電子メールやFAXでの相談も可能です。

この相談窓口は、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」を踏まえ、聴覚に障害のある方からの相談に対応するために設置されているものですので、電話対応が可能な方は、電話の相談窓口をご利用ください。

面談

今回のテーマである面談による相談です。

一般的な相談は電話で行えますが、個別の事例に沿った相談、具体的な申告書や添付資料の確認、事実関係の確認をしたい場合など、電話での回答が難しい場合には、所轄の税務署での面談で相談できます。 

【参考】国税庁HP 国税に関するご相談について

1-2. 面談で相談したいが、どこの税務署に行けばいいの?

相続税の申告書を提出する税務署は、被相続人の住所を所轄する税務署と決められています。

一方、相談する税務署は、どこの税務署でも構いません。皆さんの自宅や職場に近い税務署で相談することもできます。

1-3. 予約は必要なの?

予約なしに直接税務署に行って相談を受けることも可能ですが、事前に予約をすることをお勧めします

事前予約を行うことにより、税務署側も担当者の手配ができ、ロスタイムなく面談ができます。 税務署へ電話して、音声案内に従って相談日時の予約をします。 また、相談予約の時に、相談内容を簡単に伝えておくと当日の相談がスムーズに行えます。

1-4. どれくらい時間をとってくれるの?

国税庁のホームページでは公開されていませんが、おおよそ1時間ぐらいです。

1-5. 相談の回数に制限はあるの?

相談の回数の制限はありません。何回でも相談できます

1-6. 誰が相談にのってくれるの?

税務署の職員が相談にのってくれます。

1-7. 土日や祝日、夜間も相談できるの?

相談は、平日の日中に限られます。

土日や祝日、夜間は相談できません。 また、所得税の確定申告の時期(1月から3月)は税務署が多忙で、相談の予約が取りずらいのが現実です。この時期を避けて相談するのが無難です。

1-8. お金はかかるの?

相談は無料です。

2. 相続税について税務署で相談できる範囲

ここでは、税務署に相談できる内容について見ていきます。

2-1. 相談にのってくれる範囲

税務署としては、私たち納税者に、正しく申告・納税してもらうために“相談”というサービスを提供しています。 そのため、相続税に関する情報や知識を提供し、納税に必要な手続きをアドバイスすることが主となります。 相談にのってくれる範囲としては、次のような項目です。

  • 相続税の基本的な考え方、仕組み
  • 相続税の基本手続き、スケジュール
  • 相続税の計算方法

2-2. 相談にのってくれない(であろう)範囲

税理士に相談する場合は、相談者の立場に立って相談に乗ってくれます。

一方で、税務署での相談は、相談者の立場に立って相談にのってくれるわけではありませんので、次のような項目は期待できません。

  • 節税対策の提案
  • 質問への回答以上のアドバイス

また、税務署での相談内容を書面でもらうことはできません。
そのため、相談内容については、皆さん個別に相談内容のメモを取っておき、相続税申告後に税務署との間で齟齬が出た場合に証拠とできるようにしておくことをお勧めします。

しかし、一般的には、税務署の相談内容について、仮に税務署の説明や回答が間違っていても、税務署は責任を取りませんので、注意が必要です。

3.税務署に相談する前に準備すること

限られている時間の中で相談しますので、相談前に準備していくことがいくつかあります。

3-1. 予備知識を習得、相続税の仕組みを理解

相談時間を有効活用するために、税務署としては、相談者にある程度の知識があることを前提にしています。 その為、相続税関係の書物やインターネットで調べたりして、ある程度予備知識を得ておきましょう。

相談の前に、下記のようなことについて事前に調べて、分からないところを相談するようにすると効率的です。

  • 相続税の基本的な考え方、仕組み
  • 相続税が課税される遺産とはなにか
  • 遺産の評価方法
  • 相続税の計算方法
  • 相続税の納付期限

3-2. 相続の事実関係を整理

税務署の担当者は、皆さんの個別事項は全く知りません。白紙からの相談となります。

事前に、皆さんの相続についての事実関係を整理しておくことが必要です。

  • 被相続人は誰か
  • 相続人は誰で、その人数と間柄、どのような遺産がいくらぐらいあるか

3-3. 具体的な相談内容

一から十まで税務署に相談するというのは効率的ではなく、自分で調べたうえで質問したいことを相談するというほうが効果的です。 事前準備として、「何を相談したいか」を具体的にしておきましょう。

「不動産の評価ってどうすればいいですか?」と曖昧な質問しても、期待する答えは得られません。「私は、○○な土地(大きさや用途)を保有していますが、小規模宅地等の特例の対象ですか?」というように、具体的な質問をすれば明確な回答が得られます。 このように、具体的な相談をすることが重要です。

また、税務署の相談でよく質問される項目については、国税庁のホームページに掲載されている「タックスアンサー(よくある税の質問)」で検索する事ができます。 一般的な質問についてはこれで解決する場合もありますので、事前にざっと見てみることをお勧めします。

【参考】国税庁HP タックスアンサー(よくある税の質問)

4. 税務署での相談に向いている人は?

税務署での相続税相談に向いているのは、次のような人です。

  • 無料で相談にのってもらいたい人
  • 平日の昼間に時間が取れて税務署に出向くことができる人
  • 相続税について、ある程度知識がある人
  • 相続税の申告書を自分で作成するつもりの人
  • 遺産額がそれほど多くない人や、特例を使って税額をゼロにするために申告する人
    など

一方で、土地含めた相続財産がある程度ある方は、節税方法のアドバイスや二次相続含めた最善策を提案してもらえる税理士に依頼する事をお勧めします。

5.まとめ

今回は、税務署での相続税相談について見てきました。

税務署と聞くと「怖くて、とっつきにくい」イメージがありますが、昔と比べると、最近は親切に相談に乗ってくれます。 税務署での相談は無料で手軽にできます。

一方で、相談者の立場に立った節税アドバイスは期待できないなど、デメリットもあります。 有償で税理士に相談するか、無料で税務署に相談するか、迷っている方も多いと思います。 どちらに相談してもメリットやデメリットがありますので、ご自分の状況を鑑みて、ご自分に向いている方を上手に利用しましょう。

どちらにしても、税務署相談は無料ですので、

  1. まず、税務署に相談する
  2. 税務署相談が期待に添わない場合は、税理士への依頼を検討する

というアプローチも良いのではないかと思います。

相続税に強い税理士が問題を解決いたします

相続税申告は税理士によって力量の差がはっきりと現れます。
相続税について、下記のような不安・課題を抱えている方は、相続税に強い税理士にご相談ください。

  1. 相続税をなるべく安くしたい
  2. 税務調査が怖い
  3. 評価が難しい土地がある
  4. 相続関連のいろいろな手続きが面倒で困っている
  5. 生前対策をしたいが、何をしたら良いかわからない

相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、税理士はあなたの味方になりますので、まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

【無料】今すぐお問い合わせ 0120-897-507 受付時間 : 平日10:00~19:00
お問い合わせ 受付時間 : 平日10:00~19:00
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監修
税理士相談Cafe編集部
税理士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続税や相続周りに関する記事を500近く作成(2023年4月時点)。
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