宝石も相続税の対象に!?評価方法までを徹底解説

相続によって受け取った宝石類も相続税の課税対象になることはご存知でしょうか?また、その評価はどのように行うのでしょうか?
今回は、案外知られていない宝石類の相続税評価について解説していきます。
1.宝石も相続税の課税対象である
被相続人が所有していた宝石を、相続または遺贈で譲り受けた場合には、その宝石は相続財産として相続税の課税対象になります。
国税庁ホームページには、相続税がかかる財産の説明として次のように記載されています。
「相続税は原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈(死因贈与を含みます。)によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。この場合の財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものをいいます。」
この通り、宝石には相続税がかかるとしっかり明記されています。
税務署は職権により、宝石店や百貨店の購入履歴などを手に入れることが可能です。何百万円と価値がある宝石を購入できるような富裕層については、税務署は生前からマークしています。特に宝石など高価で減価しにくいものは確実に調査されます。
2.宝石の相続税評価方法
宝石は相続税の課税対象になることが分かりました。そうなると、相続税を計算するためには宝石の金額を決める必要があります。
ここでは、宝石の相続税評価額について解説します。
2-1.評価基準
宝石は一般動産に該当するので、それに準じた評価方法となります。
一般動産は原則として次の金額を参考にしながら決めることになっています。明確な評価基準は公表されておらず、その財産に合わせて寛容な評価をすることができるようになってはいますが、実務上はこれらの金額をそのまま評価額とする場合がほとんどです。
- 売買実例価格:実際の市場取引価格
- 精通者意見価格:専門家の鑑定を受けた価格など
2-2.評価方法
宝石の場合には1点ものが多く、売買実例価格を見つけることは難しいため、精通者意見価格により評価する場合が多いです。
具体的な評価方法をいくつかご紹介します。
専門の鑑定士に依頼
宝石鑑定士に宝石を鑑定してもらいます。正に精通者意見価格ですね。
鑑定料は6,000~15,000円程度かかりますが、鑑定書は証拠資料となり最も確実な方法です。
実際の売却価格を参考にする
相続税の申告期限までに宝石を既に売却している場合には、その実際の売却価格を評価額にします。
売却価格は鑑定価格よりも低くなるのが通常であるため、相続税の節税に繋がります。
買取査定をしてもらう
宝石を質屋などの宝石買い取り業者に持って行き、いくらで買い取ってもらえるかを聞いてみましょう。
その宝石を現金化しようとするとその金額になるということなので、現時点での価値と捉えることができます。
査定価格は業者により異なるため、複数の業者に依頼した方がより正確な相場を確認することができます。
2-2-4.宝石の購入先に聞く
宝石を購入した店に価値を問い合わせてみましょう。
宝石店の中には宝石鑑定士が常駐しているところもあるため、運が良ければサービスとして、鑑定料無料無料で見てもらえるかもしれません。
3.宝石の価格帯別の計上方法
宝石の価値はピンキリです。数万円単位のものまで1つずつ計上することは手間であり、申告書への表記も煩雑になり見にくくなってしまいます。
そこで宝石の価格帯により、計上方法を分けることができるようになっています。
3-1.評価額5万円が基準
宝石の評価額が5万円以下か超えるかが基準となります。
国税庁が5万円という金額を明確に定めているわけではありませんが、目安として5万円というのが実務界で通っています。
3-2.具体的な計上方法
評価額が5万円を超える宝石については高額であると捉えて、1つずつ計上して評価計算します。
5万円以下の宝石については、少額であり相続税に与える影響も小さいため、他の家財などと含めて、「家財一式 〇〇万円」と一括で計上しても問題ありません。
まとめ
「昔のものだから。」、「形見分けだから。」と宝石に相続税は関係ないと思われるかもしれませんが、立派な相続財産であり相続税がかかります。
特に何百万円とするような宝石については、店の購入履歴や顧客名簿などから税務署も目を光らせていますので、申告漏れには十分注意しましょう。