準確定申告をしなかったらどうなるの?

準確定申告

亡くなった人(被相続人)の所得を、相続人が代わりに確定申告することを、準確定申告と言います。

市役所等に被相続人の死亡届を提出すると、その情報が税務署に届きます。この情報をもとに税務署は被相続人について調査を開始します。そのため、対象となった相続人は相続開始から4か月以内に必ず、準確定申告をしなくてはいけません。

また、準確定申告をすることで、申告の対象ではない相続人も所得税の還付を受けられる可能性もあります。

それでは、準確定申告をしなかった場合どうなってしまうのかについて解説していきます。

1.準確定申告とは

「準確定申告」は、被相続人(亡くなった人)の所得税の確定申告のことを言います。

被相続人と聞くと「相続税では?」と思われる方もいらっしゃいますが、準確定申告は「相続税の申告」の前段で行う所得税の申告です。この申告は、相続人(亡くなった人の家族)が行います。

準確定申告の概要については、以下の記事をご覧ください。

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1-1.準確定申告をすることで還付を受けられるケース

準確定申告の対象ではない人でも、「準確定申告」を行うことで所得税の還付を受けられるケースがあります。

次のような人は、還付を受けられる可能性が高いので、「準確定申告」を行った方が得策かどうかよく検討しましょう。

源泉徴収されている給料、又は公的年金等がある場合

給料の場合、病気などにより年の途中で退職している場合は勤務先で「年末調整」が行われていませんので、所得税が還付される可能性があります。

また、退職されていない場合でも、勤務先で年末調整がされているか確認することをおすすめします(通常、勤務先は死亡により退職した人へ年末でなくとも年末調整を行い、源泉徴収票を交付しなければなりません。)。

多額の医療費の支出がある場合

亡くなる前に疾病で入院している場合には、多額の医療費の支払いが発生するケースも少なくありません。

その場合は医療費控除の適用を受け、所得税の還付を受けられる可能性があります。準確定申告での医療費控除については、こちらの記事をご覧ください。

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その他

その他に、寄附金控除や新規の住宅ローン控除がある場合などが挙げられます。

2.準確定申告をしていなかった場合はどうなる?

日常的に税理士との繋がりがない場合準確定申告をしなければならないことをご存知ではないケースが多々あります。葬儀などが済み、相続税の申告について税理士に相談に行って、準確定申告という存在を初めて知るケースもあります。

では、「準確定申告」をしていなかった場合は、どのようなペナルティがあるのでしょうか。

2-1.無申告加算税が課される

準確定申告をしていない場合、「無申告加算税」が課されます。

無申告加算税の税率は、遅れた期間等により異なります。以下の表にそれぞれの税率をまとめました。

   50万円まで 50万円を超えた部分
申告期限から1ヶ月以内に
自主的に準確定申告した場合
加算税は課されない
税務調査の通知がある前に
自主的に準確定申告した場合
5%
税務調査の通知を受けてから税務調査が
実施される前に自主的に準確定申告した場合
10% 15%
税務調査後に準確定申告をした場合 15%     20%

なお、偽装隠蔽など悪質な場合は、最も重いペナルティ「重加算税(税率40%)」が課されます。

2-2.延滞税が課される

延滞税は遅延損害金の性格を持ち、納税が遅れたために課されるペナルティです。

この「延滞税」は、原則的に「当初の納付期限(申告期限)の2ヶ月以内の税率については年7.3%、2ヶ月を超えるものについては年14.6%」と定められています。

しかし、延滞税には特例が存在します。「特例」の税率は、次のとおりです。

当初の納付期限(申告期限)の2ヶ月以内に納付した場合

  • 特例基準割合+1%
  • 税率7.3%

のどちらか低い税率で計算

当初の納付期限(申告期限)の2ヶ月を超えて納付した場合

  • 特例基準割合+7.3%
  • 税率14.6%

のぢちらか低い税率で計算

実務上では、上記の特例が適用されます。また、特例基準割合(※)は年によって変動します。

※令和2年12月31日までは、納付期限(申告期限)から2ヶ月以内は「年2.6%」、2ヶ月を超えるものについては「年8.9%」となっています。令和3年1月1日以降の税率については、国税庁のホームページで発表されます。

【詳細】国税庁HP №9205 延滞税について

3.準確定申告後の注意点

準確定申告によって発生する所得税の納税額や還付額については、相続財産に含めることになります。所得税の納税額については、相続税の申告上「未払いの債務」に該当し、相続人に引き継がれます。

一方、所得税の還付金については、相続税の申告上「未収の財産」に該当し、相続税の対象になります。所得税の還付に加算される「還付加算金」については、準確定申告書を提出することによって取得できる性格のものであるため、被相続人からの相続によって取得できるものとはみなされません。

つまり、「還付加算金」については相続税の申告上、財産には該当しません。同様に、「準確定申告をしていなかった場合」に課されるペナルティも相続税の申告上「未払いの債務」に該当しませんので注意が必要です

まとめ

今回は、準確定申告をしていなかった場合のペナルティについてご紹介しました。

準確定申告は、相続を経験したことのない人にとっては馴染みのない制度です。申告期限についても相続開始日から4ヶ月になっており、葬儀などで忙しい中、申告の準備をしなければならないため、ついつい無申告になってしまうケースが多くあります。

しかし、無申告の場合は相応のペナルティが課されるため、申告期限内に準確定申告書の提出を行いましょう。準確定申告について不安のある方は税の専門家である税理士に相談されることをおすすめします。

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監修
税理士相談Cafe編集部
税理士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続税や相続周りに関する記事を500近く作成(2023年4月時点)。
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