相続税に多大な影響を与える広大地の判定と評価方法

広大地

日本では、相続税が高くなる一番の要因は不動産であり土地です。
中でも広い面積の土地を所有している場合は、さらに大きな税負担が発生します。ですが、その広い土地は一定の要件を満たすことで「広大地」という扱いを受け、評価額に補正を加えることができるようになります。これにより大幅な相続税の減税効果が発揮されます。
では「広大地」とは一体どういった土地の事なのでしょうか。

広大地とはどんな土地?

広大地については、国税庁のホームページに次のように記載があります。

「広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいいます。ただし、大規模工場用地に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものは除きます」

要約すると下記の3つに当てはまる土地のことです。

  1. 地域内の標準的な宅地よりも著しく広大である
  2. 開発行為時に公共公益的施設用地の負担が発生する
  3. 大規模工場用地と集合住宅等に適していない

ただし、これはあくまで定義上の話であり、現実的には広大地かどうか判断が難しい場合が多いです。

広大地の判定について

その土地が広大地であるかどうかは相続税申告上、極めて重要な問題です。なぜなら、広大地と認められれば相当な補正の適用がなされ、評価額が大きく減るからです。
これは税務当局からすれば税金逃れを生み出す要因になりかねませんので、税務署は広大地の要件を適用する土地に対して、厳しい判定を行うことになっています。

相続対象の土地を広大地として認めさせるためには、広大地の定義を正しく理解して、広大地であることを証明する必要があります。また税務当局に広大地と認めさせるために、税務署の担当者と交渉をしなければなりません。
広大地の判定のために活躍するのが「不動産鑑定士」です。

広大地の判定の3つのポイント

地域内の標準的な宅地よりも著しく広大

まず1つ目のポイントとして、対象となる宅地が「地域内の標準的な宅地よりも著しく広大」である必要があります。これを理解するには2つに分けて考えるといいでしょう。

まず「標準的な宅地」についてです。標準的な宅地に関して国税当局から通達は出ていませんので、その土地毎に鑑定士が妥当な「標準的な宅地」の面積を導き出す必要があります
なお、この標準的な宅地を導き出すのは容易ではありません。なぜなら、土地の用途が混在することもあり、基準となる目安がないからです。そのため、開発基準面積や最低敷地面積等を参照して「標準的な宅地」を決めていきます。

また「著しく広大」とされる土地の面積は場所により異なり、下記の通り、国税庁より通達が出ています。

市街化区域三大都市圏500㎡
それ以外の地域1,000㎡
非線引都市計画区域用途指定あり3,000㎡
用途指定なし市街化区域に準じた面積

この通り基本的に三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)であれば面積500㎡以上となっています。ただし、ミニ開発分譲が多い地域では500㎡未満でも広大地として適用されることがあります。あくまで「地域内の標準的な宅地よりも著しく広大」であることが条件です。

道路や公園など公共公益的施設用地の負担が発生する

2つ目のポイントとして、対象となる土地が「開発行為時に公共公益的施設用地の負担が発生する」ことが必要です。これは簡単に言うと対象の土地を開発するとして、そこに道路や公園が必要になるかということを意味しています。
このポイントは比較的税務署と争点になりやすいです。なぜなら、税務署がこの点に対して批判がしやすいからです。

税務当局はこの定義に対しては次の通りに説明をしています。それは「経済的・合理的に戸建住宅分譲を行った場合に、道路開発の必要性により判断すること」という文言です。しかし実際、税務当局は道路開発が必要ないとして広大地を認めないスタンスを取っています。
そこで不動産鑑定士はいかに開発行為時に道路や公園が必要になるかを立証しなければなりません。目安としては「対象地が角地でない」「奥行きが長く30m以上ある」などです。

広大地

文章だけでは難しいので図を使って説明します。
建築基準法では、建物を建てる際に、原則、その敷地は幅4m以上の道路に2m以上接しなければならないと定められています。広い土地を分譲して戸建住宅を建てるためには、それぞれ分譲された土地が幅4m以上の道路に接しなければいけませんので、幅4m以上の私道(位置指定道路)を開発する必要があります。

ところが、細かく分割せずに、敷地延長で路地状部分(旗竿地)と奥の家を建てる部分が一体の宅地の形状であれば、宅地は道路に接していることになりますので、新たに道路開発の必要はありません。もちろん、これでは、奥の土地が大きくなってしまい有効活用できる可能性が少なくなります。経済的・合理的とは言えないにも関わらず、税務署はそのようなことを考えずに、広大地と認めさせない傾向が一部あります。

税務署の意見がどうであったとしても土地を有効活用できなければ意味がありませんので、上記の例では、広大地を認めさせる必要があります。

大規模工場用地と集合住宅等に適していない

3つ目のポイントとなるのが、対象の土地が「大規模工場用地と集合住宅等に適していない」ことです。工場や集合住宅(マンション)等に適している場合は、土地内に道路開発の必要性もないため広大地として認められません。

実際問題としては適しているかどうかが判断しにくい土地が多いことが問題となっています。
税務当局は戸建用地と集合住宅用地が混在する地域では、専門家の意見から判断すべきだと見解を出しており、不動産鑑定士の意見が尊重されやすくなっています

不動産鑑定士は、工場や集合住宅を建築することが可能である場所か、また、建築後、有効活用される需要はあるかどうかを判定します。もし集合住宅の需要がなく、戸建用地として利用することが適切と判断できるのであれば、広大地として認められます。

広大地適用時の評価額の計算について

もし税務当局に土地を広大地として認めさせることができた場合には、どの程度まで評価額を低くできるのかでしょうか。

広大地の土地の評価額の計算式

広大地が路線価地域にある場合は、下記のような式によって評価額が補正されます(倍率地域については別の計算方法になります)。

広大地補正率=0.6-0.05×地積/1,000㎡
評価額=路線価×広大地補正率×地積

例えば、2,000㎡の広大地を保有している場合は、広大地補正率は「0.5」になります。つまり広大地適用前に比べると、評価額を半分にまですることが可能であり、大幅な節税効果が得られます。もし広大地に該当しそうな土地を持っている方であるならば、不動産鑑定士と協力して税務署になるべく「広大地」として認めさせた方がいいのです。

なぜ広大地だと評価を下げられるのか?

なぜ広大地として認められると評価額の補正を受けられるのでしょうか?
これは簡単に言うと「広大地はその全てを宅地として活用できない」からです。

広大地分割

小規模宅地であれば、その土地に一戸建てを建てることに問題はありません。けれども、広大地に一戸建てを建てることは現実的にはありえないです。つまり、分譲が必要になり、そのために道路開発が必要になって開発費用が発生します。さらに開発した道路部分は私道ではありますが宅地としての用を成しませんので土地の価値が減ってしまいます

もちろん、マンションや工場として建設することが有効と判断される可能性もあり、土地活用ができるのであれば広い土地のままでも良いでしょう。しかし、土地柄、大規模な建物はふさわしくなく、宅地分譲しないと買い手がつかない場所もあります。

広大地はその全てを宅地として利用できないため、補正を受けることができるようにルール決めされています。

広大地がある場合は相続に強い税理士へ

すでに述べましたように、広大地として認められるためには、税務当局に対して根拠を示し税務署担当者を納得させる必要があります。これは、大変な作業であり、仮に広大地として申告しても認められなければ、後から多額の追徴課税を課せられる可能性もあります。そのため、税理士によっては、広大地の申告を嫌い、土地の評価額を減額せずに高い評価額のまま申告してしまうケースもあります。

そこで、広大地とされるべき広い土地をお持ちの方は、ぜひとも相続に強い税理士へご依頼ください。経験豊富な税理士であれば不動産鑑定士と連携をとりながら、役所や不動産業者などからも情報を集め、なるべく広大地と判定されるように努力してくれるでしょう。

不動産鑑定士への依頼は税理士から

広大地の判定に当たって不動産鑑定士と協力することが重要と述べましたが、それではどうやって不動産鑑定士に依頼すれば良いのでしょうか?

実は、不動産鑑定士の人数は全国的にも非常に少なく1万人以下です。そのほとんどは東京、大阪、名古屋などの都市圏に集中しており、地方の件では10数人しかいないところもあります。不動産鑑定士に関してはほとんど情報もありませんし、どういう手順で依頼したよいか全くわからない方が多いと思います。

ところで、通常、相続に携わっている税理士は土地評価の際に連携する不動産鑑定士がいますので、税理士に相続税申告をお願いしていれば、その税理士から不動産鑑定士に依頼をかけて広大地の判定をしていただくことができます。不動産鑑定士の分の費用は別途発生しますが、それでも評価額が大きく下がることを考えると、依頼したほうが良いでしょう。

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まとめ

広い土地を所有されている方で広大地が認定されるかどうは、ある意味死活問題とも言える程、相続税に大きな影響を与えます。また、広大地として認められるかどうかは、申告してみないと分からない場合も多くあります。税理士に依頼した場合も、広大地評価が認められた場合と認められなかった場合の双方の相続税額を予め説明される事もあります。それくらい広大地については判断が難しいという事なのです。

ですので、広い土地をお持ちの場合は、なるべく広大地に関して経験豊富な税理士にお願いするのが良いでしょう。

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相続税申告は税理士によって力量の差がはっきりと現れます。
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相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、税理士はあなたの味方になりますので、まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

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