相続税申告に利用する路線価はどの年度のものを利用するのか?

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路線価図 新宿

1.はじめに

相続税及び贈与税の申告において、財産を評価する必要がありますが、その財産が土地の場合には、後述の路線価を用いて土地を評価する方式によって、相続税または贈与税評価額を算出します。

そして、その路線価は、毎年7月に公開されますが、実際の申告では、どの年度の路線価を用いて土地を評価すればいいのでしょうか?
さらに誤った路線価を用いて財産を評価して申告した場合にどのような是正方法があるのでしょうか?

2.相続税及び贈与税の財産評価について

路線価方式とは、路線価(路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、「路線価図」で確認することができます。)をその宅地の形状等に応じた調整率で補正した後、その宅地の面積を掛けて計算する評価方式のことです。
そして、路線価方式で宅地の価額を評価する場合には、原則として、路線価をその宅地の形状等に応じた調整率で補正した後、その宅地の面積を掛けて計算します。

相続税及び贈与税の財産の評価について、相続税法は、相続、遺贈又は贈与による財産の取得時の時価で評価すると規定しています(相続税法第22条)。そして最高裁判所の判例において、時価とは課税時期において、それぞれの財産の現状に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立する価額をいうとされています。

とはいえ、相続税や贈与税の対象となる財産は多種多様であり、その的確な評価が必ずしも容易ではないことや、税務行政の事務の円滑化な遂行のために各種財産の時価の評価に関する原則及びその具体的な評価方法を規定し、課税庁内部の取り扱いを統一するために、相続税及び贈与税の対象となる財産の評価は、財産評価基本通達が定められています。路線価方式とは、この財産評価基本通達に定められた評価方法なのです。

なお、路線価が付されていない土地の場合には、倍率方式(その宅地の固定資産税評価額(都税事務所や市(区)役所又は町村役場で確認してください。)に一定の倍率(倍率は「評価倍率表」で確認することができます。)を掛けて計算する評価方法で評価します。

【関連】相続税における土地の評価方法:路線価方式と倍率方式

3.路線価の公表時期はなぜ7月?

路線価の公表の時期は毎年7月です。相続税法上では相続、遺贈又は贈与による財産取得の時とされているのに対し、路線価が毎年7月にならないと公表されないのはなぜでしょうか。

まず、土地公示法に基づき、2人以上の不動産鑑定士が行った不動産鑑定評価に基づき、近傍土地の取引実例等を基礎とした鑑定価格に必要な調整を行って、土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点の標準地の公正な時価を毎年3月に算出します。これを公示価格といいます。

路線価は、その公示価格を基準として、国税局長が、土地評価審議会の意見を聞いて定めたものです。このように若干のタイムラグがあるので、路線価の高評価7月になるのです。

4.どの年分の路線価を使用すればいいのか;

路線価は、毎年7月に公表されるものの、その年の1月1日から12月31日までの土地の評価に用いられます。そして、相続税の申告期限が相続があったことを知った日から10か月です。

例えば、ある年の11月1日に相続があったことを知ったのであれば、翌年の9月1日までに申告すればよく、また相続があった年の路線価は7月に公開されているので、特に問題はありません。

では、相続がある年の1月にあったことを知った場合はどうでしょうか。この場合、相続税の申告期限はその年の11月です。しかしながら、その年の路線価はまで公開されていません。
このような場合には、約6か月間は申告を待つ必要があります。なお、緊急避難的に公示地価が3月に公開されるので、公示地価の8割を路線価と推定して、土地の評価を行う手法もありますが、誤った場合にリスクが高くお勧めできません。

5.誤った年分の路線価を用いて申告をした場合の是正方法

5-1.申告した税額が過大となった場合

誤った年分の路線価を用いて相続税又は贈与税の申告をし、正しい路線価を用いて申告した場合と比較して税額を過大納付した場合に、納税者が修正申告を行って申告により確定した税額を減少させることはできません。

なぜなら、修正申告を行えば自動的にいったん申告により確定した税額が変更されてしまうところ、減額の修正申告を認めると実質的には申告期限の延長と同様の効果が生じますが(過少申告の場合に修正申告をするときは過少申告加算税が賦課されますが、減額の修正申告の場合には過少申告加算税等の加算税を賦課できません)、これは相続税法が、申告期限を設けて納税者に申告に必要な準備期間を付与し、納税者はその期限内に十分に考慮した上で、申告することが期待されていること、さらに、悪質な納税者においては、逋脱(税を免れること)の手段や滞納処分の回避の手段として用いられる恐れもあり税負担の公平の見地から問題があるとされているからです。

そこで、この場合には、法定申告期限から5年間(相続が開始したことを知った日から10か月を経過した日から5年間)は、税務署長等に対し更正の請求をすることができます(国税通則法第23条第1項)。ただし、誤った年分の路線価を用いたことについて納税者に帰責性がないことが必要です。

5-2.申告した税額が過少であった場合

この場合には修正申告書を税務署長に提出します。修正申告書を提出することができる期間は、確定期限はなく、更正若しくは再更正又は決定があるまでは修正申告書を提出することができます。

修正申告の効果として、当初申告額を超える部分の税額を確定させる効果があります。実際上は、修正申告により確定された税額が正しい限り、税務署長等から更正処分をされないという効果を有します。

ただし、当初申告と修正申告との差額部分については、過少申告加算税の賦課決定処分がなされます。この場合において、過少申告となったことについて正当な理由がある場合には、過少申告加算税は賦課されません。さらに延滞税が賦課されます。

まとめ

以上のとおり、どの年分の路線価を用いて申告をすればよいのか、また誤った路線価を用いて申告をした場合の是正方法について検討してしましたが、実際の評価・申告等については税理士等の専門家の助言を受けることを強くお勧めします。

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