相続税申告は自分でできるのか?

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相続税申告 自分で

相続税の申告を、税についての知識が何もない一般人が1人で行うことは可能なのでしょうか。結論から申し上げますと、相続税の申告は、自分でできます。 しかし、相続財産の種類や規模などによって、自分で申告を行う難易度は大きく異なります。

今回は、自分で申告を行う場合のメリット・デメリットから申告の流れを説明し、 どのような場合であれば、相続税の申告を自分でできるのかの判断材料を提供していきます。

1.相続税申告は自分でもできる

冒頭でも申し上げたように、相続税申告は自分で行うことができます。そこで、ここでは、自分で申告する場合と税理士に依頼する場合で、どのようなメリット・デメリットがあるのかを説明していきます。

1-1. 自分で行うときのメリット

相続税の申告を自分でやる最大のメリットは、税理士報酬を支払わなくてもよいということでしょう。

被相続人がお亡くなりになって、葬儀費用などいろいろとお金がかかる中で、少しでも出費を減らしたいと思うのが当然のことだと思います。 相続税の申告を税理士に依頼した場合、財産の種類や規模などにもよりますが、一般的には数十万円~百数十万円程度の報酬を支払うことになります。

1-2. 自分で行うときのデメリット

自分で行うかどうかを判断するにはメリットだけではなく、デメリットも併せて考慮することが重要になります。 それではデメリットについて見ていきたいと思います。

手探りの状態で作業をする必要がある

相続税の申告をしなければならないという経験は一生に何度もあることではありません。 そのため、自分で書籍やインターネットなどで調べながら地道に手続きを進めていくという根気のいる作業になります

必要書類を過不足なく集め、難解な相続税の計算のルールを理解し、正しい納税額を算出しなければなりません。 また、税法は毎年のように改正がありますので、参照している情報が最新のものか常に気を付けなければなりません。

相続税の申告額を誤ってしまう可能性がある

プロである税理士でも苦労するほど、相続税の申告額を計算することは難しいものです。 一般の方が自分で計算を行った場合、申告額を誤ってしまうリスクは大きいものになるでしょう。

相続税には納税額を減らすことができるさまざまな特例が用意されていますが、一般の方ですとなかなかそれらを漏れなく適用することは難しく、税額が過大となってしまうことが多いようです。

税務調査に入られやすくなる

素人である一般の方が作成した申告書では間違っている可能性が高くなります。したがって、税務調査は圧倒的に自分で申告を行った場合の方が入られる確率が上がります

税務調査で、財産の計上漏れが判明してしまうと、当然、過少申告ということになってしまいペナルティの対象になります。

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平日に手続きを進めなければならない

お仕事をされている方が自分で申告を行う場合に困ってしまうのが、平日にしかできない手続きが多いということです。

戸籍などについては役所、金融資産の証明書については銀行や証券会社、申告書の入手や提出は税務署といったように、一般的に平日の日中にしか窓口が開いていない機関とのやり取りが多くなりますので、なかなか思うように進められないことが多いでしょう。

1-3. 税理士に依頼するときのメリット

次に、税理士に依頼する場合のメリットを見ていきましょう。

負担を最小限に抑えることができる。

税理士に依頼する場合にも、税理士との打ち合わせや、印鑑証明書の取得など、本人にしかできない手続きを行う必要はあります。
しかし、多くの税理士は夜間や土日に対応してくれますし、多くの手続きを代行してくれるため、自分でやらなければならない手続きは最小限に抑えることができます

特例、控除などを駆使して納税額を最小化できる

相続税には納税額を減額できる多くの特例や控除が用意されています。

税理士に依頼すれば、それらを最大限に活用し、納税額を低く抑えることができます

申告期限が近い場合などに、安心して進めることができる

相続税の申告は被相続人が亡くなったことを知ってから10ヵ月以内に行う必要があります。

葬儀などの法事や戸籍謄本や金融資産などの残高証明書の収集には多くの時間と労力がとられてしまい、さらに、相続財産の分割協議も相続人が何度か集まって決めるのが一般的です。したがって、気づいたら申告期限を過ぎてしまうということが起こってしまいます。

その点、税理士は、申告期限に間に合うようにスケジューリングしてくれますので安心して申告までの手続きを進めることができます。

1-4. 税理士に依頼するときのデメリット

最後に、税理士に依頼する際のデメリットを紹介していきます。

高額な税理士報酬

やはり、税理士に依頼する場合の一番のデメリットは、税理士報酬についてでしょう。

前述のとおり、相続税申告を税理士に依頼すると、一般的には数十万円~百数十万円程度の報酬を支払うことになります。  その分の金額を惜しむ人も多くいると思います。

家庭の事情が税理士にばれてしまう

相続人の中には、税理士に財産を知られたくない、複雑な家族構成について話したくないという方もいらっしゃるでしょう。

もちろん、税理士には守秘義務がありますので、漏洩することはないのですが、赤の他人に家庭内の事情を話すことに気が進まない方も中にはいると思います。

2.相続税申告を自分で行うときの方法

次に、自分で申告を行う場合の手続きについて説明したいと思います。 自分で申告を行う場合の流れやその作業量をしっかりと把握し、税理士に依頼するべきかどうか判断するための材料にしていきましょう。

2-1.相続税申告を自分で行うときの流れ

相続人を確定する

相続税の申告のために、まずは誰が相続人なのかを確定する必要があります。

相続人が何人いるかによって基礎控除額が異なるため、納税額も異なります。

具体的には、被相続人が生まれてから死亡までの戸籍謄本を集める必要があります。 戸籍謄本は本籍地の役所でしか取得できないため、生まれてから死亡までの間に転籍をしている場合は、複数の役所にて取得していくことになります。そのため、戸籍謄本の収集だけで1、2か月を要することもあります。

財産・負債を調査する

次に、被相続人の財産と負債をすべて調査する必要があります。

一般的な財産の種類とその調べ方を以下の表にまとめました。

財産の種類調べ方(例)
預貯金・有価証券通帳、郵便物、電子メールから金融機関に照会など
土地・建物権利書や名寄帳など
自動車・船舶等権利証や課税状況の確認など

さらに、借金などの負債についてもその有無を調査する必要があります。こちらはマイナスの財産、つまり相続税の計算上、財産からマイナスすることができます。

負債の種類調べ方(例)
借金など借用書、金銭消費貸借契約書等の書類の有無や貸金業者からの郵便物なども確認。また、信用情報機関に借金の開示を請求

財産の評価を行う

納税額は財産の相続税上の評価額に基づいて計算します。

上で調査した財産や負債などの評価を行います。 評価方法は財産の種類ごとに詳細に定められており、それに従って計算しないと相続税額が過大または過少に計算されることになってしまいます。

特に、土地についてはその形状や周辺の環境などに従って、納税額を減額できる様々な計算上の特例がありますので、最大限に活用したいところです。

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財産の分割方法を決める

どの財産を誰が相続するのかということを決める必要があります。

遺産分割は、遺言書があれば基本的には遺言に従うことになりますが、遺言書が無い場合は、相続人間で話し合って決める必要があります。いわゆる遺産分割協議です。 相続人との関係性によって、話の進むペースも異なりますので、長い時間を必要とする可能性もあります。

申告書の添付書類の収集

申告書には、その申告書に記載した内容の根拠となる書類を添付する必要があります。

戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書などの書類を添付する必要があります。 申告書に添付することになる書類は、必要であると判明した段階で取得しながら手続きを進めていくことも重要です。 一般的な添付書類については国税庁のホームページなどで確認ができますが、添付書類は被相続人の財産の内容によって異なりますので、慎重に揃える必要があります。

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相続税の申告書を作成する

ここまでの長い道のりを経て、いよいよ申告書を作成していきます。

申告書の様式は税務署に備え付けられています。 また、国税庁のホームページにてダウンロードすることも可能です。 申告書の様式には第1表から第15表まであり、その中で作成が必要な表は申告内容により異なります

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申告書の提出及び納税

申告書の作成が完了したら添付書類を添えて税務署に提出します。

申告期限は被相続人が亡くなったのを知ってから10ヵ月以内です。 提出先の税務署は被相続人が亡くなった時に住んでいた住所地を管轄する税務署であり、相続人の住所地ではないため注意しましょう。また、申告書は郵送で提出することも可能です。

申告書が提出できたら次は納税です。

納付書はどこの税務署でも入手可能で、納付もどこの税務署でも行うことができます。 その他にも、金融機関やコンビニに納付書を持参して行うことも可能です。 納付期限は相続期限と同じく、被相続人が亡くなったことを知ってから10ヵ月以内となっていますので、申告しただけで安心せず、申告したら速やかに納付するようにしましょう。

2-2.相続税申告を自分で行う場合のアドバイス

ここまで、相続税の申告を自分で行う流れを見てきました。

相続税の申告を自分で行う際は、書籍やインターネットの情報などを参照しつつ、税務署にも問い合わせながら細心の注意を払って進めていくことが重要です。

また、申告手続きは納付が完了するまでには多くの手続きがあり、一つひとつにある程度の時間がかかってしまいます。従って、全体のスケジュールをしっかりと管理しながら、期限内に納付を終えれるように進めていくことが重要です。

3.相続税申告を税理士に依頼すべきケース

これまでの内容を踏まえたうえで、どのような場合に税理士に依頼した方が良いのか具体的なケースを紹介していきたいと思います。

3-1.相続財産に土地がある場合

土地はその形状や周辺環境によって、特例を適用してその評価額を減額することができます。しかし、一般の方ですと、なかなかそのすべてを把握し、漏れなく適用することは困難です。

したがって、税理士に依頼し、うまく特例を活用することで納税額を減らすことができる可能性が高いでしょう。

3-2.海外に相続人がいたり、相続財産がある場合

海外に相続人がいたり、海外に相続財産がある場合は、相続人の確定、財産、負債の調査やその評価の手続きにおいて、現地の当局や機関とのやり取りが必要です。したがって、手続きがより複雑になりますし、時間もかかります。

そのため、このような場合も税理士に依頼することを検討すべきケースと言えます。

3-3.相続財産が基礎控除額を大きく上回る場合

相続財産が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を大きく上回る場合、税務調査のリスクや追徴税額が高くなってきますので、このような場合も税理士に依頼する方が安心して申告ができるのではないでしょうか。

3-4.申告期限が近い場合

何かしらの理由で、申告の手続きを開始する時点ですでに申告期限までの時間が残り少なくなってしまっている場合も税理士に依頼した方が良いケースと言えるでしょう。

一般の方の場合、申告手続きの最後になって必要な資料の請求が漏れていたことに気づくといったことがどうしても多くなりますが、申告期限が近い場合は期限内に申告できなくなってしまいます。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?

相続税の申告は、その他の税金の申告と比較しても専門性が高く難しいものであると言えます。自分で申告することは不可能では無いですが、簡単なケース以外においてはやはり専門家に依頼することを検討してみることも必要ではないでしょうか。

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相続税申告は税理士によって力量の差がはっきりと現れます。
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相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、税理士はあなたの味方になりますので、まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

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