相続税の基礎控除と税額控除・非課税制度のまとめ

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相続税とは

1.相続税とは

相続税とは、人が死亡したとき、その人が持っていた財産を他の人に移動させた場合に、その移動した財産に対して課される税金です。これには、遺言によってその死亡した人(以下、被相続人といいます。)の財産を移動させた場合も含まれます。

相続税は相続が発生したからといって誰にでもかかるものではなく、一般的に9割以上の人は関係ないと言われています。
それは、相続税法には基礎控除額をはじめとして、相続財産や税額から控除される額があるためです。

ここでは、最も重要な基礎控除額に重点を置きながら、各種控除および非課税の制度について解説してまいります。

2.基礎控除とは

相続財産の総額が、この基礎控除額を超えなければ相続税はかかりません。申告の必要もありません。

2-1.基礎控除額の計算方法

次の算式により計算されます。

3,000万円+600万円×法定相続人(※)の数

※法定相続人とは、民法に定められた相続人になれる人のことをいいます。

2-2.法定相続人の数え方

基礎控除額を計算する上で必要となる法定相続人の数は、どのように数えるのでしょうか。1人違うだけで600万円もの差になりますので注意しましょう。

2-2-1.法定相続人の範囲

配偶者は常に相続人となり、その他の人には次の通り順位が定められています。
第2順位の人は第1順位の人がいない場合に限り相続人となり、第3順位の人は第1順位及び第2順位の人がいない場合に限り相続人となります。

順位対象者
第1順位
子が既に死亡の場合には、その子の子供(孫)(※)
第2順位父母
父母が既に死亡の場合には、祖父母
第3順位兄弟姉妹
兄弟姉妹が既に死亡の場合には、その兄弟姉妹の子(※)

※これを代襲相続といいます。相続が開始した時点において既に死亡している相続人がいる場合には、その相続人の子(被相続人から見た孫や甥姪)が相続人となれるという制度です。

【関連】法定相続人の範囲と順位の基礎知識

2-2-2.養子がいる場合

養子は実子と同じく相続することが出来ます。法定相続分も全く同じであり、二者に差はありません。
養子には二通りの種類があり、普通養子(※1)と特別養子(※2)に分かれます。どちらに該当するかによって、法定相続人の取り扱いが異なります。

普通養子は、法定相続人に入れる人数に制限があります。被相続人に実子がいる場合には1人、いない場合には2人と決められています。
特別養子は、実子と同じ扱いになりますので、法定相続人に入れる人数に制限はありません。

  • ※1 普通養子とは、一般的に呼ばれる養子にあたり、生みの親との関係は消えることはなく、養子先の親と両方の相続権を持ちます。
  • ※2 特別養子とは、非常に立場の重い養子で、生みの親との関係は解消され、その相続権もなくなります。完全に養子先の親の実子となり、戸籍にも実子と記載されます。

【関連】相続税の節税対策、養子縁組のメリットとデメリット

2-2-3.相続放棄した人がいる場合

相続が発生したときには、相続人は相続放棄という方法を選択することができます。相続放棄とは、名称の通り被相続人の全ての財産債務を引き継ぐ権利を放棄することです。
相続放棄人がいる場合の法定相続人の数え方は、相続放棄がなかったものとして計算します。

【関連】相続放棄した人がいる場合の相続税の計算方法とポイント

2-3.具体例

それでは具体的に、被相続人の遺族がそれぞれ次の場合における、法定相続人の数を数えてみましょう。

〇配偶者、子2人、両親、兄弟姉妹1人
配偶者は常に法定相続人となり、第1順位の子が2人いますので、法定相続人は3人ということになります。

〇配偶者、子3人(うち普通養子2人)、両親、兄弟姉妹1人
配偶者は常に法定相続人となり、第1順位の子が3人います。しかし、子3人のうち2人は普通養子になりますので1人だけ法定相続人の数に算入されるようになります。よって、この場合における法定相続人の数は3人ということになります。

〇配偶者、両親(うち母は相続放棄)、兄弟姉妹1人
配偶者は常に法定相続人となり、第1順位の子がいませんので第2順位の両親が法定相続人となります。両親のうち母は相続放棄していますが、法定相続人の数には無関係ですので、法定相続人の数は3人ということになります。

2-4.平成27年相続税大改正

相続税法は過去に何度も改正が行われていますが、平成25年度税制改正は大きな改正となり、平成27年1月1日以降に発生する相続について適用されることとなりました。
中でも基礎控除額についての改正は20年ぶりであり、正に大改正と言っても良い内容です。

改正前改正後
5,000万円+
1,000万円×法定相続人の数
3,000万円+
600万円×法定相続人の数

となり、相続人が配偶者と子供の2人であった場合、改正前であれば7,000万円あった基礎控除額が、改正後は4,200万円となり2,800万円もの差が出ます。これにより一気に相続税の課税対象者と納付税額が増えていることでしょう。

【関連】相続税の基礎控除額を大幅引き下げ!財産いくらで相続税がかかる?

3.非課税制度とは

相続財産として相続税の対象とはなるものの、一定の金額までは非課税となる制度です。その対象財産に対して相続税を課することは、社会通念上の配慮から適当ではないと考えられるためです。

3-1.生命保険金等の非課税限度額

死亡保険金、死亡退職金は、被相続人死亡後の家族の生活を守るため、500万円×法定相続人の数ほどの非課税枠が設けられています。

3-1-1.生命保険金

非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」によって算出されます。法定相続人が1人増える度に限度額が500万円増えるということです。

【関連】生命保険による相続対策とかかる税金

3-1-2.死亡退職金

非課税限度額は生命保険金と同様に、「500万円×法定相続人の数」で算出されます。法定相続人が1人増える度に限度額が500万円増えるということです。

3-2.弔慰金の非課税限度額

被相続人の死亡が、業務中なのか否かによって非課税限度額が決まります。

業務中であった場合被相続人が死亡した時点における
普通給与の3年分にあたる金額
業務中でなかった場合被相続人が死亡した時点における
普通給与の6か月分にあたる金額

4.税額控除とは

税額控除とは、算出された相続税額から直接差し引くことができる金額をいいます。
上で解説させていただいた基礎控除額と非課税制度は、相続税率が乗じられる前の遺産の額から差し引かれる金額であり、税額控除とは差し引かれるタイミングが異なります。

相続税の計算

上図は相続税の計算方法を表現したものです。基礎控除では、STEP2③で控除しますが、障害者控除では、STEP3⑧で税額控除します。

4-1.未成年者控除

財産を取得した法定相続人が未成年者である場合には、その人が20歳に達するまでの年数に10万円を乗じた金額を控除することが出来ます。
この控除額が対象となった未成年者の相続税額を超える場合には、その超える部分の金額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から控除します。

よって15歳の相続人が相続した場合には、
10万円×(20歳-15歳)=50万円
となり、算出される相続税額から50万円差し引くことが出来ます。

4-2.障害者控除

財産を取得した法定相続人が障害者である場合には、その人が85歳に達するまでの年数に10万円(特別障害者である場合には20万円)を乗じた金額を控除することが出来ます。
この控除額が対象となった障害者の相続税額を超える場合には、その超える部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から控除します。

一般障害者…10万円×(85歳-相続時の年齢)
特別障害者…20万円×(85歳-相続時の年齢

よって50歳の一般障害者である相続人が相続した場合には、
10万円×(85歳-50歳)=350万円
となり、算出される相続税額から350万円差し引くことが出来ます。

【関連】相続税の障害者控除と未成年者控除

4-3.相次相続控除

相次いで相続が発生してしまった場合には、短期間のうちに同じ財産に対して相続税がかかってしまうことになります。
そこで10年間の間に2回以上の相続が発生した場合には2次相続時において、1次相続時に納付した相続税額のうち一定の金額を控除することが出来ます。

4-4.配偶者控除

正確には「配偶者の税額軽減」といい、自分の配偶者が亡くなり相続が発生した場合には、他の相続人にはない特別な税額軽減の適用を受けることが出来ます。
控除される金額は、1億6千万円と配偶者の法定相続分(※)の額を比べていずれか高い方の金額となります。
よって、被相続人の配偶者が相続した財産の額が1億6千万円未満である場合には無税、それを超える場合であっても配偶者の法定相続分までの金額であれば無税ということになります。

配偶者の法定相続分
相続人が配偶者と子供1/2
相続人が配偶者と直系尊属(父母、祖父母)2/3
相続人が配偶者と兄弟姉妹3/4

【関連】相続税の配偶者控除で少なくとも1億6000万円までが非課税に!

4-5.その他の税額控除

上記4つの税額控除の他に、贈与税額控除、外国税額控除、相続時精算課税制度贈与税額の控除があります。
これらの税額控除は、相続税と既に支払っている相続税以外の税金の二重払いを防ぐために設けられたもので、相続税額からその金額を差し引くことによって調整されるようになっています。

5.まとめ

基礎控除額は、相続税申告書を作成する際には勿論ですが、相続税がかかるか否か考える際にも非常に重要なものになります。算式としては簡単なものになりますので、頭に入れておくと良いでしょう。

また、生命保険契約において受取保険金額を決める際においても、将来の相続税対策を考えるならばこの非課税制度の算式は有用です。
税額控除においては、配偶者控除がとても大きな節税効果を持っていますが、その分デメリットも抱えています。

ここで紹介した以外にも、小規模宅地等の特例や貸宅地など相続税が減額される方法があります。

賢く利用するためには税理士などの専門家に相談されることをおすすめ致します。

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