相続税の取得費加算とは?不動産の売却は生前と死後のどっちがお得?

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不動産

通常、不動産を売却すると譲渡所得(所得税)が発生します。ただし、相続した不動産を一定期間内に売却した場合は、すでに支払った相続税の一部を差し引くことができる取得費加算という制度があります。不動産の売却は生前と死後のどちらがお得なのかを解説します。

1.相続税の取得費加算

相続税の取得費加算ってなに?

相続税の取得費加算とは簡単に言うと、相続税として支払った金額の一部を譲渡所得の計算上「取得費」に加算していいですよ、という意味です。譲渡所得の計算上、取得費が増えれば譲渡所得はその分減ります。つまり、相続税の取得費加算とは譲渡所得税の軽減制度なのです。

【用語】譲渡所得

個人が得る利益は所得とよばれ、給与所得・不動産取得など10種類の所得がありますが、そのうちの一つが譲渡所得です。
譲渡所得とは、土地、建物、株式等、ゴルフ会員権、骨董品などの資産を譲渡(売却)することによって得られる所得をいいます。次のように計算されます。
譲渡所得 = 総収入金額 - (譲渡費用 + 取得費) - 特別控除額

相続税の取得費加算の適用を受けるための条件とは

この特例を適用させるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

①相続または遺贈によって財産を取得している
②相続税が課税されている
③相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

①と②については当然として、問題は③です。

つまり、相続税を取得費として加算するには、相続税の申告期限から3年以内に売却しなければならないということです。

相続税はいくらまで取得費にできるの?

取得費に加算する相続税額は、次の計算式によって算出します。ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となります。

取得費に加算する相続税額 = その人の相続税額 × その人の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の課税価格/(その人の相続税の課税価格+その人の債務控除額)

ややこしい言葉が並ぶ式で申し訳ありませんが、具体例で書きますと、たとえば、ある人の相続税額が9,000万円、譲渡した財産の課税価格が1億円、相続した財産の合計課税価格が3億円だとすると、取得費に加算する相続税額は、

9,000万円 × 1億円/3億円 = 3,000万円

となります。

相続税の取得費加算の特例を受ける方法は?

相続税の取得費加算の特例の適用を受ける場合は、必ず確定申告をする必要があります。この際には以下のような書類が必要となります。

  • ①相続税申告書の写し
  • ②相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
  • ③譲渡所得の内訳書

2.不動産を売却する場合は、生前それとも死後どっちが有利?

では、不動産を所有しているご家庭は、生前に売却するのと死後に売却するのとどっちの方が有利なのでしょうか。この問題、一言で回答するのは非常に難しいのですが、それぞれのケースでメリットとデメリットを検証してみましょう。

ケース1:生前に不動産を売却した場合

メリット:遺産分割対策になる

生前に不動産を売却すると売却したことによって得た「現金」が残ります。不動産は遺産分割の際に非常に分けにくく、相続トラブルの原因となることがしばしばありますが、予め売却して現金化しておけば、相続発生時にも法定相続分に則って容易に分割することができます。

デメリット:相続税が高くなる

不動産を生前に売却すると、現金が残ります。では1億円の現金と1億円相当の不動産ではどちらが多くの相続税が課税されるでしょうか。答えは1億円の現金です。市場価値としては同じ1億円でも、不動産の場合は路線価や固定資産税評価額によって算出する金額となるため、市場相場の7割程度の評価額となります。さらに、アパートなどの賃貸物件であれば「貸家建付地」としてさらに評価額が低くなるため、相続税の節税から考えると、安易に生前に不動産を売却すると相続税額はかなりの確率で上がることになります。

ケース2:相続してから売却した場合

メリット:相続税の節税になる

相続してから売却するということは、相続の段階では不動産のままですから、課税される相続税額は先ほども説明した通り低くなります。またさらに相続税の申告期限から3年以内に売却すれば、さらに一定額を取得費として加算できるため、譲渡所得税についても節税することができます。

デメリット:遺産分割リスクがある

不動産の状態のまま相続を迎えると、その分割方法をめぐって親族間で争い事が発生するリスクがあります。また、仮に遺産分割が上手くいったとしても、不動産を「共有」するという選択肢をとった場合は、売却するにあたって共有者全員の同意が必要となるため、反対する人がいると売却できなくなるというリスクもあります。

不動産を生前に売却不動産を相続してから売却
メリット遺産分割対策相続税の節税、取得費加算の適用
デメリット相続税が高い遺産分割リスク

このように比べてみると、相続してから売却した方が税務上は良さそうな感じがすると思いますが、これはあくまで不動産の評価額が相続前の売却価格よりも低くなることが前提の見解です。
要するに、いつ売るかということも重要ですが、「いくらで売るのか」ということも大きく影響します。また、その他に保有している財産によっても課税される相続税額は変わってくるため、一概にこっちがいいですとはいえません。詳しく検討したいのであれば、相続税に強い税理士に直接ご相談ください。

忘れてはならないのは、不動産の売却については、節税だけではなく、遺産分割対策のことも良く考えた上で最良の選択をすることなのです。

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