不動産の相続登記手続きの方法 | 相続税理士相談Cafe
1.相続登記とは 「相続登記」とは、建物・土地などの不動産を相続した際に、その不動産の名義(所有者)を被相続人から相…[続きを読む]
相続によって財産を受け継ぐ際、財産の種類によっては名義変更が必要なことがあります。相続財産の種類によって名義変更の手続きや必要書類も変わってきます。
「不動産や車などどのような手続きで名義変更をし、どのような書類が必要なのか。」「いつまでに名義変更しなければならないのか。」
今回は、こういった疑問にお答えし、相続にともなう名義変更の手続きについて解説します。
最初に、相続財産の種類ごとに名義変更が必要な理由や手続き、必要書類などを確認しておきましょう。
目次
相続発生によって名義変更が問題となる代表的な財産が不動産です。
相続で不動産を引き継いだ場合に、所有権が相続によって移転した旨の登記を行います。自宅のように土地と建物の両方を相続した場合は、土地と建物それぞれについて行います。
実は、相続登記というのは、必ずしも行う必要がありません。ただし、相続登記をせずに放っておくと、他の親族が勝手に登記をして売却してしまったり、その後に発生した相続で相続関係が複雑化しトラブルになったりするケースが少なくありません。そのため、相続登記は行っておくに越したことはありません。
不動産の相続登記は相続登記申請書を作成し、必要書類とともに法務局に申請することで行われます。法務局に申請してから、名義変更が完了するまでには1週間程度が必要です。
不動産の登記には、登録免許税が課税されます。相続による所有権移転登記の登録免許税は、以下の計算式によります。司法書士に登記を依頼した場合は、当然その報酬も発生します。
相続を原因とする所有権移転登記の登録免許税
登録免許税(100円未満切り捨て) = 不動産の固定資産評価額 × 0.4%
相続登記の、必要書類は次の通りです。
不動産の相続登記について詳しくお知りになりたい場合は、以下の関連記事をお読みください。
被相続人が所有している財産の中で、最も一般的なものが、銀行などの預貯金でしょう。被相続人が所有している銀行口座は、銀行が相続開始を認識した時点で口座は凍結され、お金が引き出せなくなります。
預貯金引き出すには、を銀行口座の凍結解除と凍結解除後の名義変更が必要となります。
銀行口座で必要な手続きは、凍結解除と凍結解除後の名義変更です。基本この2つは同一の手続きで行うことができます。
凍結解除と名義変更の手続きは、各銀行の払戻などの依頼書に相続人の署名押印を添え必要事項を記載し、相続人の戸籍謄本や印鑑証明書といった必要書類を提出することで行います。これら以外に、凍結された口座の預金通帳やカード、届出印なども必要です。
ただし、銀行によって必要書類が異なるため、手続きの前には、必ず各金融機関にお問い合わせください。手続きが完了すると、払い戻し依頼書で指定した口座に振り込みがあります。
銀行口座の名義変更について詳しくは、以下の関連記事を是非お読みください。
被相続人が株券を所有している場合は、株券の名義を変更する必要があります。名義変更なしでは、相続人はその株式を引継ぐことができません。そこで、株式の名義変更が必要となります。
中小企業の自社株など、非上場株式を相続した場合は、非上場株式の会社に保管されている株主名簿を変更します。
上場株式を所有している場合は、証券会社などでの手続きが必要となります。具体的には、以下の手続きとなります。
上場株式の名義変更は、被相続人が証券口座を開設している証券会社などで手続きを行います。証券会社所定の相続による株券名義書き換え依頼書に必要事項を記載し、相続人の戸籍謄本や印鑑証明書といった必要書類と一緒に提出します。
原則、上場株式の名義変更手続きの必要書類は、以下の通りです。ただし、証券会社によって必要書類が異なるため、手続きの前には、必ず証券会社にお問い合わせください。
もし、電子化されていない株券がある場合は、失念救済を行い、株券を電子化する必要があります。
非上場株式の場合は、株式会社によって手続きが異なるので、発行している株式会社に問い合わせるのが確実です。
被相続人が自動車を所有していた場合、相続の発生による名義変更の義務はありません。
しかし、名義変更をしておかないと、その車を売却や廃車する際に、手続きが複雑になるので不動産登記と同様やっておくに越したことはありません。
自動車の名義変更は、陸運局で手続きを行います。
運輸支局で申告書等を作成し、手数料納付書に登録手数料500円の印紙を貼付して支払うとともに、必要書類を提出します。
手続きが完了すると、新しい車検証が交付されます。手続き完了後には、自動車税等の税金の申告も必要です。運輸局内の税申告窓口で一緒に行いましょう。
遺産分割協議で相続人の一人を新所有者とした場合の名義変更手続きに必要な書類は、以下の通りです。
自動車の相続による名義変更手続きについて詳しくお知りになりたい方は、是非以下の関連姉妹サイト「相続弁護士相談Cafe」の記事をご覧ください。
では、相続の名義変更はいつまでにすればよいのでしょうか。
名義変更は、誰がどの遺産を相続するかが分かるまで行うことができません。そこで、原則は、遺産分割協議後に名義変更を行います。ただ、名義変更をしなくても相続の手続きは進めることができます。そのため、遺産分割協議後のタイミングで名義変更をいつ行うかは、それぞれの事情で異なります。
例えば、相続税の納税資金が必要な場合は、相続税の納付期限までに銀行口座の凍結を解除する必要があります。また、相続後すぐに不動産の売却を考えている場合は、相続の手続きと同時進行で名義変更の手続きを進めていくことになります。
名義変更の手続きでは、財産によって必要書類が異なりますが、どの財産であっても最低限必要な書類がいくつかあります。
名義変更で共通して必要な書類は、次の通りです。
1.被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
市区町村役場で入手。出生から死亡までに転籍している場合は、転籍地ごとの市区町村役場での入手が必要。
2.被相続人の戸籍の附票
被相続人の住所の「移転履歴」を記録した書類。本籍地の市区町村役場で入手する。
3.相続人の戸籍謄本
本籍地の市区町村役場で入手。
4.相続人の住民票(又は戸籍の附票)
住所地の市区町村役場で入手。
5.遺産分割協議書・相続人の実印
6.相続人全員の印鑑証明書
市区町村役場やコンビニ(マイナンバーカードが必要)で入手。
相続財産の名義変更をする場合、これらの書類は原則返却されます。しかし、返却されない場合もあるので、どこに提出したのかを控えておき、返却が可能か否かを確認しておく必要があります。
また、必要になる度に市区町村役場に行く手間を省くために、あらかじめ複数用意しておくといいでしょう。
これらの書類を市区町村役場で入手する際にも、種類によって450円から750円程度の費用がかかります。
名義変更が必要な財産の種類は多く、また、その手続きも複雑な場合があります。では、相続の名義変更で困った場合は、どこに相談すればいいのでしょうか。
相続税の申告と名義変更を同時進行で行っている場合など、相続税の申告を税理士に依頼している人も多いでしょう。相続税に強い税理士の多くは、弁護士や司法書士と連携しています。
もし、相続税の申告を税理士に依頼しているのであれば、その税理士に名義変更も一緒に相談したほうが良いでしょう。
今回は、相続で必要な名義変更の手続きについて紹介ました。
名義変更は原則、遺産分割協議後に行います。ただし、遺産分割協議の後のどのタイミングで名義変更するかは、それぞれの人の事情で異なります。
名義変更では、必要書類を揃えたり、手続きが完了するまでにある程度の時間がかかることがあります。何を名義変更しなければならないか、またその手続き手順や必要書類を把握し、余裕を持って名義変更を行いましょう。