生命保険の名義変更の手続きと必要書類

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生命保険

 相続対策のため、あるいは子どもの独立を機に生命保険の名義変更をする場合があります。名義変更の手続き方法と必要書類、税制上の注意点などについて解説します。

1.名義変更をするケース

生命保険の名義変更をするケースは、例えば以下のような場合が考えられます。なお、名義変更の定義には一般的に、契約者変更、結婚等による単なる改姓や改名、保険金受取人変更などが含まれますが(保険会社によっては、契約者変更と改姓を最初から分けているところもあります)、ここではあくまで契約者変更のことを名義変更と呼びます。

1-1.相続対策のために名義変更する

契約者(=保険料負担者)が被保険者と同一で、保険金受取人が相続人の場合、被保険者が死亡した場合の死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。このため、生前に親から子へ名義変更しておく場合が考えられます。なお、相続人が死亡保険金を受け取る場合は、死亡保険金の非課税金額の適用があり、「500万円×法定相続人の人数(相続放棄をした相続人も人数に含めます)」が非課税となります。

1-2.子どもの独立を機に名義変更する。

親が子を被保険者とする生命保険に加入し、保険料も払ってきましたが、子どもが社会人になって独立したり、結婚するタイミングで、親から子へ名義変更する場合が考えられます。

1-3.離婚したため名義変更する。

夫が妻を被保険者とする生命保険に加入し、保険料も払ってきましたが、離婚することになったため、夫から妻へ名義変更する場合が考えられます。
これらの名義変更は、実は意外に多いのではないでしょうか。では次に、名義変更の手続き方法と必要書類について見てみます。

2.名義変更の手続き方法と必要書類

2-1.手続き方法

名義変更をする場合は、一般的に次の1~4のような流れになります。

1.生命保険会社へ連絡(コールセンターや支社・営業所の営業担当者などへ連絡)
2.コールセンターから書類送付(営業担当者が書類を届ける場合も)
3.書類を準備し、提出
4.保険会社で受け付け、不備がなければ手続き完了

なお、名義変更手続きは、生命保険会社によって取り扱いが異なります。インターネットでの書類請求ができるところもあれば(ただし、インターネットによる手続き完結はできないところがほとんどです)、窓口での手続きしかできないところもあります。

2-2.主な必要書類

名義変更手続きに伴う主な必要書類は、生命保険会社によって異なりますが、概ね以下のとおりです。

  • 生命保険会社所定の名義変更請求書(会社により呼称は異なります。なお、印鑑も必要です)
  • 保険証券
  • 現契約者および新契約者の本人確認書類(運転免許証やパスポート、健康保険証の写しなど)

3.税制上の注意点

生命保険の名義変更を行う場合は、課税関係に注意しなければなりません。
例えば、現在契約している養老保険の契約者および保険金受取人の一部を、次のように夫から妻に変更する場合の課税関係を考えてみます。

  • 契約者(保険料負担者):夫から妻へ変更
  • 被保険者:妻のままで変更なし
  • 死亡保険金受取人:夫のままで変更なし
  • 満期保険金受取人:夫から妻へ変更

3-1.名義変更時点の課税関係

名義変更時点では、保険金の支払いは発生していないため、課税関係は発生しません。

3-2.保険金を受け取った場合の課税関係

3-2-1.死亡保険金を受け取った場合

  • 死亡保険金のうち、前契約者(夫)が負担した保険料に相当する部分に所得税(一時所得)、住民税が課税されます。
  • 死亡保険金のうち、新契約者(妻)が負担した保険料に相当する部分に相続税が課税されます。

3-2-2.満期保険金を受け取った場合

  • 満期保険金のうち、前契約者(夫)が負担した保険料に相当する部分に贈与税が課税されます。
  • 満期保険金のうち、新契約者(妻)が負担した保険料に相当する部分に所得税(一時所得)、住民税が課税されます。

3-3.名義変更完了後に解約した場合の課税関係

名義変更完了後に、新しく契約者となった妻が養老保険を解約し、解約返戻金を受け取った場合は、

  • 解約返戻金のうち、前契約者(夫)が負担した保険料に相当する部分に贈与税が課税されます。
  • 解約返戻金のうち、新契約者(妻)が負担した保険料に相当する部分に所得税(一時所得)、住民税が課税されます。

3-4.名義変更完了後に前契約者が死亡した場合の課税関係

名義変更完了後に、支払事由発生前に前契約者である夫が死亡した場合、夫は被保険者ではないので保険金の支払いは発生しませんが、その時点において「生命保険契約に関する権利」として評価された金額のうち、前契約者(夫)が負担した保険料に相当する部分に相続税が課税されます。

また、その後妻が満期保険金を受け取った場合は、前契約者(夫)が負担した保険料に相当する部分は、新契約者(妻)が保険料を負担したものとみなされ、満期保険金の全額に所得税(一時所得)、住民税が課税されます。

【参考外部サイト】国税庁:「質疑応答事例」(贈与財産の範囲)5.生命保険契約について契約者変更があった場合
(相続税法第5条第2項、相続税法基本通達3-36)

3-5.生命保険会社が税務署に提出する支払調書について

もう一点、生命保険会社が税務署に提出する支払調書の取扱い変更についてもふれておきます。今年2018年1月1日から、支払調書の記載事項が変更され、名義変更前の契約者名や、契約者変更の回数、支払時の契約者の既払込保険料などについても記載されることになりました。また、契約者の死亡により契約者が変更された場合の「保険契約者の異動に関する調書」が創設され、解約返戻金が100万円を超える場合、生命保険会社は新旧の契約者名や解約返戻金相当額などを調書に記し、税務署へ提出することになりました。

これまで支払調書は、言ってみれば不完全で、名義変更した場合に贈与税や相続税の課税対象となるかについて税務署で正しく把握することが難しかったのですが、今後はすべて筒抜けになると思ったほうがよいでしょう。この改正は税制そのものの変更ではなく、あくまでも支払調書の取扱い変更ですが、契約者と保険料の実質的な負担者が異なるいわゆる「名義保険」になっている場合は、十分な注意が必要です。

3-6.その他の注意点

名義変更つまり契約者変更には、生命保険会社と被保険者の同意が必要です。これらの同意なしに勝手に変更することはできないので注意しましょう。なお、保険金受取人のみを変更する場合は生命保険会社の同意は不要ですが、被保険者の同意はやはり必要になります。保険金受取人は、保険法により、現在では遺言での変更も可能になっています。

そして、これは当然ではありますが、生命保険においては「被保険者の変更」はできません。被保険者を変更すると、保険契約の条件そのものが変わってきてしまうからです。

4.まとめ

生命保険の名義変更は、「1-1.相続対策のための名義変更」で解説したように、やはり相続対策の現場で多く見られます。しかしながら、見てきたように税制上の取扱いについて特に注意が必要です。
名義変更時点では課税関係が発生しないため、気にかけない人が多いですが、後でトラブルが生じるケースも多いのです。また、加入している保険が「名義保険」状態になっている人も注意が必要です。

生命保険の名義変更については、高度な税務知識を必要とする場合も多いので、わからないことがあれば実行前に税理士に相談することをお勧めします。

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