相続税の書面添付制度の真相を解説|税務調査が入らないはホント?

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「相続税申告に税理士がある書面を添付すれば、税務調査が入る確率が下がる!」「税務調査が入らない!」といった情報をよく目にします。当事者である人は特に気になることでしょう。

実際のところどうなのか。書面添付制度の概要から詳しく解説します。

1.相続税の書面添付制度とは

1-1.書面添付制度の概要

書面添付制度とは、税理士が税務調査で問題になりそうな箇所(名義預金や贈与の有無など)を税務署に代わって事前に調査をし、大丈夫ですよという結果をまとめた書面を申告書に添付して税務署へ提出する制度です。
税理士または税理士法人だけが作成できる書面になります。

この書面添付を行った相続税申告は、一般的に税務調査が入りにくいといわれているのです。それは果たして本当なのか、次項以降で解説していきます。

【出典サイト】国税庁「税理士法第30条及び第33条の2に規定する書面の様式の制定について(法令解釈通達)」

1-2.書面添付の有無による流れの違い

書面添付をした場合としなかった場合では、税務調査が入る際の流れが違います。

書面添付していない場合

税務署から納税者に税務調査に入る旨の事前通知があり、日程を調整します。相続税申告を税理士に代行してもらった場合には、その税理士にも同様の連絡があります。

書面添付をしている場合

税務調査という形が取られる前に、まず税務署から税理士に対して「意見の聴取」があります。提出した書面の内容を見た税務署が、もう少しこの辺の説明を詳しく聞きたいと連絡してきます。

税務署はその説明を聞いたうえで、まだ調査が必要であると判断した場合には「書面添付していない場合」と同様に税務調査に入ります。
書面添付がある場合には、調査先を選ぶ時点での参考情報を増やすことができるのです。

1-3.税務署が助かる

税務署には年間10万件を超える相続税申告書が提出されます。これらすべての申告を税務署だけで精査するのは物理的に不可能であるといえるでしょう。
そこで書面添付制度を作ることで、申告書を作成する段階で税理士にある程度の調査を済ませてもらうことにしたのです。

書面には、どのような項目をどのようにして調べたのか、どのような資料を見たのかなどを事細かに書くようになっており、これを見て税務署は調査先を効率的に選ぶことができるようになります。
税務署は税理士のために「税理士法第33条の2の書面添付に係るチェックシート〔相続税〕」まで作成するほど、積極的に書面添付を推進しています。

【参考サイト】税理士又は税理士法人の皆様へ|国税庁 

2.相続税の書面添付制度のメリット

2-1.税務調査前にまず税理士へ確認が入る

1-2.で解説した通り、書面添付している場合には税務調査の事前通知前に、まず税理士へ意見聴取が行われます。ここで税務署の疑問が解決した場合には税務調査は行われません。
またこの税理士への意見聴取は、税務調査前にワンクッションを置く必要が出てくるため、税務署にとっては単に手間であるともいえます。

仮に全く同じ内容の申告書が2つあるとして、書面添付がある申告とない申告とでは、書面添付がない申告書の方が税務調査が入る可能性は高いでしょう。

2-2.税務調査期間の短縮

税務調査が入ることになった場合であっても書面添付をしている場合には、税務署は既に添付書面を読み、税理士への意見聴取も済ませている状態で税務調査へやって来ます。

また書面添付ができているということ自体が、その完成度の高い申告書ができているということなので、税務署が調査したい範囲は限られています。更に事前に意見聴取を受けた税理士は調査されるポイントを既に心得ているので、税務調査前に対処法を検討することができます。

よって、真っ白の状態から始まる税務調査よりも、調査期間が短くなるのです。

2-3.加算税がかからない

これも書面添付制度の大きなメリットです。
通常、税務調査で申告漏れなどの相続税不足が判明した場合には、追加分の相続税に加えて加算税と延滞税がかかります。
ただし、税務調査が入る前に自主的に修正申告をして追加分の相続税を納めた場合には、加算税はかかりません。

書面添付制度を利用して税務調査前に税理士への意見聴取が行われ、そこで修正申告を行った場合には、この「自主的」に該当することになるのです。
税理士への調査は始まっているので、自主的?となるかもしれませんが税務調査前であるため自主的な修正申告になり、加算税はかかりません。

ただし延滞税はかかるので注意しましょう。延滞税は利息としての意味合いがあるため、納税が遅れた分の相続税についてはかかってしまいます。

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3.相続税の書面添付制度のデメリット

3-1.税理士側の負担が大きい

書面添付制度の実際の書面を見てみると数ページ程度のもので、一見簡単に思えるかもしれませんが、とんでもありません。その数ページを書くために税理士は納税者への度重なる聞き取り、証拠資料の収集など大変な労力を割かなければならないのです。

また書面添付をすることは、その申告書は間違いのない正しい内容ですと税理士が保証しているということなので、その責任は重大なものとなります。
仮にその添付書面に誤りがあった場合には、最悪の場合、税理士免許はく奪となってしまうのです。

そのような背景から書面添付を行っている税理士は、10%を切っているのが実情です。それだけ税理士側にとってはメリットが少ない制度なのです。

3-2.税理士費用の増大

書面添付制度を利用することが、税理士に大きな労力と責任を負わせるということに繋がるのであれば、当然それに見合う税理士報酬が必要になるということです。

ただし、税理士報酬は税理士ごとに自由に決められるようになっているため、相続税申告料に元々含まれている場合や、別途料金が必要な場合など様々です。直接税理士に問い合わせて確認しましょう。

3-3.申告までの労力増大

税理士が書面添付できる申告だと判断できるまで、納税者は税理士の調査に応じなければなりません。
その分、書面添付がない申告に比べて、聞き取りに応じる時間や資料集めに奔走する労力がかかります。

4.相続税の書面添付制度ホントのところ

書面添付制度のメリットとデメリットを解説してきましたが、結局のところ、書面添付制度は意味があるのでしょうか。
世間を飛び交っている「税務調査が入りにくい」、「税務調査が入らない」などの情報がウソなのか本当なのかズバリ解説します。

4-1.書面添付だけで税務調査は免れない

税務署が税務調査先を選ぶときは、書面添付の有無にかかわらず、すべての相続税申告が対象となります。すべてを同じスタートラインに並べて選考がスタートするイメージです。

申告書に書面添付があるという事実だけで、いきなり選考対象から除かれることは絶対にありません。 あくまでもその内容に意味があるのです。

4-2.問題ない申告だから書面添付できる

そもそも書面添付ができる申告書であるということは、税理士が税理士免許を懸けて、正しい申告であるということを保証できる申告だということです。
間違いのない申告に対して税務調査を行っても、税務署としては時間を無駄にするだけです。

要するに、書面添付をしたから税務調査が入りにくいのではなく、書面添付ができるということは「税務調査をしても意味がない=税務調査の対象外」ということなのです。

4-3.税理士に意見聴取があれば税務調査もある

税理士への意見徴収は税務調査が前提です。税理士への確認だけで税務署の疑惑が晴れるというケースは少数であり、ほぼほぼ税務調査へ進みます。

「書面添付をしているから、税理士への確認だけで終わる。税務調査は入らない。」、「修正申告になったとしても、税務署と税理士だけですべて解決する。」などは大きな勘違いです。
税理士へ意見聴取は税務調査ありきの話なのです。

まとめ

書面添付制度は税理士への負担が大きい制度であり、納税者にとってみれば税理士費用がアップすることと、税理士からの調査を受ける労力が許容できるのであれば、利用して損はない制度です。

ただし書面添付を行っていない税理士の方が圧倒的に多いので、まずは依頼を受けてくれる税理士探しからスタートです。

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