マンションの相続税評価額の計算方法

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マンション

一戸建ての場合は、土地と建物それぞれの相続税評価額を計算して合計すれば良いですが、分譲マンションなどの集合住宅の場合は、少し計算方法が複雑になりますので、マンションの相続税評価額の計算方法を解説します。

1.相続財産でもマンションが増加

近年、日本では戸建住宅よりもマンション等の共同住宅の割合が増加しており、相続財産としてもマンションが多くなると予想されます。

平成25年住宅・土地統計調査によれば、建て方別に住宅の状況を見ると、

  • 共同住宅が2209万戸(42.4%)
  • 一戸建が2860万戸(54.9%)
  • 長屋建が129万戸(2.5%)
  • その他が13万戸(0.2%)

となっています。平成20年と比較すると、一戸建が115万戸(4.2%)増加となっているのに対し、共同住宅は140万戸(6.8%)増加と、より大きな伸びを示しています。若い世代を中心に郊外から市街地または都心への回帰が進んでおり、今後もマンションの建設が増加すると考えられます。

【出典】総務省統計局:空き家等の住宅に関する主な指標の集計結果について

2.マンション相続税評価額の考え方

分譲マンションには専有部分(自分が専用で利用する部屋)と共有部分(廊下、庭など)があります。日常的には自分が暮らしている専有部分しか意識しないかもしれませんが、マンションの相続税を評価する際には、共有部分も含めて考えます。

まず、土地と建物に分けてマンション全体の相続税評価額を計算し、それに持分割合をかけることで、マンション各戸の評価額を計算します。

持分割合とは、マンション全体に対して自分が所有する専有部分の割合のことです。
持分割合は土地の登記簿を取得することで確認可能ですが、通常、マンションの売買契約書にも記載されています。
持分割合は、管理費や修繕積立金の各戸毎の割り当てを決めるのにも利用されますし、マンション管理組合の総会での議決権の割合にも適用されますので、普段から意識しておくと良いでしょう。

持分割合は建物の登記簿の「表題部」という箇所に記されています。下図は建物の登記簿の例ですが、一部の項目を非表示にしています。
敷地権の割合」という欄に、各戸の持分割合が記載されています。

登記簿-表題部

この不動産登記簿は法務局で誰でも取得できます。インターネットでも「登記情報提供サービス」というサイトから取得可能です。ただし、どちらにしても、そのマンションの正確な地番が必要です。

【参考外部サイト】登記情報提供サービス

2-1.土地の相続税評価額の計算

まず、マンションが建っている土地全体の相続税評価額を計算します。宅地の計算方式には「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。

市街地の宅地の場合は、「路線価方式」で計算します。計算式は次のようになります。

マンション全体の土地の相続税評価額 = 路線価 × 地積 × 画地補正率

また、郊外にある宅地の場合は、「倍率方式」で計算します。計算式は次のようになります。

マンション全体の土地の相続税評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

計算方法の詳細は下記を参照ください。

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マンション全体の土地の相続税評価額に持分割合をかけて、マンション各戸の土地の相続税評価額を計算します。

マンション各戸の土地の相続税評価額 = 全体の相続税評価額 × 持分割合

2-2.建物の相続税評価額の計算

マンションの建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同じになります。通常、マンション各戸の建物の固定資産税評価額がすでに算出されています。

2-3.固定資産税評価額の確認方法

固定資産税評価額を確認するには2つの方法があります。

(1)課税証明書を見る

毎年、固定資産の所有者宛に、都税事務所や市区町村役場から固定資産税の納税通知書が送られてきますが、この中に「平成○○年度 固定資産税・都市計画税 課税明細書」という明細書が同封されています。市区町村によってやや書式は異なりますが、だいたいは同じですので、課税証明書の見方を説明します。下図は東京都の課税証明書の例ですが、一部の項目を非表示にしています。

固定資産税課税証明書(図をクリックすると、拡大図が表示されます。)

土地

表の上部を参照ください。「価格」がマンション敷地全体の固定資産税評価額、「登記地積」がマンション敷地全体の面積を表しています。マンションなどの共同住宅の場合、右端に「共用土地」と表示されています。「価格」に持分割合をかけることで、マンション各戸の固定資産税評価額を計算できます。
なお、価格の下に「固定本則課税標準額」「都計本則課税標準額」という欄があり、それぞれ金額が記載されていますが、これは固定資産税における特例を適用した場合の金額であり、相続税評価額とは異なりますので、ご注意ください。

建物

表の下部を参照ください。「価格」がマンション全体の建物(家屋)の固定資産税評価額、そして、「固定課税標準額」がマンション各戸の建物(家屋)の固定資産税評価額を表しています。この金額には、各戸の専有部分に対する評価額と共有部分に持分割合を乗じたものに対する評価額が含まれています。

(2)固定資産評価証明書を所得する

都税事務所や市区町村役場で、固定資産の金額を記した「固定資産評価証明書」を取得します。この書類は、その不動産の所有者や抵当権者など関係する人だけが取得できますが、司法書士に取得を依頼することもできます。

なお、相続・贈与や売買で不動産の名義変更をする際には、この「固定資産評価証明書」が添付書類として必要になります。
(注:下記の図は、「固定資産関係証明書」ですが、「固定資産評価証明書」もだいたい同様の書類です。)

固定資産証明書

3.マンション相続税評価額の計算例

それでは、最後に、実際にマンションの相続税評価額を計算してみましょう。上記の不動産登記簿と課税証明書に出てくるマンションを例にします。なお、計算を簡単にするため、いくつかの過程を省略していますので、正確な計算ではなく概算となります。わかりやすくするため、1万円以下を四捨五入しています。

3-1.土地の相続税評価額の計算例

正面路線価:50万円/㎡とします。課税証明書から、マンション全体の地積:1,267.65㎡
奥行補正や側方路線の影響などは全く考慮しないとします。
マンション全体の土地の相続税評価額は、

50万円×1,267.65㎡≒6億3383円(万円以下を四捨五入)

不動産登記簿から持分割合:439931分の7426。持分割合をかけると、

6億3383万円×7426/439931=1,070万円(万円以下を四捨五入)

3-2.建物の相続税評価額の計算例

課税証明書から、各戸の家屋の固定資産税評価額:6,975,100円
698万円(万円以下を四捨五入)

土地と建物の評価額を足すと

1,070万円+698万円=1,768万円

つまり、このマンションの相続税評価額は概算で約1,768万円となります。

ちなみに、このマンションの市場売買価格は約4,800万円ですので、現金の場合に比べてだいたい3分の1の評価額になっていることがわかります。相続での節税対策として、現金をマンションに変えることは有効な対策だといえます。

4.マンション相続税評価額の減額方法

小規模宅地等の特例

330㎡までの宅地の評価額を80%減額できる、「小規模宅地等の特例」がありますが、これはマンションの土地部分に適用可能ですので、もし要件が合えば利用することで、評価額をさらに減額することができます。

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実際にどのくらいマンションの評価額が減額されるのか計算してみましょう。被相続人と同居している相続人がマンションを相続するなど、小規模宅地等の特例の要件は満たしているものとします。

小規模宅地等の特例の要件として、「面積330㎡まで適用可能」という要件がありますが、これを満たしているか確認します。マンションの土地は1,267.65㎡、それに持分割合439931分の7426をかけると、

1,267.65㎡×7426/439931=21.40㎡

ですので、面積要件はOKです。超高級マンションでない限り、通常、1部屋だけであれば、持分割合をかけた面積が330㎡を超えることはほぼないと思われます。

そして、先ほどの計算で、マンションの土地部分の評価額は、1,070万円でしたが、これが80%減額されますので、土地部分の評価額は次のようになります。

1,070万円×(1-80%)=214万円

建物部分には小規模宅地等の特例の適用はありませんので、最終的に、土地と建物の評価額を足すと

214万円+698万円=912万円

なんと、購入価格の約5分の1の金額です。

子供が相続する場合は、一般的に、親と同居しているという要件が必要ですが、マンションはどちらかというと一世帯向けがほとんどですので、親子二世帯同居というケースはあまりないかもしれません。それでも、高級マンションのように不動産の評価額が高額になる場合は、評価額80%減は魅力的ですので、小規模宅地等の特例を使いこなすための施策を検討するという手もあります。

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5.マンション購入・売却の税金

マンションの評価額を計算した結果、そのまま住み続けたいということもあれば、やはり売却して他のマンションに買い換えたいということもあるでしょう。マンションの購入・売却に関しては費用がかかりますが、各種の税金も発生しますので、購入・売却を検討されている方は、一度、目を通しておかれると良いでしょう。

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相続税申告や、生命保険の活用による納税資金対策を得意としています。

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代表税理士は平成29年まで国税局に勤務していました。税務調査のポイントを熟知し、税務調査の立会いではそのノウハウが特に大きく役立つため、お客様からご好評いただいています。お気軽にご相談下さい。
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