【延長】子供への結婚・子育て資金贈与が1000万円まで非課税に

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結婚

結婚・出産を検討している若者に優しい制度が作られました。
祖父母や父母から、結婚・出産・子育てのための資金をもらった場合、最大1,000万円まで贈与税が非課税になります(結婚については300万円まで)。

2019年4月1日から一部の要件が改正され、期間も2年間延長されましたので、その内容についても解説しています。
(改正部分は、黄色マーカーで示しています。)

1.結婚・子育て資金の非課税制度とは

1-1.制度概要

正式には、『父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度』といいます。

つまり、祖父母や父母から結婚・子育てのための資金を一回で贈与された場合に非課税になる特例です。
最高1,000万円の非課税枠があります(結婚関連は300万円の非課税枠)。

贈与税非課税特例-結婚・育児

この制度では非課税になる範囲がかなり広く設定されています。

結婚については、結婚式の費用だけでなく、新居の契約費用や家賃、引越し費用まで含まれます。
出産については、妊娠・出産費用のほか、不妊治療や産後ケアの費用も含まれています。
育児については、学校にあがる前の子供の医療費や、保育園・幼稚園でかかる費用が含まれます。

それぞれ一番お金がかかりそうなところが網羅されていますので、利用の仕方によっては相当な恩恵が受けらるかもしれません。

1-2.制度の目的

皆様ご存じのとおり、現在の日本では少子化が大きな問題となっています。経済的に不安定な状況の若者が多く結婚・出産がなかなか進まないことが、少子化の大きな要因の一つです。

結婚式費用の全国平均額は2014年で約333万円であり、祝儀金の収入を除いてもかなりの負担がかかります。結婚式の他に、新居の契約・引越し費用、家具・家電の購入、新婚旅行などの費用も考えると500~600万円くらいは用意しておかないと足りなくなるでしょう。

出産もスムーズにいけば問題ないのですが、不妊治療をすると、その費用は平均的に100万円を超えています。出産後も子供が何度も病気にかかると医療費がかさみます。保育園に入りたくても、待機児童がいっぱいで保育園に入るための「保活」という言葉がある時代です。どうしても保育園に入りたければ、費用がかかる認可外保育所や幼稚園に入らざるを得ません。

とにかく若者にとって結婚・出産・子育てはとてもお金がかかるものであり、希望していても経済的な理由からなかなか踏み出せない人も多くなっています。

そこで、両親や祖父母の資産を有効活用して、子や孫の結婚・出産・子育てを支援するために、この制度が作られました。

2.制度の詳細

適用対象者・贈与者(あげる人):受贈者の直系尊属(父母、祖父母など)
・受贈者(もらう人):20歳以上50歳未満の子や孫など
2019年4月1日以降は、前年の所得1,000万円以下に限定
適用方法・金融機関に受贈者(子や孫など)の名義で結婚・子育て資金口座の開設を行い、贈与者から受贈者に対して一括で贈与し、その金額を結婚・子育て資金口座に預け入れること。
・金融機関を通じて、結婚・子育て資金非課税申告書を提出すること。(個人での税務署での手続きは不要)
非課税内容・結婚式費用(結婚の1年前の支払いから)
・家賃、礼金等の新居の費用、引越し費用
・不妊治療の費用、分娩費用、産後ケアの費用
・子供の医療費、幼稚園・保育所の入園料・保育料
非課税限度額受贈者一人につき1,000万円(結婚関連は300万円まで)
期間2015年(平成27年)4月1日から2021年(令和3年)3月31日までの間
(2年間延長)

3.対象となる結婚・子育て資金

『父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度』の結婚・子育て資金には、大きく分けて次の2つがあります。

  1. 結婚関連の費用
  2. 妊娠・出産・育児関連の費用

3-1.結婚関連の費用

(1)婚礼費用

結婚式および披露宴にかかる、会場代・衣装代などです。基本的には結婚式場や披露宴会場に対して支払う費用です。費用を抑えるために、自宅や公民館などで行った場合、衣装代等は挙式のための費用であることがわかるように領収証に明確に記載してもらう必要があります。

結婚式・披露宴以外の費用(婚活、結納、指輪、旅行、美容などの費用)は対象外です。

結婚した日(婚姻届を提出した日)の1年前からの支払いが対象になります。式場の費用を前もって支払った場合も結婚日より1年以内であれば大丈夫です。また、婚姻日より後の支払いについては期間の制限はありませんので、婚姻届を出してしばらく後で結婚式を行った場合、いつ支払ってもOKです。

(2)新居の費用

結婚を機に移り住む予定で新居を契約した際にかかる契約金・礼金・敷金・家賃・仲介手数料・更新料などです。婚姻日の1年前後に賃貸借契約をした物件に対して、契約日から3年以内に支払うものが対象です。結婚前に新居を契約して住み始めることも多いですが、婚姻届を提出した日より1年前後であれば大丈夫です。家賃については契約日から3年以内が対象になります。その間に契約更新を迎える場合は、その時の更新料も対象です。

賃貸物件を新たに借りて住んだ場合が対象ですので、結婚前からもともと契約して住んでいた場合や、親が所有している住宅に住む場合は対象外です。
また、賃貸借契約と関係ない費用(光熱費、家具、家電などの費用)は対象外です。

(3)引越し費用

結婚を機に移り住む際にかかる引越し費用で、婚姻日の1年前後に引越ししたものが対象です。
基本的には、運送業者に支払う費用が対象であり、自分でレンタカーを借りて引っ越した場合や、友人に引越しを手伝ってもらったお礼金は対象外です。

3-2.妊娠・出産・育児関連の費用

(4)不妊治療、妊婦健診の費用

人工授精など不妊治療に要する費用、妊婦健診に要する費用です。国内の医療機関における治療費が対象です。
病院に通うための交通費や宿泊費は対象外です。

(5)出産費用、産後ケアの費用

分娩費、入院費、新生児管理保育料、検査・薬剤料、処置・手当料など出産のために入院から退院までに要する費用、また、出産後1年以内に支払われた産後ケアに要する費用(6泊分又は7回分まで)です。国内の病院・診療所における治療費が対象です。国内の医療機関・助産所における費用が対象です。
病院・助産所に通うための交通費や宿泊費は対象外です。

(6)子の医療費

未就学児の子の治療、予防接種、乳幼児健診、医薬品(処方箋に基づくもの)にかかる費用です。国内の医療機関・薬局での支払いが対象です。
病院に通うための交通費や宿泊費は対象外です。

(7)育児費用

保育園、幼稚園、認定こども園、ベビーシッター業者等へ支払う入園料、保育料、施設設備費、入園試験の検定料、行事への参加や食事の提供など育児に伴って必要となる費用です。
基本的には、子供を預ってくれる施設に対して支払う費用が対象です。その他の、おむつ・子供服・ベビーカー・おもちゃ・絵本などの子供用品は対象外です。

4.メリット/デメリット

メリット

この制度のメリットとしては、

  • 相続財産を生前に減少させることができる
  • 子供・孫の結婚・出産・育児資金を確保することができる
  • 祖父母からの贈与の場合、健康なうちに自分の意志で孫などに贈与することができる
  • 一世代飛び越えて大きな金額を贈与させることができる

などが挙げられます。
子供の結婚を心配されている親や、孫の顔を早く見たい祖父母も多いと思いますので、この制度を利用して、子供や孫を支援することができます。

デメリット

一方、この制度のデメリットとしては、

  • 金融機関に専用の口座開設が必要なこと、領収書を保管し金融機関に提出が必要なこと
  • 使用用途が定められた結婚・子育て関連の費用に限定されていること
  • 万が一、一括贈与した教育資金を子や孫が50歳になるまでに使いきれなかった場合は贈与税が課税されること
  • 子供や孫を甘やかしてしまうこと

などが挙げられます。

特に、大きな金額を子供や孫に一気に贈与することに対しては注意が必要です。子供や孫がそのお金をきちんと管理して結婚・育児に使えば良いのですが、結婚・育児以外の用途に使ってしまったら非課税になりません

また、結婚・子育ては、自分で働いて稼ぎながら苦労して行い、一人前の大人として成長する良い人生経験になるはずですが、必要なお金を出してしまうことで、子供を甘やかしてしまい、将来、親が亡くなったときに子供が困るかもしれません。

一般的な生活費や教育費はもともと非課税

そもそも、日常的に必要な生活費や教育費の贈与に対しては贈与税がかかりませんし、結婚の際には、世間的に認められる範囲であれば、資金援助をしても贈与税はかかりません。

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結婚の際に、マンションの購入費用を何百万円も提供したら贈与ですが、新居に必要な一般的な家具や家電を買ってあげる程度なら、贈与税の対象にはなりません。地域の慣習や文化によって、結婚式の費用の一部を親が負担するのが通常であれば、それは親が負担するものですから、贈与には全く当たりません。

子供の医療費についても高額になれば、高額療養費制度で一定額を超えた部分が返還されますし、所得税からの医療費控除も受けられます。

5.金融機関での手続きと利用の流れ

5-1.専用口座の開設

この制度の気を付けるポイントは、金融機関に専用の口座を作りそこに結婚・子育て資金用の資金を預けなければならないことです。
専用口座を開設できる金融機関は1金融機関の1営業所に限定されます。

さらに、結婚・子育て資金の使いみちは、金融機関が領収書をチェックし、書類を保管することです。よって、贈与された子や孫は結婚・子育て資金を支払った際に領収書を保管しておき、定められた提出期限までに金融機関に提出する必要があります。

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5-2.年齢制限

また、この制度は、孫や子供が20歳以上50歳以下の場合に適用されます。孫や子供が50歳になった時点でこの口座に残高がある場合は、その残高に対して贈与税が課税されるので、注意が必要です。

定められた結婚・子育て用途以外で使ったお金(たとえば、新婚旅行や子供の教育費)は対象になりませんので、仮に口座残高がゼロであったとしても、その金額も残額とみなされて贈与税が課税されます。

なお、祖父母・父母から30歳未満の子・孫に対して一括贈与したときに1,500万円まで非課税となる『教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度』と併用できますので、子供の教育費については、こちらを活用することができます。

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まとめ

以上、『父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度』について解説しましたが、メリット、デメリット両方を考慮しながら、この制度を有効活用することが重要です。

祖父母や両親に多くの余裕資金があり、子供や孫が結婚・育児で経済的に困っている場合は、この制度を利用する意味があるといえます。

一方で、祖父母の余裕資金はそれほど多くなく、子供や孫に経済的な余裕があるなら、この制度は利用せずに、必要に応じて随時贈与をするほうが賢明といえます。

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