純金の仏具は相続税対策になる?相続税法上の扱いと節税効果

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「純金の仏具を購入すれば、相続税対策になる」という話が巷にはあります。確かに仏具は「祭祀財産」に当たるため、相続税法上は非課税対象です。しかし、実際には高額過ぎる仏具は課税対象として扱われ、相続税対策には効果ありません。

仏具と相続税の関係を始め、実際に相続税対策になるのかを確認します。

相続税法上の「仏具」の扱いとは?

仏具は「相続税がかからない財産」に含まれる

相続税法上、仏具は「相続税がかからない財産」として扱われています。これは相続税法第12条2項に記されており、祭具などは相続税の課税価格に算入されません。したがって、一見すると「仏具」は非課税対象として扱われる財産であるため、相続税対策に効果がありそうに思われます。

相続税法第12条
次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。
2 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの

非課税対象かは「税務署」が決めること

相続税法上、仏具は非課税対象として認められています。しかし、実際にその「仏具」が非課税対象かどうかは、税務署の判断に委ねられています

つまり、たとえ仏具を購入・取得しても、税務署が非課税対象として認めない場合には、課税対象として扱われます。この点に注意をせずに仏具を購入・取得すると、思ったほどの税金対策の効果を得られない可能性もあります。

「純金の仏具を購入すれば、相続税対策になる」は本当か?

平成27年の相続税法改正前後に、巷で「純金の仏具を購入すれば、相続税対策になる」という話がされていました。実際のところ、相続税対策として効果があるのでしょうか?

「仏具を購入すれば相続対策になる」考え方

「純金の仏具を購入すれば、相続対策になる」という話の考え方は次の通りです。

(1)仏具は非課税対象として扱われる
(2)預貯金等の相続財産で仏具を購入する
(3)課税価額を小さくして相続税申告をする

より分かりやすく説明をすると、「相続財産で非課税対象の財産(仏具)を購入する」手段です。これによって課税価額を小さくでき、相続税額を少なくすることができると考えられます。

税務署の対応は「認めない」ケースもある

「純金の仏具を購入すれば、相続対策になる」という考え方に対して、税務署は明確な見解を示しているわけではありません。しかし、「度が過ぎれば動産として扱われ、非課税対象として認めない」ケースもあると考えられます。場合によっては仏具であっても、課税対象として扱われることもあるでしょう。

ただし、信仰が厚い人からすると、相続税対策のためでなく、本当に仏具として購入している人もいます。単なる節税対策であれば税務署から否認されやすいのですが、純金の仏具にはご利益があると本当に信じているなど宗教的あるいは合理的な理由があれば課税逃れとはいえません。日本国憲法では「信教の自由」が保障されており、税務署であっても信仰を主張されるとなかなか踏み込めない領域です。そのため、必ずしも規制をすればいいと言えず、今後の相続税法上の課題となっています。

「仏具を購入する」ことが相続税対策として有効なのか?

仏具を購入することで、課税価額を小さくすることができる可能性もあります。ただし、本当に相続対策として効果があるのでしょうか。例として課税価額を1,000万円として、これを相続税として納税するか、仏具にするかの違いを見ていきます。

課税価額1,000万円の相続税を納税する場合

課税価額1,000万円の場合、相続税率は「10%」が課されることになっています。つまり、納税額は下記の通りです。

100万円(相続税額)=1,000万円(課税価額)×10%(相続税率)

この場合は「100万円」を相続税額として申告・納税します。したがって、残りの900万円分の相続財産が手元に残ることになります。

相続財産1,000万円分の仏具を購入する場合

相続財産1,000万円分で仏具を購入して、それが税務署に認められれば「非課税対象」として扱われます。つまり、納税額は下記の通りです。

0円(相続税額)=0円(課税価額)×10%(相続税率)

この場合は相続税額が「0円」であるため、申告・納税する必要がありません。そして、1,000万円分の仏具を手元に残すことができます。

しかし、この1,000万円分の仏具は、質屋などに入れても3分の1程度の金額にしかなりません。売却しても実質的には300万円ほどの財産にしかならないのです。また、注意点として、相続税申告が終わってすぐに仏具を売却すると課税逃れと判断されて元の1,000万円に対して課税されるおそれもあります。このあたりは個々の要件を確認しないと何ともいえませんので、ご心配な方はぜひ税理士や税務署にご相談ください。

仏具を購入しても相続税対策としては効果が薄い

課税価格1,000万円分を納税するか、それとも仏具を購入するかの結論は、「仏具を購入しても相続税対策としては効果が薄い」ということが明らかになりました。もちろん、これはあくまで仮定の計算であるため、場合によっては仏具を購入した方が、相続税対策として効果が見られる場合もあります。

ただ、一般的な考え方からすると、仏具を購入した場合の方が、手元に残るお金が少なくなってしまいます。相続税対策としては効果がないといって良いでしょう。仏具はあくまでも故人を偲ぶためであるとか仏様のためであるとか、信仰的な目的でご購入ください。

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