生命保険の2017年の最新動向

生命保険

このところ、生命保険業界は目まぐるしく動いていますが、主に相続に関わりの深い生命保険を中心に、2017年の生命保険の最新動向を解説します。

1.標準利率の改定と保険料の引き上げ

1-1.標準利率とは

生命保険業界の2017年の一番の話題といえば、やはり4月の標準利率の改定でしょう。標準利率とは、生命保険会社が責任準備金を計算するための利率で、金融庁が定めています。生命保険会社は、この標準利率を参考に、保険商品の予定利率を決定します。

標準利率は保険料の払い方により、見直す時期が異なります。一時払いの商品は3ヵ月に一度、月払いなどの平準払いの商品は一年に一度見直されます。

1-2.日銀のマイナス金利政策の影響

2016年2月からの日本銀行によるマイナス金利政策の導入で、市中金利は軒並み低下したことを覚えている人も多いでしょう。長期金利(新発10年もの国債の流通利回り)は、2016年7月には一時▲0.3%まで低下しました。

この市中金利の低下を受け、一時払いの商品の標準利率が下がりました。生命保険会社の多くが、貯蓄性の高い一時払終身保険の予定利率を引き下げ、話題になりました。販売停止に踏み切ったところも少なくありません。

市中金利、特に長期金利(新発国債10年ものの流通利回り)は依然低く、ゼロを若干上回る程度ですので、多くの生命保険会社は、変わらず一時払終身を積極的に販売していません。

1-3.2017年4月からの平準払いの標準利率の改定

そして今度は、2017年4月に、月払いなど平準払いの商品の標準利率が改定されました。平準払いの商品は多いため、多くの生命保険会社において、貯蓄性のある保険(終身保険、養老保険、年金保険、学資保険など)の保険料率が改定され、保険料が上がりました。生命保険会社の営業スタンスもあり、2017年3月には、これらの商品に駆け込みで加入する動きも多く見られました。

1-4.生命保険会社各社の対応

では、生命保険会社各社の予定利率の改定状況と、実際の保険料の上昇幅を見てみましょう。

1-4-1.日本生命の場合

1.予定利率の改定状況
  • 学資保険、こども保険・・・予定利率を1.35%から0.85%へ引き下げ。
  • 年金保険、長寿生存保険(低解約払戻金型)・・・(払込期間20年以下)予定利率を1.35%から0.85%へ引き下げ。(払込期間20年超)予定利率を1.15%から0.85%へ引き下げ。
  • 終身保険、長期定期保険、低解約払戻金型長期定期保険・・・予定利率を1.15%から0.40%へ引き下げ。
2.保険料例
  • ニッセイみらいのカタチ(年金保険)・・・
    30歳契約・年金開始年齢60歳・保険料払込期間30年・年金年額60万円(10年確定年金)の場合、
    男性保険料:15,306円→15,852円(+546円・+3.6%)
    女性保険料:15,288円→15,840円(+552円・+3.6%)
  • ニッセイみらいのカタチ(終身保険)・・・
    40歳契約・保険期間終身・保険料払込期間20年・保険金額300万円の場合、
    男性保険料:11,178円→13,653円(+2,475円・+22.1%)
    女性保険料:10,491円→13,350円(+2,859円・+27.3%)

1-4-2.第一生命の場合

1.予定利率の改定状況
  • 5年ごと配当付終身保険、5年ごと配当付養老保険、5年ごと配当付こども学資保険(2014)「こども応援団」、「Mickey」・・・予定利率を1.15%から0.90%へ引き下げ。
  • 5年ごと配当付個人年金保険「積立年金『しあわせ物語』」・・・(年金開始前)1.15%→0.90%、(年金開始後)1.15%→0.40%。
2.保険料例
  • 5年ごと配当付養老保険・・・
    35歳契約・30年満期・月払(口座振替扱)・保険金額1,000万円、保険料払込免除特約(H25)付加なしの場合、
    男性保険料:28,940円→29,940円(+1,000円・+3.5%)
    女性保険料:28,370円→29,380円(+1,010円・+3.6%)
  • 5年ごと配当付終身保険・・・
    35歳契約・65歳払済・月払(口座振替扱)・保険金額1,000万円、保険料払込免除特約(H25)付加なしの場合、
    男性保険料:25,460円→27,200円(+1,740円・+6.8%)
    女性保険料:23,780円→25,750円(+1,970円・+8.3%)

1-4-3.住友生命の場合

1.予定利率の改定状況
  • 5年ごと利差配当付保険等(Wステージ・ライブワン等)・・・予定利率を1.25%から0.65%へ引き下げ。
  • 5年ごと利差配当付生存保障重視型個人年金保険(14)(たのしみワンダフル・たのしみキャンバス等)・・・予定利率を1.34%から0.65%へ引き下げ。

1-4-4.メットライフ生命の場合

1.予定利率の改定状況
  • 終身保険(低解約返戻金型)・・・予定利率を1.50%から0.60%へ引き下げ(2017年3月1日以降の契約)。
  • 終身保険(引受基準緩和型)・・・予定利率を1.85%から0.60%へ引き下げ(2017年2月1日以降の契約)。
2.保険料例
  • 終身保険(低解約返戻金型)・・・
    30歳契約・60歳払済・口座振替・月払・3大疾病保険料払込免除特約なし・保険金額500万円の場合、
    男性保険料:9,340円→14,830円(+5,490円)
    女性保険料:8,550円→14,545円(+5,995円)

1-5.相続対策への影響

これらの生命保険会社各社の予定利率改定と、それに伴う保険料の引き上げは、相続対策にも影響を与えています。

相続対策商品として有力な一時払終身保険は、見てきたとおり、昨年すでに予定利率が引き下げられていますが、同じく相続対策として使われることの多い終身保険でも、各社で保険料の値上げが相次ぎました。
養老保険や個人年金保険でも同様で、全般に、貯蓄性があるといわれる、いわゆる予定利率が比較的高かった商品は、今回ほとんど保険料が上がっています。

相続対策で生命保険を活用する場合、保険料の上昇は、節税効果を薄めることになります。標準利率改定で生命保険の使い勝手が悪くなったことは否めないでしょう。

2.第3分野商品(医療保険・がん保険)が伸長

医療保険やがん保険は、相続に使われることはあまりありませんが、トレンドとして見過ごせないため触れておきます。
さきほどの貯蓄性商品は、保険料値上げを受け全般に販売が鈍っているため、各社とも第3分野、いわゆる医療保険やがん保険に力を入れています。

医療保険は、もともと商品改定のサイクルが短い商品ではありますが、それがさらに短期化されたことに加え、持病のある人でも入りやすい、いわゆる「引受基準緩和型」の商品が伸びています。
がん保険は、従来の診断給付金重視型から、実損填補型やがんのステージ別に保障内容が異なる商品など、新しいタイプが増えています。

3.外貨建て保険への注力

現在の日本は超低金利のため、各社外貨建て保険にも注力しています。例えばアメリカは、FRBによる利上げもあり、外貨建て保険の米ドルベースの予定利率の相対的な魅力度が増しています。
もちろん、外貨建て保険には為替リスクがあるため、相続には不向きですが、富裕層を中心に資産のポートフォリオのなかで外貨建て資産のウエイトを高める動きも見られます。

4.就業不能保障保険への参入

就業不能保障保険は、病気やケガなどにより、就業不能状態になった場合に生活費や治療費などをサポートしてくれる保険です。(生命保険会社では就業不能保障保険、損害保険会社では就業不能補償保険ということが多いです)

企業向けの団体就業不能保障保険は以前からありましたが、個人向けについては、2010年にライフネット生命が「働く人への保険」を発売したことをきっかけに、各社競ってこの分野に進出し始めました。
新商品発売や商品改定も相次いでおり、注目を集めています。相続に使われることはあまりありませんが、トレンドとして押さえておきたいところです。

5.まとめ

相続分野に関する生命保険においては、やはり、1.標準利率の改定と保険料の引き上げをしっかり押さえておきたいところです。
相続税に関する税制そのものが変わったわけではありませんが、それでもやはり、生命保険の保険料改定は相続対策の効果に影響を及ぼします。もちろん、商品や契約形態により保険料の値上がり幅は異なりますが、マイナスの影響が大きいことは否めないでしょう。

生命保険を活用した相続対策を行う場合は、上記のことを理解した上で、税理士やファイナンシャル・プランナー、生命保険会社や保険代理店など専門家に相談するのがよいでしょう。
具体的な実際の節税効果についても、シミュレーションを行うなどして事前にしっかり把握しておきたいですね。

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