夫婦同時に死亡した場合、誰が保険金の受取人になる?

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交通事故 保険

 もしもの時のために加入する生命保険。被保険者が亡くなったときなどにお金による補填を行い、生活の手助けをするために活用されています。では、夫婦が同時に死亡したなど、もし被保険者と保険金受取人が同時になくなった場合、誰がその保険金を受け取るのでしょうか?

1.「夫婦が同時に死亡する」とは

1-1.同時死亡が起こり得るケース

夫婦どちらかが先に死亡することを想定する場合は多いですが、夫婦が同時に死亡するケースを考えることはあまりないと思います。実際に、同時に2人が亡くなるのはレアケースですが、全くないわけではありません。

夫婦が同時に死亡するケースで可能性が高いのは交通事故です。夫婦2人で出歩いている場合や自動車で出かけている場合など、どちらにおいても起こり得ます。一緒にいる機会が多い夫婦だからこそ、1回の事故に二人共が巻き込まれて、同時に死亡してしまうのです。

また、自動車だけでなく、可能性は低いですが飛行機や電車などの公共交通機関を利用している最中の事故もあります。さらに、地震やそれに伴う火災なども想定でき、場合によっては食中毒などでも亡くなってしまうケースが考えられます。

夫婦は仲が良いほど一緒に行動したり、同じものを食べたりと、時間や食物を共有します。そのため、レアケースであっても、夫婦が同時に死亡するケースはいくつも考えられるため、万が一の場合に備えておく必要があるかもしれません。

1-2.同時死亡の推定

夫婦が同時に死亡するといっても、全く同じ時間に二人が死亡するというのはありえないことです。2人の死亡時刻が異なり、必ず先後が現れるはずです。では、どのようにして同時死亡と扱うのでしょうか?

交通事故などに巻き込まれた場合、発見されたときにすでに2人とも亡くなっていると、どちらが先に亡くなったのかを判断することはできません。そこで、民法には同時死亡の推定という規定が定められています。

民法第32条の2
数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

この法律の条文にもあるように、夫婦に限らず複数人が同時期に死亡し、死亡時間が客観的に分からなければ、同時に死亡したとみなすのがこの制度のポイントとなります。

ただし、この規定はあくまでも推定です。もし、推定後に電話やメールなどで死亡時間がある程度判明すれば、同時死亡とは扱われません。同じ死因でも状況次第で同時死亡になるかどうかが変化するため、同時死亡の取り扱いは少しややこしくなっています。

2.同時死亡による保険金の考え方

2-1.保険法による解釈

被保険者と保険金の受取人が同時に死亡した場合、生命保険が厳守する保険法には以下のような関連規定が定められています。

保険法第46条
保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる

この条文では、保険金受取人が被保険者が亡くなる前に死亡した場合に触れ、この場合には相続人の全員が保険金受取人となると定めています。つまり、被保険者ではなく保険金受取人が主導となるのです。

例えば、夫が被保険者で、妻が保険金受取人の場合、妻が先に死亡すると、夫ではなく妻の相続人に保険金を受け取る権利が生まれます。そのため、妻の両親や兄弟などが、夫の死亡保険金を受け取ります。

そして、夫婦が同時死亡の場合は、被保険者も保険金受取人も死亡しています。この場合でも、第46条の規定に従って新たな受取人が選定されますので、夫の死亡保険金は妻の相続人に受け取る権利が発生します。

2-2.判例による解釈

次は、同時死亡による保険金の取り扱いを争った裁判例から、その解釈方法を確かめていきましょう。これまで夫婦が同時に死亡した場合で裁判で争われたのは、保険金受取人の家族が保険会社へ保険金の全額受取を請求した場合です。

「指定受取人の法定相続人又はその順次の法定相続人であって被保険者の死亡時に生存している者が保険受取人だと解釈するべき(1993年9月7日判決)」

上記の言葉とともに、保険会社への請求に対しては、受取人の相続人に対して全額支払いを命じています。こうした判決からも、保険法と同じように、同時死亡の場合は、受取人の法定相続人=受取人の家族が、被保険者の保険金を受け取ると解釈し判決を下しています。

また、同時死亡の場合の保険金受取人に関してはこの判決が最初だといわれており、この判例を元に現在も保険金受取人の選定が行われています。

2-3.同時死亡の場合の相続権

保険法も判例も、同じように受取人の相続人が、被保険者の保険金を受け取る権利があると定めています。そこで、より理解を深めるために、同時死亡の場合の相続権も確認しておきましょう。

通常誰かが亡くなると、その家族がお金などを相続します。この考え方を同時死亡の場合に当てはめて考えると、夫が被保険者のときは、保険金を受け取った妻の財産を夫が相続するため、結果的に夫の家族が保険金を受け取ることになります。

では、どうして妻の相続人が夫の保険金を受取る権利を持っているかというと、同時死亡の場合はお互いに法定相続人にならないという規定があるからです。つまり、夫の遺産を妻が相続せず、そのまま次の順位の法定相続人が遺産を相続することになるため、夫の保険金も妻の法定相続人が受け取る権利を得るのです。

例えば、二人の間に子供がいる場合は子供が夫と妻の遺産にプラスして、夫の保険金を受け取る権利を持っています。しかし、子供がいない場合や子供も同時に死亡した場合は、保険金受取人の法定相続人である両親や兄弟姉妹が受取人として選定されます。

保険法や判例は、こうした相続権の考え方を踏まえたものでもあるため、同時死亡の場合の相続権も併せて覚えておきましょう。

3.同時死亡の場合の保険金の分配方法

さて、夫婦が同時に死亡した場合、保険金受取人の相続人が保険金を受け取る権利を有します。しかし、法定相続人は一人ではなく、該当する人全員に受け取る権利が発生します。では、どのように分配するのが正しいのでしょうか?

基本的には、同時死亡の場合の分配の配分は決まっておりません。特に、全員が等しく分配するのか、法定相続分に則るのか、判例でも2つに分かれています。ただし、特別な事情がない場合には、全員へ等しく分配されるのが一般的だといわれています。

4.トラブルを起こさないためには

同時死亡のケースで裁判が何度が起きているのは、保険会社が具体的な規約を定めていないことが原因です。同時死亡という特殊なケースを初めから想定していないため、保険会社が初めは保険金の支払いを拒否していたのです。

現在でも同時死亡のケースについては必ずしも記載する必要はなく、約款に同時死亡については記載されていない保険会社もあります。そのため、一度加入している生命保険の契約書などを読み返して確認しておきましょう。もし、特別な記載がなければ、一度担当者などへ連絡して相談しておくのも良いかもしれません。

また、受取人でモメてしまうケースを回避するために、保険金受取人を複数名指定しておくことも考えておきましょう。この場合、指定した受取人ごとに配分割合まで指定できるため、あなたの想いを金額で反映させることができます。
ただし、保険金受取人に指定できる範囲は保険会社ごとに異なっていますので保険会社に確認されたほうが良いです。

どのような配分が良いのか、家族や保険の担当者と相談しながら、あなたに合った方法で生命保険を活用しましょう。

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