相続税に関する国税不服審判所の審査請求等の不服申立手続の流れ

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税金 相続税

相続税に関する「税金の不満」がある場合はどうすればいいのでしょうか。平成28年4月1日から改正国税通則法が施行され、改正前の制度とはかなり異なる制度となりました。改正法を踏まえて詳説します。

相続税 審査請求 流れ

1.国税に関する不服申立制度の説明

1-1.申告した場合

相続税のような納税申告を要する国税については、まずは納税者の申告からスタートします。

1-1-1.税務署の調査基準

税務署は、確定申告の処理が終わるゴールデンウィークから人事異動の時期である7月までの間に、調査事案を選定します
例えば、相続税が巨額の場合、以前の相続において調査事案であったもの、相続財産に占める不動産が多いもの、国外資産が多いものなどが選定の対象となるといわれています。

1-1-2.税務署の調査開始

国税通則法が平成23年に改正されたのち、税務調査は、基本的には事前通知(調査目的等を記載した書面)がなされることとなりました。そして、税務権限証書を提出している税理士にも通知されることとなりました。

1-1-3.税務調査

相続税に係る税務調査は、金融機関調査、現地調査、納税者等への質問と多岐にわたるが、基本的には、任意調査であり、捜査機関が行うような捜索・押収権はありません。ただし、調査の忌避や虚偽答弁等には刑罰が科されます。

1-1-4.税務調査終了

税務調査が終了すると、納税者に対し、調査結果の説明がなさます。調査結果の説明の際、修正事項がなければ是認通知という通知をもらってそのまま終了します。

他方、修正事項がある場合は、まず、修正申告の勧奨がなされます。要するに自発的に納税者から修正申告を提出させて、終了させようとします。修正申告の勧奨に応じるのであれば、修正申告→追加納付で終了します。
なお、修正申告に応じたからといって、加算税の賦課を免れるわけではないことにご注意願います。

  • 過少申告加算税・・・・納付すべき税額の10%
  • 重加算税・・・・・・・納付すべき税額の35%

特に重加算税が付加された場合には、修正申告においてもその賦課された部分については相続税の配偶者控除などの一定の控除が受けられないこととなっているのでご注意を。
修正申告に応じない場合は次の項「更正処分」に移ります。

【関連】相続税・贈与税の加算税

税務調査 計算

1-1-5.更正処分

納税者が修正申告を提出しない場合、税務署長は、更正処分によって、強制的に相続税額を確定させます。
更正処分に納得する場合には、納付して終了。
更正処分に納得しない場合は、次に進みます。

1-1-6.選択的不服申立

改正国税通則法の元では、更正処分後の不服申立は納税者の選択により行われることとなりました。
まず、税務署長に対し更正処分の再考を求めたい場合は、再調査の請求を更正処分の通知を受けてから3か月以内に行います。
次に、国税不服審判所に対し判断を求めたい場合は、審査請求を更正処分の通知を受けてから3か月以内に行います。

1-1-6-1.再調査の請求

税務署長に対する再調査の請求は、税務署長に対し、再調査の請求書を提出することによって行います。
※再調査の請求内での具体的な手続きは、後で掲載します。

再調査の請求に対して、税務署長は、再調査決定を行います。
税務署長が、再調査の請求に理由があると認める場合には、処分の取消しの決定がなさます。取消決定後は、納付部分があれば還付されて、事案は終了します。

他方、税務署長が再調査の決定について理由がないと認める場合には、棄却決定がなさます。
納税者が棄却決定に対し不服がない場合には、納付して終了します。
納税者が棄却決定に対し不服がある場合には、国税不服審判所に対し、棄却決定を受けてから1か月以内に審査請求をしなければなりません。

1-1-6-2.審査請求

上記のとおり改正国税通則法の下では、国税不服審判所への審査請求は二つのルートによりなされることとなりました。

まず、更正処分を受けてから3か月以内の直接、国税不服審判所に対し審査請求を行うルート(以下「ルート①」といいます)。
次に、更正処分を受けてから3か月以内に税務署長に対し再調査の請求を行い、棄却決定又は一部取消決定を受けた後1か月以内に国税不服審判所に対し審査請求をするルート(以下「ルート②」といいます)。
※国税不服審判所での審査請求手続の詳説については、後で説明します。

審査請求に対し、国税不服審判所は、処分取消裁決又は棄却裁決を行います。
処分取消裁決がなされた場合には、税務署長(この手続内では原処分庁という。)は裁判所に対し裁決取消訴訟の提起はできないため、事件終了。
棄却裁決がなされた場合には、納税者が納得すれば、事件終了。納得しない場合には、裁決書の送付を受けてから6か月以内に地方裁判所に対し更正処分取消訴訟を提起しなければなりません。

1-2.申告しなかった場合

申告をしなかった場合は無申告事案として処理されます。無申告事案についても申告しなかった場合と同様であるが、若干異なる点のみ説明します。

1-2-1.税務調査

申告した場合と同様ですが、相続税ならではの調査の端緒(税務署に無申告であることが発覚するきっかけ)があります。
例えば、共同相続人が対立し、遺産分割協議が難航している場合で、例えば配偶者控除や小規模宅地の特例を受けようとする相続人が、税務署に対し「未分割である旨の申出書」を提出し、他に共同相続人がいることが発覚するケースです。これにより、未分割の場合でも、法定相続分に従って申告する必要があるが、これを怠っていたことが判明します。

1-2-2.税務調査の終了

基本的には、申告した場合と同様ですが、加算税の額が異なります。

過少申告加算税に代えて無申告加算税が賦課されます。また隠ぺい又は仮装行為が認められるような事案では、無申告重加算税が賦課される場合もあります。
それぞれの加算税の税率は以下のとおりですが、申告した場合に比べて無申告の場合には悪性が強いと考えらえれ、税率は高くなります。

  • 無申告加算税・・・・・15%(過少申告加算税10%)
  • 無申告重加算税・・・・40%(通常の加算税35%)

そして、申告した場合と同様に、申告の勧奨(自発的に納税者から修正申告を提出させること)がなされます。
これに応じて期限後申告書を提出する場合は、納付して事案終了します。
応じない場合には、次の「決定処分」へ移ります。

1-2-3.決定処分

税務署長は、無申告事案に際し、納税者が期限後申告書を提出しない場合には、強制的に税額を確定するため、決定処分を行います。
納税者が決定処分に不服がない場合には、納付して事案終了します。
納税者が決定処分に不服がある場合には、次へ移ります。

1-2-4.不服申立手続

これ以降は、申告した場合の「1-1-6.選択的不服申立」と同様になります。

税金 相続税

2.不服申立手続の詳説

2-1.再調査の請求

再調査の請求は、税務署長に対し再調査の請求書を更正・決定処分を受けてから3か月以内に提出することから始まります。
再調査の請求において、請求人(再調査の請求をした納税者)は、書面で処分に対する意見を提出できます。
さらに、請求人は、再調査審理庁(再調査の請求を受けた税務署長等)に対し、口頭で自らの意見を述べることができます(これを口頭意見陳述という。)。
再調査審理庁は、内部的には各国税局の審理課から指導を受けつつ、再調査請求の審理を行います。そして、重要事案審議会を経て、再調査決定を行うことになります。

2-2.審査請求

2-2-1.不服申立手続での審判所の位置づけ

国税不服審判所(審判所という。)に対する審査請求は、改正国税通則法の下では、「1-1-6-2.審査請求」で説明したルート(ルート①とルート②)によりなされます。ここでは、審判所の不服申立手続での位置づけについて説明します。

審判所は、国税庁には属するものの、国税局(税務署)から独立しています。したがって、国税局の意向が直接審判所に影響することはありません。
また、審判所は各地方ごとに12の支部に分かれていますが、東京・大阪支部の所長は、それぞれ検察官・裁判官で占められていて、国税局からの独立性は極めて高いです。審判所は自らのことを「第三者的機関」と称しているのも納得が置けますね。

したがって、審判所においては、審査請求人(請求人)と原処分庁との対立構造の中で、審判所が「第三者的機関」として裁判に準じた形で審理が行われます。

裁判 審判

2-2-2.審判所の手続

2-2-2-1.審査請求書の提出

審査請求を行うためには審査請求書を提出しなければなりません。
審査請求書には、

  • 審査請求の趣旨・・・どのような処分にどのような裁決(取消・変更)をもとめるのか。
  • 審査請求の理由・・・「審査請求の趣旨」を基礎づける理由

の記載が最低限必要です。

2-2-2-2.合議体の編成

審判所における審査請求事件の審理は、通常3名の国税審判官又は国税副審判官から成る合意体を編成して行います。合議体は、各人が独立して権限を行使でき、そのうち事件の審理を主宰する者を担当審判官といいます。

2-2-2-3.原処分庁の答弁書の提出

審査請求書が提出され、これが適法であることが審判所において確認されると、担当審判官は原処分庁に対し期限を決めて答弁書の提出を求めます。期限は通常は4週間とされることが多いです。
答弁書には、審査請求書に対する反論が記載されています。

2-2-2-4.反論書・意見書の提出

担当審判官は、答弁書が原処分庁から提出されると、請求人に対し、答弁書に対し意見があれば、期限を決めて反論書の提出を求めます。期限は通常は3週間とされることが多いです。
反論書が提出されると、審判所は、反論書に対する意見があれば、原処分庁に対し、期限を決めて意見書の提出を求めます。期限は3週間とされることが多いです。

2-2-2-5.口頭意見陳述

請求人は、担当審判官に対し、自らの主張を口頭で述べる機会を付与することを求めることができます(口頭意見陳述)。再調査の決定とは異なり、口頭意見陳述の際に、原処分庁に対し質問をすることができます(質問権)。質問権は、改正国税通則法の下で導入されました。

2-2-2-6.閲覧・謄写権

請求人は、原処分庁から審判所に提出された証拠資料について、閲覧し又は謄写(コピー)の提出を求めることができます。改正国税通則法の下で導入された制度です。他方、原処分庁も、請求人が審判所に提出した証拠資料を閲覧・謄写の提出を求めることができます。

2-2-2-7.担当審判官の調査権

担当審判官は、審査請求の審理に関し、調査を行う権限があります。
具体的には、請求人・原処分庁の担当者・関係人に対する質問検査権、書類等の提出権などです。例えば、請求人との面談がこれらの権限の行使しとして行われています。

2-2-2-8.争点確認表の提示

担当審判官は、審査請求書、答弁書、反論書、意見書等の当事者の言い分が記載された書面を検討して、主張を整理しますが、争点や争点に関する当事者の言い分の骨子が確定できたと判断した段階で、請求人と原処分庁に対し争点確認表という争点・主張(言い分)をまとめた書面を提示して、裁決において判断すべき争点を絞り込みます。

2-2-2-9.審理手続の終結通知

担当審判官は争点の確認表を提示して、当事者から争点・言い分について異論がないことを確認すると、審理手続の終結通知を発します。
改正国税通則法で導入された制度である。
審理手続の終結通知後は、各当事者は書面の提出、「2-2-2-5.口頭意見陳述の申立て」、「2-2-2-6.閲覧・謄写権の行使」などは行えなくなります。裁判でいう結審です。

2-2-5-10.議決・裁決

審理手続の終結後は、担当審判官及びその他の合意体の構成員は、審査請求について処分を取り消すか、棄却するかについて結論を出すために議決という手続を行います。
国税不服審判所所長は、この議決に基づいて裁決を行います。

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