更正の請求により払い過ぎた相続税の還付を受ける方法

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皆様が支払った相続税、実は払い過ぎているケースがしばしば見られます。

そもそもなぜ相続税を払い過ぎるという事態が起きるのか、払い過ぎが分かったらどうすれば良いのかを徹底解説します。

1.相続税を払い過ぎてしまう原因

1-1.相続財産の評価を多めにしてしまう

相続税は、相続財産を相続時の時価で評価して計算することになります。つまり、相続財産の額というのが一律に決まるわけではなく、「評価」というある意味その額に幅がある要素があるのです。

例えば、広大地という土地の評価方法というものがあります。相続財産である土地が広大地というものに該当すると相続税が減額されます。
そして広大地とは、国税庁の通達によりますと、「その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地」とされており、何が「標準的な宅地」や「著しく地積が広い」といった評価を含むため、相続税の申告をする税理士によってぶれが出てきてしまうのです。

そして、税理士によっては、税務調査を回避するために過度に「保守的に」(=相続財産の評価を多めに)判断する者もいます。そうすると相続税の払い過ぎが生じてしまうのです。

1-2.相続税法の理解不足で特例を適用していない

相続税は、いわゆる一発ものの仕事であるため税理士によっては業務として取り扱った経験がない、又はほとんどない者がいます。このような者は、相続税法自体をよく理解していない場合があります。

例えば、相続税の2割加算という制度があります。これは、被相続人からみて配偶者又は一親等内の親族(被相続人の父母・子)以外の者が相続財産を取得した場合に、相続税額の2割を加算するという制度です。

相続税の払い過ぎが生じてしまいやすいのは、孫養子の場合で、相続が開始する前に孫の父(=被相続人の子)が死亡していた場合です。この場合は孫は代襲相続人といって被相続人の「子」と同じ立場になるのですが、2割加算の適用はありません。税理士に相続税(むしろ民法の相続法)の知識がないとうっかり間違えてしまいます。

【関連】相続税額の2割加算の対象者と計算方法

さらに、子育て・結婚資金の非課税の特例という制度があります。
これは親から子に対し、1,000万円までの金額を贈与しても非課税という制度です。この場合、親が贈与後に死亡した場合で1,000万円から実際に子育て・結婚資金に使った金額を控除した残額(これを管理残額といいます。)は、親から遺贈により取得したものとみなされますが、これ以外に相続又は遺贈により取得した財産がない場合には、いわゆる相続開始3年前の加算はないのに、加算して申告してしまったような場合です。

【関連】子供への結婚・子育て資金贈与が1000万円まで非課税に

以上のようなことが相続税に詳しくない税理士において起こり得るのです。

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2.相続税の還付を受ける方法

払い過ぎた相続税については、「更正の請求」を行うことで還付を受けることができます。
わかりやすく「相続税の還付請求」と呼ばれることもありますが、正式な手続き名称は「更正の請求」といいます。

更正の請求にはいくつか種類がありますので、簡単に説明します。

2-1.更正の請求(国税通則法)

相続税で還付を受けようと思えば、更正の請求という申請を税務署長に行います。
更正の請求は通常は法定申告期限から5年以内に行う必要があります。
ただ、一定の事由が生じた場合(後発的事由といいます。)が生じた場合には法的申告期限から5年を経過しても、更正の請求ができる場合があります。

2-2.更正の請求(相続税法)

相続税は、例えば遺産分割など国税通則法上の更正の請求ではとらえきれない特殊な場面があります。このような場合であっても更正の請求を認め納税者の権利の保護を図る必要があります。このような場合に、相続税法は、通則法とは別に更正の請求ができる場合を規定しております。

たとえば、遺言が後から見つかった、相続人が増えた・減ったなど、相続に関連して特別に起こりうる理由のことです。
詳細は下記をご参照ください。

【関連】相続税の修正申告と更正の請求

2-3.更正の請求の手続

更正の請求の手続きは

  1. ①更正の請求の期間内に
  2. ②納税申告書を提出した税務署長に対し
  3. ③更正の請求(及び添付資料)を提出するだけです。

なお、③については、還付を求めるに当たり必要な資料(遺産分割協議書、審判書など)があれば、添付資料として提出してください。

2-4.更正の請求のスケジュール等

税務署長に対し更正の請求書が提出されると、税務署の不服申立担当(資産税であれば、第一部門)に事案が回付されます。
そして、調査が開始されます。この調査は、電話での聞き取りや面談に及ぶ場合があり、事案によって異なります。

その上で、国税局の審理課などと協議して、税務署内で重要事案審議会が開催され、税務署長の決裁を経て、認容するかの処分(通知処分といいます。)がなされます。
通知処分までの時間は、おおよそ3か月くらいといわれていますが、事案により長短はあります。

2.5.更正の請求が認められた場合

2-5-1.相続税の減額と還付加算金

更正の請求が認められた場合、税務署長は、相続税の減額する更正処分を行い、減額部分だけ還付されます。

この場合、還付加算金といって、一種の利息のようなものがおまけについてきます。還付加算金は減額部分の年7.3%です。現在の普通預金金利の約700倍というとてつもなく大きい額です。
そして、還付加算金の起算点は、通常は納付の日なのですが、更正の請求が認められた場合には、更正の請求の日~3か月と、更正の請求が認められ減額更正がなされた日~1か月を経過する日のどちらか早い日から起算するとされています。

2-5-2.還付が認められた例

還付が認められた例として以下の事例があります。

① 同族会社の株式の相続に関して、株式の評価方式を巡って、税務署と納税者の意見が対立した事件において、裁判で納税者の更正の請求が認められ、約3億円もの還付を受けた例があります。
② 同族会社の株式の評価方式を巡って税務署と納税者の意見が対立した事件ですが、判決により認められたことで約1億2,000万円もの還付額が認められました。
③ 申告時には賃借権の負担のない土地として申告したところ、事後に裁判で賃借権の負担があるとの判決が下されたので、更正の請求を行ったこころ、国税不服審判所で認められ、約3,000万円もの還付金を得た事例があります。
④ 生前贈与が無効であるとの裁判上の和解が成立したことにも基づく更正の請求について、税務署からその和解は合理的な理由がないとして否認された事例について、国税不服審判所において、その和解の経緯からすると、その和解は合理的な理由に基づくものであったとして、還付金を得た事例があります。

2-6.更正の請求が認められなかった場合

更正の請求が認められなかった場合には、税務署長から「更正すべき理由がない旨の通知」という処分(通知処分)が下されます。

納税者は、この通知処分に不服がある場合には、この通知処分を受領して3か月以内に、国税不服審判所に対し審査請求をするか、又は3か月以内に税務署長に対する再調査の請求をするか選択できます。
そして、再調査の請求を行った者で、再調査の決定に対し不服がある場合には、再調査の決定を受領してから1か月以内に、国税不服審判所に対し審査請求ができます。

3.相続税の還付に関するQ&A

3.1.申告時の税理士と別の税理士に依頼しても良いのか?

全く問題ないと思います。むしろ、更正の請求自体を行ったことのない税理士の方が多いのではないでしょうか。更正の請求以降の不服申立手続については、国税審判官出身の税理士や余裕があるのであれば弁護士を付けることをお勧めします。

3.2.更正の請求をすることで税務署から目を付けられませんか?

これも全く問題がありません。もともと税務調査は、基本的には税務調査の理由を調査の対象者に通知することになっています、そこに税法上の理由を付記することとなっており、更正の請求などの不服申立をしていることは挙げておりません。したがって、全く問題にする必要はないです。

3.3.還付金及び還付加算金に税金はかかりますか?

まず、還付金ですが、これは課税されません。
他方、還付加算金ですが、これは、受領者の所得税に係る雑所得として課税されます。

まとめ

以上のとおり、相続税をもし払い過ぎていたら、更正の請求により相続税の還付を受けることができます。もし不満や心当たりがあれば税理士にご相談ください。

更正の請求はレアケースであり経験したことがない税理士も多くいますので、相続税に詳しい税理士に依頼することをお勧めします。

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