お金の終活をはじめよう!

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3、4年前から「終活」という言葉がメディアで取り上げられることが多くなりました。自分の最期を円滑に迎えるために、いろいろな項目をエンディングノートにまとめる人が増えており、今では書店でエンディングノートを普通に見かけるようになっています。終活アドバイザーや終活カウンセラーを手掛ける税理士・FP・司法書士など士業の人も増えています。

ここでは、お金に関わる終活について、主に50代~60代の人向けに解説します。

1.終活の具体的な内容

終活の第一歩は、「整理する」から始まります。「自分の人生を振り返る」と換言することもできるでしょう。といっても、初めて終活をする人は、何から始めたらよいのか戸惑ってしまうかもしれません。終活の具体的な内容を見てみましょう。

1-1.整理する項目

まず、以下の項目について整理し、エンディングノートにまとめます。エンディングノートには遺言のように法的な効力はありませんが、書式に何ら制限はないので、きちんと作成すれば、自らの死に際し思い通りの葬儀を実現できる他、遺族にとっても、「なすべきことの負荷が軽減される」といったメリットがあります。

1-1-1.自らの基本情報と収入・支出、人生の振り返り(主な出来事と思い出)、医療・介護情報

まずは、氏名、生年月日、住所、職業、家族、連絡先、メールアドレスなど、自らの基本情報をまとめます。趣味やスポーツ、好きな食べ物、人生における出来事や思い出なども書いておくとより良いでしょう。収入と支出も必須です。医療・介護情報や、希望の看取り場所も書いておくと親族は助かります。

1-1-2.主な資産(現預金、株式、債券、投資信託、外貨建て資産、生命保険など)

次に、主な資産について書き出します。そして大事なことは、資産名と金額を書くだけではなく、「金融機関名、支店名、口座番号、連絡先(担当者)」を書いておくことです。
また、生命保険であれば、保障内容のみならず、保険料や保険期間、契約者・被保険者・保険金受取人、証券番号も書きましょう。もちろん、保険証券の保管場所も記しておきます。

1-1-3.その他の資産(自動車、ゴルフ会員権、美術品・工芸品、装飾品、骨とう品、家財一式、仏壇・仏具など)

金融資産以外の資産は忘れがちですが、漏らさず記入します。

1-1-4.不動産

終活にあたり、不動産の処理は特に重要です。金融資産と異なり、権利の問題があるからです。
土地の地目・面積や建物の種類・構造・床面積、持分、担保などにつき、登記簿どおりに書きましょう。用途(自宅、別荘、事業用、投資用等)も必要です。また、未登記のものや固定資産税が非課税のもの、名義書き換えしていない不動産の有無についても確認しておく必要があります。加えて、不動産については、不動産業者に査定を依頼するなどして時価を把握し記入しておきましょう。

1-1-5.年金・退職金

年金(公的年金・私的年金とも)や退職金の情報もまとめておきましょう。DC(確定拠出年金)や企業年金からの給付がある場合は、その情報も必要です。

1-1-6.葬式のスタイル、お墓の形態、供養の方法

葬式のスタイルやお墓の形態、供養の方法についてもあらかじめ指定しておく必要があります。これらはどの形態をとるかで費用が大きく変わってきますし、遺族にとっても指定されておいたほうが楽です。
例えば葬式であれば、一般葬なのか家族葬なのか後日「お別れの会」などの形で盛大に行うのか、また最近では直葬や一日葬、花祭壇などのスタイルもあります。スタイルに拘りがある場合は、予算を調べた上、あらかじめ書いておきましょう。

1-1-7.人間関係の整理と葬式に呼ぶ友人のリスト

1-1-8.遺品の処理(整理収納)

1-1-9.ペットやPC・スマホ・携帯等の処分

これらはお金に直接関係しないように見えますが、葬式のスタイルは葬式に呼ぶ友人の数によっても変わるので、予算が変動します。また、遺品整理は遺族が行うと負荷が大きい場合は、専門の業者に依頼することになりますが、遺品が多い場合は数十万円~百万円程度の費用が発生することがあります。遺品整理ビジネスは、大手運送会社子会社も参入するなど近年活況を呈していますが、費用はピンキリです。悪徳業者には注意が必要です。

ペットを飼っている場合は、引き取り先をあらかじめ決めておくことが望ましいです。また、PC・スマホ・携帯等の処分方法についても指定しておきましょう。

1-1-10.ネットで管理している資産について

現代のネット社会においては、ネットで管理している資産についても整理してエンディングノートに記しておく必要があります。なぜなら、ネットで管理している資産は、相続人がそもそもその存在に気がつかないことがあるからです。相続税にも影響を及ぼしますので、ネット証券やネットバンキングの取引有無、ビットコインの保有有無等について記し、口座番号やID、パスワードを忘れず書いておきましょう。

1-1-11.SNSの終活

facebookやtwitter、Instagram、LINE、mixi、amebloなど、SNSのアカウントを、死後どうするかといった問題もあります。GoogleやYahoo!などのアカウントも然りです。例えばfacebookでは、アカウントを追悼アカウントにするかfacebookから完全に削除するか、生前に意思表示できます。もちろん、何の規定もないコンテンツもありますが、利用可能な場合はあらかじめ指定しておくとよいでしょう。例えばGoogleでは、この詳細はプライバシーポリシーで確認することができます。

【関連】亡くなった人のSNSアカウント/メールアカウントの削除方法

2.自分で使う分を確保する

「1.終活の具体的な内容」で、整理すべき項目を確認しましたが、次に、お金の問題を考える必要があります。つまり、「自身の生活資金を確保しながら、遺族のための資金も確保する」ことが重要になります。これは単なる相続対策ではなく、「自身のライフプランを楽しみ、豊かにし、生き生きと過ごしながら死を迎える」ことを目指すものです。

2-1.節税がすべてではない

終活=相続税対策と思っている高齢者は依然多いようです。遺族の納税資金の確保や遺産分割対策に頭を悩ませている人も少なくないでしょう。しかしながら、最も大事なものは、「死を迎えるまでの自分の生活」です。相続税対策、節税を主眼に置くあまり、自分の生活が窮屈になってしまっては元も子もありません。まず、自身に必要なお金(生活資金+余裕資金)を確保することを考えましょう。

2-2.老後(死を迎えるまで)に必要なお金の試算

自身に必要なお金は、試算(シミュレ―ション)を行って確認する必要があります。
老後に必要なお金は、基本的には、
{収入(公的年金+その他)-支出(基本生活費+その他支出+臨時支出等)}×自身が想定する余命年数
で算出され、この額に対し、現在の預貯金等の資産がどれくらいあるかで決まります。

2-3.キャッシュフロー表の作成

最も効果的な試算は、老後のキャッシュフロー表を作ってみることです。キャッシュフロー表とは、家計が将来にわたりどのように推移するかを表した収支予測表のことで、収入項目から支出項目を差し引いて年間収支を算出し、そこに現在の金融資産を合わせ、金融資産残高の将来推移を確認します。キャッシュフロー表は、自分で作成するのが大変であれば、FP(ファイナンシャル・プランナー)に依頼してもよいでしょう。

キャッシュフロー表キャッシュフロー表の例

3.誰にどの資産を残すか決める

終活は、生前の遺産分割の側面もあります。相続トラブルを招かないよう、必要があれば遺言や信託などの手段も用いて、適切な配分をあらかじめ決めておきましょう。

3-1.遺言の活用

遺言には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言などの形式があります。それぞれにメリット・デメリットがありますが、法的効力を担保するためには、やはり公正証書遺言が最もよいでしょう。ただし、初めての人は練習としてとりあえず自筆証書遺言を書いてみるのもよいかもしれません。遺言者キットも市販されていますので、手軽に遺言を書くことができます。

争続を避けるためには、特に財産の記載漏れと作成後の時価変動、遺留分の侵害、補充遺言の作成(受遺者死亡時に備える)等に注意が必要です。

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3-2.信託の活用

もう一つ、状況によっては、各種の信託を活用することも選択肢になります。終活の際に利用される信託には、例えば次のようなものがあります。

  • 後見制度支援信託・・・後見人による適切な財産管理を担保するための信託。
  • 家族信託・・・委託者の親族が受託者となり、委託者の資産管理、生活支援等を目的に行う財産の信託。
  • 遺言信託・・・子どもがいない夫婦に有効。信託銀行が遺言執行者になる。
  • 教育資金贈与信託・・・贈与者が、子、孫等の教育資金を金銭信託に預け入れ、払い出し請求に基づいて教育資金を支払う。1,500万円までが非課税となる。
  • 結婚・子育て贈与信託・・・受贈者が、贈与者から贈与を受けた資金を結婚・子育て資金に充当するため、金銭信託に預け入れる。1,000万円までが非課税となる。

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3-3.その他の注意点

適切な配分の決定のためには、例えば、暦年贈与のみならず相続時精算課税制度の活用も考えられますが、デメリットも多いので十分注意する必要があります。また、生命保険を活用する場合もあるかもしれません。

自身についても、生前に特定の相続人に負荷がかからないよう、認知症や要介護状態になったとき、不治の病にかかったとき等の備えをしておく必要があります。後見制度の利用や身元引受人の確保も必要になるかもしれません。住まいが戸建ての場合は、リバースモーゲージの活用も選択肢に入るでしょう。

4.まとめ

見てきたように、一口に「終活」といっても、なすべきことは多く、円滑に行うのはなかなか大変です。マネープランの作成のみならず、相続・贈与、税務などの包括的な知識も必要になります。死はいつ訪れるかわからないため、早めの準備が必要ですが、

自分一人で手に負えない場合は、弁護士、税理士、FP(ファイナンシャル・プランナー)などに相談するのもよいかもしれません。死後、遺族に負担をかけないためにも、きちんと終活を行い、不安のない、充実した老後をおくりたいものですね。

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