準確定申告と還付金の受け取り

亡くなった人が、その年の1月1日から死亡した日までの所得や税金の申告をする準確定申告。通常の確定申告と同じように所得税を納付することもあれば、還付を受けることもあります。特に還付の場合は、すでに納税者が亡くなっているため、通常の手続きと異なることもあります。ここでは準確定申告と還付金の受け取りについて解説します。

1.準確定申告をすると還付金が発生することがある

準確定申告をすると、還付金が発生することがあります。給与や報酬、公的年金等から所得税が源泉徴収されている場合や、予定納税をしている場合などです。

その場合、還付金はいつ受け取ることができるのでしょうか。昔に比べて、還付金が支払われるのは早くなっています。通常、準確定申告すると1か月かからない程度、確定申告時期など忙しい時期であれば1か月~1か月半程度で還付金が支払われます。

【関連】準確定申告書と付表の書き方(記入例つき)

2.還付金の受け取り方

還付金の受け取り方には、各相続人が受け取る方法と相続人の代表者が一括して受け取る方法の2つがあります。それぞれの方法を確認していきましょう。

①各相続人が受け取る方法

各相続人が受け取る方法は、原則的な受取方法です。準確定申告には、氏名や住所、被相続人との続柄など各相続人の情報を記載した付表を添付する必要があります。付表には、相続分ごとの還付金額や、還付の振込を希望する金融機関名や口座番号を記載する欄があります。必要事項を記載すれば、相続人ごとに指定した銀行に還付金が振り込まれます。

②相続人の代表者が一括して受け取る方法

各相続人が受け取る方法以外にも、相続人の代表者が一括して受け取る方法も認められています。本来、還付金は各相続人が受け取るべきものであるため、この方法で受け取る場合は相続人全員からの委任状を作成し、準確定申告書に添付して税務署に提出する必要があります。委任状には特に決まった形式はありませんが、主に以下の事項を記載した委任状を作成します。

  • 被相続人(亡くなった人)の住所、氏名
  • 還付金を受け取る相続人の代表者の住所、氏名、電話番号
  • 委任する相続人それぞれの住所、氏名の記載と押印
  • 準確定申告の還付金と、還付加算金の受け取りを相続人の代表者に委任する旨の文言

大阪国税局が独自に作成した様式がホームページで公開されています。参考にしてください。
【外部サイト】大阪国税局:委任状(準確定申告用)

3.還付金は相続財産、還付加算金は対象外

ここまでは準確定申告の還付金の受け取り方法について見てきました。ここからは還付金の性質について見ていきましょう。

準確定申告で還付を受ける場合に受け取る金額は、還付金還付加算金を合計した金額です。還付加算金とは、税金の還付につける利子のようなものです。この還付金と還付加算金は性質が異なります。

還付金は、その請求権が被相続人の生存中に潜在していたものと考えるので、相続財産になります。一方、還付加算金は準確定申告をすることにより発生したと考えるので、相続財産にはなりません、受け取った相続人の所得となります。
準確定申告の還付金は相続財産となるため、相続税の計算の際には注意が必要です。

4.住民税は還付されない

では、株式を所有したり、売却したりした場合などで個人住民税の還付がある場合はどうなるのでしょうか。

所有している株式の配当を受けたときは、5%の住民税(配当割)があらかじめ源泉徴収されています。また、上場株式等を売却したときにも5%の住民税(株式等譲渡所得割)があらかじめ源泉徴収されている場合があります。あらかじめ源泉徴収されていますので、準確定申告をすると個人住民税も還付されると思われますが、実は、住民税は還付されません

これは、所得税と個人住民税の課税方法の違いが関係しています。
簡単に言うと、所得税はその年の1月1日から亡くなった日までの所得について課税されます。一方、個人住民税は前年1月1日~12月31日の所得に対し、翌年1月1日時点の住所がある自治体が課税するため、亡くなった年の所得には課税されません。そもそも課税されないので申告をすることができず、還付も受けることができないのです。

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監修
税理士相談Cafe編集部
税理士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続税や相続周りに関する記事を500近く作成(2023年4月時点)。
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