不動産登記って必要なの?

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東日本大震災では多くの土地や建物が被害を受けましたが、「不動産についての相続登記がされていない土地」が復興の妨げになるということがありました。

このように、不動産についての登記を行っていないことは権利関係を複雑にしてしまいますのできちんと手続きを行っておく必要があります。

今回は、不動産登記がどのような場合に必要なのかについて解説させていただきます。

1.登記義務のあるもの:表題部登記

不動産登記には「必ず登記しなくてはいけない内容」と「登記するかどうかは自由な内容」の2種類があります。

必ず登記しなくてはならないのは「表題部登記(表示に関する登記ともいいます)」と呼ばれるもので、主に不動産の物理的な状況がどうなっているのか?を表す内容です。

具体的には、土地の場合は所在・地番・地目・地積等の情報が必要です。

建物の場合には所在や建物の種類(住宅なのか、企業の事務所なのか)・家屋番号・床面積と構造が必要になります。

1-1.表題部登記を行わないとどうなる?

表題部登記は、建物を建てた後1か月以内に申請をしなくてはならないルールになっています(土地についての表題部登記を行うのは、国から払下げを受けたり、未登記になっている土地を取得したりしたような場合に限られます)

もし期限内に申請を行わなかった場合には10万円以下の過料(罰金の一種)に処されてしまう可能性がありますから注意しましょう。

不動産に関する法律事務は司法書士に依頼するイメージがありますが、建物の表題登記については土地家屋調査士に依頼するのが一般的です(法律上、司法書士は表題部を新設する登記は業として行うことができません)。

土地家屋調査士に表題部登記の依頼をした場合の費用相場は物件1件(土地1筆)あたり7万円~10万円程度です。

なお、表題部登記は原則的に登記申請の費用(登録免許税)はかかりません。

1-2.表題部登記を行うための資料は?

実際に表題部の登記を行う際には、以下のような書類をもとに手続きをする必要があります。

  • 登記申請書
  • 所有権を証明する書類(建築確認通知書や工事完了引渡証明書・検査済み証など)
  • 建物所有者の住民票写し(共有の場合、所有者となる人全員分)
  • 建物の図面
  • 建物各階の平面図
  • 建物の写真や地図
  • 委任状(代理人に申請してもらう場合)

所有権を証明する書類については建物の建築が進むにつれて順番に渡されるようなケースもありますから、不動産に関する書類はなくさないように保存しておかなくてはなりません(普通はハウスメーカーなどが管理してくれますが)。

2.登記義務のないもの:権利部の登記

ここまで説明させていただいた表題部登記は必ず登記をしなくてはならないものですが、以下で説明させていただく権利部登記は「登記をするかしないかは自由」という扱いになります。

ただし、登記をするかしないか自由というのは「登記をしなかったことによって生じた損害は当事者が負わなくてはならない」ということでもあります。

権利部登記では誰が不動産の所有権を持っているのかや、設定されている担保の内容などに関する情報を登録しますので、これを怠っていると最悪の場合は自分の権利を認めてもらえない可能性があるのです。

以下では不動産の権利部登記を行わない場合にどのような損害が生じる可能性があるのか?について具体的に見ていきましょう。

2-1.権利部登記を行わないとどうなる?

登記に関する基本的なルールとして、「登記をしていない権利の内容については、取引に関係していない人に対して主張することができない」というものがあります。

例えば、不動産の所有者AがBに対して不動産を売った後に、別のCとも売買契約をしたとします。

このとき、先に売買契約を結んだのがもしBだったとしても、Cの方が先に登記を行っていた場合にはCが権利を取得することになるのです。

2-2.善意・悪意の第三者

登記がないと所有権を主張できないのは第三者というのは、「善意の第三者」に限られません(法律上、ある事実を知っている場合を「善意」、知らない場合を「悪意」といいます)。

上の例ではCがAB間の売買契約の存在を知っていたとしても、登記を先に行っていれば、Bに対して所有権を主張することができます

ただし、Cが「背信的悪意者」であった場合は、Bに対して所有権を主張することはできません。例えば、Cが「Bはこの不動産をどうしても欲しい」と言っていたことを聞きつけて、Bに高値で転売することを目的にAから登記を受けた場合には、Cは「背信的悪意者」となり、Bに所有権を主張することはできません。

2-3.売買当事者間では賠償を求めることはできるけど…

Cが先にAから登記を受けていた場合であっても、Bはもとの所有者であるAに対して権利を主張したり、生じた損害について賠償を求めたりする分には問題ありません。

具体的には、売買契約で支払ったお金を返してもらうよう求めることができるほか、その不動産を使えなくなったことによって生じた損害(例えば賃貸アパートにしていれば得ることができた家賃収入など)を補填するように求めることができます。

しかし、もしAがその売買代金を使い込んでしまっていたり、行方不明になっていたりすると、Bは「代金を払ったのに不動産の所有権も得られない」といった状況になる可能性があります。

このように、不動産取引に当たっては登記を行わないことは非常に大きなリスクを負うことになるのです。

2-4.権利部登記の内容(甲区と乙区)

不動産の権利部登記には、その名の通り「その不動産について誰がどのような権利を持っているのか」の情報を登録します。

権利部登記には内容によって甲区と乙区の2種類があります。

甲区には不動産の所有権に関する内容を、乙区には所有権以外の内容が登録されます。

所有権とはその名の通り不動産を売ったり買ったりといったことを自由に行う権利のことです。

所有権以外の権利(乙区に登録される権利)としては、不動産を借金の担保にするときに設定される抵当権が代表例です。

2-5.抵当権とは?

抵当権とは、ごく簡単に言うと「もし借金を返せないときには、この不動産を取り上げて、他の債権者に優先して借金返済のかたにすることができる権利」ということです。

お金の貸し手としては約束通りに借金の返済がされないときに備えて、借金を貸す相手が持っている不動産についても権利を及ぼすことができるようにしておくというわけです。

代表的なのが銀行で住宅ローンで組んでマイホームを購入するような場合で、マイホームには銀行が抵当権を設定するのが普通です。

もし住宅ローンの返済が滞るようなことがあった場合には、銀行は抵当権を実行してマイホームを売却し、その売却代金から債権を回収することになります。

2-6.住宅ローン残高の方が金額が小さい場合は?

なお、住宅ローンの返済がすでに長期間行われているような場合には、「住宅ローンの残高<不動産の売却価格」となることも考えられます。

その場合には、住宅ローンの償還後に残った不動産の売却代金はもとの所有権者(住宅ローンを借りた人)に返還されるということになります。

抵当権のような権利はあくまでも「借金を担保するためのもの」ですから、借金の範囲内でしか存在しないということを理解しておく必要があります。

2-7.権利部登記を行うために必要になる費用

所有権や抵当権の登記は、司法書士などの専門家(表題部登記については土地家屋調査士)に依頼して行うのが一般的です。

例えば、3000万円程度の住宅ローンを組んで新しくマイホームを新築した場合には、以下のような費用が発生します。

  • 建物表題部の登記費用:7万円~10万円程度
  • 土地地目変更の登記:5万円程度
  • 所有権保存の登記:登録免許税4万5000円程度
  • 住所変更の登記:登録免許税1000円
  • 抵当権設定の登記:登録免許税3万円程度
  • 司法書士の手数料:10万円程度
  • 登記事項証明書の発行:1万円程度(役所に払うのは5000円程度)
  • 立ち合い費用や交通費:3万円程度

合計で30万円程度が必要になります。

なお、マイホーム新築をハウスメーカーに依頼したような場合には、どの司法書士に依頼するかは指定されていることが多いです。

決して安い費用ではありませんが、上で説明させていただいたように登記を怠っていると最悪の場合は不動産を所有する権利を失うような可能性もあります。

マイホームのような重要な財産を新しく取得する場合には登記を行っておくのが一般的です。

3.登記をしないことによるメリット・デメリット

不動産に関する登記を行わないことによるメリットとデメリットをまとめると、以下のようになります。

登記をしないメリット:登録免許税や司法書士に対して支払う手数料を節約できる

登記をしないデメリット:不動産売買に関するリスクを負うことになる(最悪の場合、代金だけ払うことになる可能性も…)

登記を行うためには登録免許税などの費用を負担する必要があります。

しかし、登記をしないことによって生じる損害に比べるとはるかに小さい負担で済みますから、登記は必ず行うようにしましょう。

4.相続登記の義務化への流れ

上で説明させていただいたように、現状では登記には①必ずしなくてはならないいけないもの(表題部登記)と、②するかしないかは自由なもの(権利部登記)の2種類があります。

しかし、冒頭で触れたように大災害が生じた場合に起こる問題や、空き家の問題を抜本的に解決する必要性から、法務省は②の登記(権利部登記)についても義務とすることを検討しています。

具体的には、2018年度夏に発表される骨太の方針において相続登記の義務化を求める法案の内容が盛り込まれる見込みです。

4-1.相続登記が義務化されることの影響は?

以下はあくまでも予想ですが、相続登記が義務化されることの影響について考えてみましょう。

相続登記が義務化された場合、現在表題部の登記は登録免許税がかからないとされているように、相続登記についての登録免許税は減額されるかもしれません。

登記が義務化されると、登記手続きを行う人が爆発的に増えることになりますから、登記に関する手続き方法も現在よりも簡素なものに変更される可能性があります。

そうなると現在は専門家(司法書士)の専売特許となっている登記に関するビジネスの構造が大きく変わることも考えられます(具体的には司法書士になろうとする人が減るかも知れません)。

司法書士というのは現在は日本有数の人気資格ですから、資格スクールなどの教育産業にも大きな影響を与えるかもしれませんね。

5.まとめ

今回は、不動産登記を行う必要があるケースや、登記をしないことによるメリットやデメリットについて解説させていただきました。

登記をしない場合には不動産取引に関するリスクを負うことになってしまいますから、司法書士などの専門家と相談しながら必ず登記を行うようにしましょう。

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