土壌汚染された土地の相続ってどうなるの?

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土壌汚染 

 相続するにあたって、最も問題になるのが不動産の「土地」です。しかし、もしその土地が汚染されていたら価値はどうなるのでしょうか。普通の土地と変わらない額で相続税を納めるのでしょうか。土壌汚染された土地を所有している人のために、相続で知っておくべき情報を解説します。

1.土壌汚染地とは

1-1.相続土地の減額要素

相続した土地は、通常、国税庁が公表している路線価などを使って評価します。しかし、土地には、道路に面していて使いやすかったり、逆に周囲の環境が悪くて使いにくかったりと、その土地特有の事情があります。そこで、土地の相続評価では、それらを加味して計算されます。

相続した土地の評価には、間口(入口)の狭い土地や不整形地、無道路地、高圧線の下にある土地など、さまざまな減額要素がありますが、その中のひとつに「土壌汚染地」があります。

1-2.土壌汚染地とは

では、土地の減額要素のひとつである土壌汚染地とはどのようなものか、見ていきましょう。
土壌汚染地とは、簡単にいうと、人に健康被害をおよぼす有害物質に汚染された土地のことです。土壌の汚染から国民を守るため、環境省では土壌汚染対策法を定めています。土壌汚染対策法では、以下の2つを土壌汚染地としています。

  1. その土壌から直接、人に健康被害をおよぼす有害物質を摂取する可能性がある土地
  2. 地下水などを通して、間接的に人に健康被害をおよぼす有害物質を摂取する可能性のある土地

そのため、土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがあると都道府県などが認める土地や、土壌汚染の恐れがある土地の形質が変化している場所などでは、有害物質があるかどうかの土壌の調査などを行い、もし有害物質があった場合は除去するなどの対策を行う必要があります。

1-3.土壌の調査方法

土壌汚染地と疑わしい土地では、土壌の調査を行う必要があります。通常、土壌の調査は、環境大臣や地方環境事務所長、または都道府県知事が土壌汚染対策法に基づき指定する調査機関に依頼します。土壌汚染法に基づく指定調査機関は、以下の環境省のホームページより調べることができます。

【外部サイト】環境省:土壌汚染対策法に基づく指定調査期間

指定調査機関は、環境省の土壌汚染地の調査方法の施行規則やガイドラインなどに則り、表層土壌調査などを行い、「土壌汚染状況調査結果報告書」を作成します。調査費用は、業者や調査する土地の大きさなどにより異なりますが、通常20万円~50万円程度かかります。

2.土壌汚染地の相続

2-1.土壌汚染地の相続評価額の計算方法

では、相続した土地が土壌汚染地であった場合、相続評価がどうなるのかを見ていきましょう。
土壌汚染地は使用制限があったり、有害物質の除去をする必要などがあるので、他の土地に比べて価値が低くなります。評価額の計算方法には原価方式比較方式収益還元方式3つがあります。ここでは、一般的な原価方式について解説します。原価方式による土壌汚染地の評価方法は次のとおりです。

  1. その土地の通常(汚染がない場合)の評価額を計算します。
  2. 「浄化、改善費用に相当する金額」「使用収益制限による減価に相当する金額」「心理的要因による減価に相当する金額」の3つの減価を計算します。
  3. 土地の通常(汚染がない場合)の評価額から、②の3つの減価を差し引き、土壌汚染地の評価額を求めます。(①-②)

2-2.浄化、改善費用に相当する金額

「浄化、改善費用に相当する金額」とは、土壌汚染の除去、遮水工封じ込め等の措置を実施するための費用のことです。土壌汚染の除去には、土壌の除去、土壌中の汚染物質の分離や抽出、土壌中の汚染物質の分解などが該当します。

通常の土地の相続評価額は、地価公示価格の80%程度になることが多いため「浄化、改善費用に相当する金額」も、土壌汚染の除去、遮水工封じ込め等の措置を実施するための見積額の80%相当額となります。

「浄化、改善費用に相当する金額」は、原則、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関の見積額を使って評価します。しかし、「浄化、改善費用」は、土壌汚染物質の種類や濃度、その汚染の範囲(深さや広さ)、浄化の方法などによって大きく異なり、数百万円程度かかることもしばしばあります。

2-3.使用収益制限による減価に相当する金額

土壌汚染地は、リスク管理を継続することが大前提のため、その土地の使用に一定の制限がかかります。そのため、例えば住宅用の土地としては使用できず、従業員の駐車場として使用せざるを得ないなどの制限がかかる場合があります。

「使用収益制限による減価に相当する金額」とは、その使用制限により、得ることができなかった利益の減額相当額のことです。「使用収益制限による減価に相当する金額」がいくらになるかは、個別に検討する必要があります。

2-4.心理的要因による減価に相当する金額

「心理的要因による減価に相当する金額」とは、その土地が土壌汚染地のために起こる嫌悪感などから被るマイナス分のことです。
心理的要因による減価は、対象地が有害物質に汚染されている、または過去に汚染されていたことに対する嫌悪感からくるもののため、土地汚染の浄化前と浄化後ではその金額が異なります。浄化後は、時が経過すればするほど嫌悪感(減価)が少なくなると考えられます。

ただし、その金額の算定には明確の基準はないため、個別に検討する必要があります。現時点においては明確な基準を裏づけるデータの質や量が少ないため、不動産鑑定士などが、普段接している経験や判例などから金額を判断せざるを得ないと考えられます。

2-5.注意点

土壌汚染地の評価には、次の注意点があります。

①土壌汚染地として評価できている土地

土壌汚染地として評価できる土地は、あくまで課税時期において、土壌汚染の状況が判明している土地だけです。土壌汚染の疑いがあるだけでは土壌汚染地として評価できないので、注意が必要です。

②求償権

土壌の汚染の原因が第三者にある場合には、その第三者から浄化等の費用を回収できる場合があります。回収できる見込みがある場合は、求償権(請求できる権利)も相続財産となるので、注意が必要です。

3.その他の計算方法

3-1.比較方式

比較方式とは、対象地の土壌汚染と類似の汚染影響がある土地の売買実例を収集し、実例と比較準拠して、評価額を計算する方式のことです。より実情に近い評価ができるメリットがある一方、土壌汚染地の売買実例の収集をすることが難しいというデメリットがあります。

3-2.収益還元方式

収益還元方式は、その土地を賃貸した場合などに得られる純収益と還元利回りを基に、評価額を計算する方式のことです。収益還元方式の計算式は次のとおりです。

土壌汚染地の評価額=純収益/還元利回り

収益性に着目した評価額を算定できるメリットがある一方、土地汚染による影響を純収益と還元利回りに影響させる必要があるものの、土地汚染による影響を総合的に判断して純収益と還元利回りの金額を決定することが難しいというデメリットがあります。

これら2つの評価方法は、評価が難しく現実的ではないため、例外的な評価方法です。しかし、比較方式は市場性から、収益還元方式は収益性から、それぞれ土地の価値を求める方法であるため、土壌汚染地のある地域が、土地の売買が多い地域や賃貸物件が多い地域である場合は、より実情に合った評価をすることが可能となります。

まとめ

土壌汚染地の相続は、通常の土地と比べて、大幅に相続額が下がることが分かっていただけたと思います。所有する土地の近くに化学工場や原子力発電所などがある方は、相続の前に調査しておくとよいでしょう。

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