相続税の申告を、相続人ごとに別々にすることはできる?

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相続は大きな財産が動くため、相続人間での遺産分割争いは付き物です。「相続」をもじって「争続」という言葉があるくらいなのです。

一度過熱してしまった相続争いは収拾がつかなくなる場合も多く、相続人全員で同じ申告書を提出するということすら難しくなってしまいます。

相続税申告は相続人ごとに申告することができるのか、解説していきます。

1.相続税申告は相続人ごとに申告可能

相続税申告は通常、相続人全員で1つの申告書に連署と押印をして共同提出しますが、共同提出でなければならないという決まりはありません。

相続という性格上、相続人が複数いる場合には何らかの揉め事が発生してしまい、申告書の作成がスムーズに行えないということも当然に出てくるため、相続人それぞれが別々に申告することも可能となっています。

申告書の提出先は被相続人の住所地であるため、相続人がそれぞれ申告書を提出する場合であっても、提出先はみな同じとなります。

また、別々の税理士に申告を代行してもらうことも可能です。
申告書に署名捺印する際に他の相続人と顔を合わせたくないという程度であれば、1人の税理士がそれぞれの相続人に署名捺印を貰ってまわるだけで良い話なのですが、中には自分以外の相続人が連れてきた税理士など信用できないとなる場合もあります。

例えば相続人が5人いる場合に、みんなそれぞれが別々の税理士に依頼した場合には、税務署に5人の税理士が作成した5つの申告書が提出されるということになります。

2.先に自分だけ申告することも可能

申告期限までに遺産分割が終わらない場合には、それらの財産を法定相続分で按分し、それぞれの相続人が取得したものとみなした申告書を期限内にいったん提出し、それに応じた相続税を納めます。
そうすることで期限後申告になることを避け、加算税を避けることができるのです。

これは相続人が別々で申告する場合でも同じことがいえます。
他の相続人が申告をする気がない、申告書の作成に非協力的である場合など共同提出ができる状態でない場合には、自分だけ先に法定相続分で申告してしまいましょう。

後々相続税が確定した場合に、この時におさめた相続税が不足していたとしても、他の相続人が無申告であるのに対して、きちんと期限内申告をしていた相続人は修正申告となり、無申告加算税はかかりません。

3.別々に申告することの問題点

相続税申告は可能な限り共同提出で行うのがベストではあります。別々での提出にはどのような問題があるのか解説します。

3-1.それぞれの申告内容が違う

相続税申告書には、取得する財産額から相続税の計算まで、すべての相続人のことが記載されます。相続人ごとに別々に提出する場合であっても同じで、自分の内容だけではなく他の相続人の内容も記載されます。
自分の申告では納税額100だったとしても、他の相続人の申告書に記載されている自分の納税額は120万円になっているかもしれないのです。

相続税の計算は複雑であり、考え方1つで計算結果が変わっていきます。 同じ相続について10人の税理士が申告書を作成したとすると、10通りの内容の申告書ができるといわれています。
ましてや相続人の中に自分で作成した申告書を提出する人がいた場合には、税理士が作成した申告書とは歴然の差の内容となっているでしょう。
すべての相続人の申告内容が一致することは、まずありません。

よって、相続人ごとに別々の申告書を提出するということは、税務署に1つの相続に対して複数の内容の申告書が届くことになり、各相続人の相続税額が何パターンも存在するということになるのです。
これによって発生する問題点は次項で解説します。

3-2.税務調査が入る

同じ相続に関して何通りもの申告書が届いた税務署は、別々での申告だからですねと黙って受理するわけにはいきません。
1つの相続の中で矛盾が生じている状況なので、税務署は税務調査を行って真実を確認し、申告内容を統一させる必要があります。

3-3.税理士費用の負担が大きくなる

1人の税理士にまとめて依頼できれば1人分で済んだ税理士費用ですが、別々に依頼するとその分税理士費用の総額は膨れ上がっていきます。
別々であっても申告書を作成する負担は全員まとめて行う場合と大差はないので、単純に税理士の人数分増えていくと考えましょう。

例えば5人相続人がいて、1人の税理士に依頼した場合には100万円だった税理士費用も、5人別々の税理士に依頼すると500万円になります。割り勘すれば相続人1人当たりの負担が20万円だったものが、100万円になるのです。

ただ、別々で相続税申告を行うという時点で、相続人同士での協力が難しい状況であるということなので、税理士費用のことまで考えるのは難しいかもしれません。
別々に申告しようとなった場合でも、相続人の中に心が許せる人がいるのであれば、その人とだけでも共同提出すると良いでしょう。

4.申告内容の擦り合わせが重要

相続人が別々で申告した場合には、共同提出の場合より税務調査の確率が格段に上がることが分かりました。というより、税務調査はほぼ入ると思っていた方が良いでしょう。
この税務調査が入る確率を下げるためには、最初から税務調査の目的を解消した状態の申告書を提出することが重要です。

具体的には、申告書を提出する前に税理士同士で申告内容の擦り合わせを行い、別々での申告であっても、最終的な納税額の部分を一致させた申告書を提出します。 そうすることで、1つの相続に対して1つの内容の申告書が複数提出される状態になり、税務署も内容を一致させる必要はなくなります。

ただし、相続人同士の仲がこじれていると、税理士同士ですら会わせたくない、自分の申告内容を知られたくないなどで、擦り合わせを行うことが難しい状況であることが多いです。調停や裁判に進んでいるのであれば尚更です。

擦り合わせが行えなかった場合には、税務調査は覚悟のうえで申告を提出しましょう。税務調査は精神的な負担も大きく、前もっての覚悟があるかないかは意外と重要です。

まとめ

相続税申告は、相続人が別々で行うことは可能です。相続人全員で足並みをそろえる必要はないので安心してください。
とにかく期限内に申告することを最優先にして、他の相続人が協力してくれないのであれば自分だけ先に申告してしまいましょう。相続に詳しい税理士に相談すれば、全力でサポートしてくれます。

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