自動車の相続|財産評価方法から相続の手続きまでを徹底解説!

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自動車は相続財産の定番で、多くの人が相続手続きを経験することになります。

そこで今回は、相続税申告が必要になるかもしれない人向けに自動車の財産評価方法と、自動車を相続する場合には誰にでも関係する各種相続手続きを解説します。 これを読めば、自動車の相続が発生した場合に何をすればよいか分かります。

1.自動車の相続税評価方法

自動車は相続財産として、どのように評価額が決まるのでしょうか。

1-1.自動車は一般動産

自動車には特定の財産評価計算はありません。家具家電などと同様に一般動産として評価されます。

1-2.評価方法

原則

自動車を含めた一般動産の評価は次の金額を参考にして決定します。

  • 売買実例価格
  • 精通者意見価格

売買実例価格とは実際に売買が行われている価格、精通者意見価格とは、その財産について詳しい人が鑑定した価格などのことをいいます。

例外

自動車の年式が古い、限定車種で市場が動いていないなどの理由から、これらの金額が明らかにできない場合もあります。

そのような場合には、新品価格から被相続人が死亡した日までの減価償却費を差し引いた残高を評価額とすることができます。 この減価償却費は、国税庁が定めている耐用年数と定率法で計算します。

車両・運搬具

構造・用途細   目耐用年数
一般用のもの(特殊自動車・次の運送事業用等以外のもの)自動車
(2輪・3輪自動車を除く。)
小型車(総排気量が0.66リットル以下のもの)4
貨物自動車ダンプ式のもの4
その他のもの5
報道通信用のもの5
その他のもの6
2輪・3輪自動車3
自転車2
リヤカー4
運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用のもの自動車
(2輪・3輪自動車を含み、乗合自動車を
除く。)
小型車(貨物自動車にあっては積載量が2トン以下、その他のもにあっては総排気量が2リットル以下のもの)3
大型乗用車(総排気量が3リットル以上のもの)5
その他のもの4
乗合自動車5
自転車、リヤカー2
被けん引車その他のもの4

【出典サイト】耐用年数(車両・運搬具/工具)|国税庁

減価償却資産の償却率表
[耐用年数省令別表第十]

耐用年数(年)平成24年4月1日以後取得
定率法の償却率改定償却率保証率
21.000
30.6671.0000.11089
40.5001.0000.12499
50.4000.5000.10800
60.3330.3340.09911
70.2860.3340.08680
80.2500.3340.07909
90.2220.2500.07126
100.2000.2500.06552

 

1000.0200.0200.00742

【出典】減価償却資産の償却率表[耐用年数省令別表第十]|国税庁 

被相続人が新車で購入した普通乗用車200万円の減価償却費を計算してみましょう。
被相続人の死亡は新車購入時から1年後とします。

普通車の耐用年数を表に当てはめると、「一般用のもの」→「自動車(2輪・3輪自動車を除く。)」→「その他のもの」で6年です。
そして6年の定率法での減価償却率を表で見ると0.333となっています。

2,000,000円×0.333=666,000円(減価償却費)
2,000,000円-666,000円=1,334,000円(相続税評価額)

よって、この自動車の相続税評価額は1,334,000円となります。

1-3.価格の調べ方

自動車の売買実例価格と精通者意見価格は、どうやって調べたら良いのでしょうか。

売買実例価格

市場での買取価格を調べます。今はインターネットで、車種や年式、走行距離など簡単な情報を入力するだけで、その自動車が今いくらで買い取ってもらえるかの査定価格が分かります。

中古車販売店の販売価格やネットオークションでの落札価格を調べる方法もありますが、これらには業者の利益や手数料などが含まれているため、買取価格よりも高くなっているのが通常です。
相続税評価額は少しでも低い方が良いので、買取価格を調べましょう。

精通者意見価格

自動車の精通者意見価格は、実際に車買取業者に自動車を持って行き、買取価格の査定をしてもらった金額などです。
実際にその自動車の状況を見て算出された金額なので、インターネットの査定よりも現実的な金額です。

2.自動車の相続手続き(名義変更)

自動車は家具家電などとは違い、土地建物のように陸運局に名義人登録があります。 相続があり、自動車の名義人が変わる場合には名義変更手続きが必要です。

2-1.所有者の確認

まず自動車の所有者(名義人)が誰であるかを、車検証を見て確認します。車検証の「使用者の氏名又は名称」の欄に書かれている人です。

ここにリース会社や自動車ローン会社(〇〇ファイナンスなど)の名前が書かれている場合には、被相続人が所有している自動車ではないので、相続人は名義変更をする必要はありません。その会社と契約を更新するだけで大丈夫です。

2-2.相続人を決める

相続人が複数いる場合には、話合いなしで自動車を勝手に自分の物にすることはできません。誰がどの遺産を相続するのかをきちんと話し合って決める必要があります。 この話し合いのことを遺産分割協議といいます

2-3.遺産分割協議書を作成

遺産分割協議が無事に終わったら、遺産分割協議書を作成して、それに相続人全員の署名捺印をしましょう。
遺産分割協議書は、遺産分割の内容に相続人全員が合意したということを証明するための書類であり、銀行手続きなど様々な相続手続きに必要となります。

また、遺産分割協議書に記載する遺産の情報は、その遺産が特定できるように細かく情報を記載する必要があります。自動車の場合には次の情報を記載しましょう。

  • 車名
  • 登録番号
  • 車台番号
  • 型式

これらはすべて車検証に記載されています。

遺産分割協議書の存在の重要性は、相続手続きだけではありません。 仮に相続人の誰かが、「やっぱりその自動車は私が欲しい!」と遺産分割協議書の内容と異なることを言い出したとしても、その相続人の署名捺印がある遺産分割協議書があれば、その主張は通らないことを証明することができます。

2-4.必要書類の収集

名義変更手続きに必要な書類は次の通りです。

書類名取得先
自動車検査証車のダッシュボードの中に置いている人が多い
被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本または除籍謄本役場
相続人全員が記載された戸籍謄本役場
新所有者(相続人)の印鑑登録証明書役場
新所有者(相続人)の実印
新所有者(相続人)の車庫証明書(駐車場が変わる場合)警察署
遺産分割協議書※
ナンバープレート(管轄する運輸局が変わる場合)

すべての遺産を記載した遺産分割協議書を作成することができない場合には、以下の陸運局ホームページに簡易的な遺産分割協議書の様式があるので利用しましょう。
自動車の名義変更を行う目的だけであれば、この遺産分割協議書でも十分です。

【様式】自動車:登録手続き – 国土交通省 

また、自動車の査定価格が100万円以下の場合には、遺産分割協議書に代えて次の書類を提出することができます。

  • 遺産分割協議成立申立書
  • 査定価格を証明する書類

遺産分割協議成立申立書の様式は以下の陸運局のホームページから入手することができます。
査定価格を証明する書類とは、査定をしてもらった業者などから貰う査定見積書などです。

【様式】遺産分割協議成立申立書|陸運局

2-5.陸運局で手続き

揃えた必要書類をもって陸運局へ行き、手続きを行います。
陸運局では次の3つの書類の様式を入手し、作成します。

  • 手数料納付書
  • 自動車税、自動車取得税申告書
  • 移転登録申請書

そして手数料分の印紙を購入して手数料納付書に貼り付け、これら書類と持って来た必要書類を窓口に提出し、無事に受理されると新しい車検証が交付されます。

2-6.専門家に依頼すると楽

自動車の名義変更手続きは、司法書士や自動車ディーラーなどの第三者に依頼することも可能です。
このように名義変更する本人以外からの申請の場合には、別途委任状が必要となります。

陸運局は地方都市では県に1つしかないので、場所によっては平日の1日仕事になります。なかなか時間が取れない人などは代行を依頼した方が良いでしょう。代行費用の相場は1~3万円で、司法書士はもっと高額になる可能性があります。

自動車の名義変更だけであれば自動車ディーラー、自動車以外にも土地建物などもある場合には司法書士に一式まとめてお願いすると良いでしょう。

2-7.名義変更手続きは必ず行う

自動車の名義変更手続きは法律で義務化されているわけではないため、被相続人の名義のまま相続人が乗り続けていたとしても、パトカーに止められて罰金を支払わされるということはありません。何の罰則もないのです。
ただし次のようなデメリットがあります。

  • 自動車税の通知が被相続人にいく
  • 任意自動車保険に加入できないことがある
  • 相続人だけで勝手に売却・廃車にできない

3つ目の「相続人だけで勝手に売却・廃車にできない」については、次章に譲るとして、上2つのポイントについて少し説明します。

自動車税の通知が被相続人にいく

自動車税の通知書と納付書は名義人の元へ送付されます。まだその家に誰か住んでいれば受け取ってもらうことは可能ですが、空き家になっている場合には納付書を手に入れることができなくなります。自動車税が未納のままだと、車検が受けられないなどの弊害が起きてしまいます。

任意自動車保険に加入できないことがある

保険会社の中には名義変更していない自動車については、任意保険の加入を断るところもあります。加入できたとしても実際に事故が起きた場合には、名義が違うということで完璧な補償を受けられない可能性もあります。

このように自動車の名義変更をしていないというだけで、これだけ気になることが発生するのです。
確かにそのままでも乗れる自動車に対して手続きを行うことは面倒ではありますが、手続きの代行依頼という選択肢もあります。
せっかく被相続人が遺してくれた自動車なので、名義変更はきちんと行い、気持ち良く乗りましょう。

3.自動車を相続しない場合の手続き

3-1.譲渡・売却する場合

自動車を相続人が相続するのではなく、第三者や相続人以外の親族へあげる場合の手続きです。基本的には2.で解説した名義変更手続きの流れと同じですが、必要書類が少し追加されます。

書類名取得先
自動車検査証車のダッシュボードの中に置いている人が多い
被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本または除籍謄本役場
相続人全員が記載された戸籍謄本役場
代表相続人の印鑑証明書役場
新所有者(貰う人)の印鑑登録証明書役場
新所有者(貰う人)の実印
新所有者(貰う人)の車庫証明書警察署
遺産分割協議書※1
譲渡証明書※2陸運局

※1 遺産分割協議書には、第三者へ譲渡または売却する旨の記載をします。
※2 譲渡証明書の様式は次の陸運局のホームページから入手することができます。【様式】自動車:登録手続き – 国土交通省

3-2.廃車にする場合

廃車にする場合には、もうそのまま買取業者などに持って行けば良いように思いますが、実は廃車の場合にも名義変更は必要となります。 あくまでも被相続人の相続財産なので、相続人の誰かがいったん相続し、その後廃車にしなければなりません。

遺産相続→名義変更→廃車の流れになります。 名義変更手続きは2.と同様です。

4.自動車保険の名義変更

自動車保険は、「契約者」、「記名被保険者」、「車両所有者」に変更があった場合には名義変更手続きが必要です。
契約者とは保険料を支払っている人、記名被保険者とはその自動車に主に乗っている人、車両所有車とは自動車を所有している人(名義人)のことをいいます。

保険会社の名義変更手続きには一律の決まった形はなく、保険会社によって必要な書類などが異なるので、被相続人が死亡した場合には速やかにその事実を保険会社に知らせて、指示に従いましょう。

放置してそのまま乗っていて事故をしてしまった場合、補償が受けられないという事態になりかねません。自動車保険の名義変更手続きは非常に重要です。

まとめ

自動車の財産評価は、一般動産として売買実例価格や精通者意見価格などを参考にして評価額を決めます。

自動車は多くの人が相続するので、市場価格の調べ方や名義変更手続きはある程度パターン化されており、難しいものではありません。とにかく忘れずに、確実に行うことが重要です。

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