相続税の6つの納付方法について徹底解説
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相続税の申告先・納税地はどこでしょうか? この問いに自信を持って答えられる人は意外と少ないかもしれません。
そこで、今回は、相続税の正しい納税地について、いくつかのケースを挙げながら解説していきます。
目次
相続税は、「納税地の税務署に申告して納税」します。申告先と納税地は同じなのです。
では、具体的に、相続税の申告先・納税地はどこになるのでしょうか?
相続税の申告先・納税地は、原則として被相続人の住所地です。
所得税や住民税など、通常は税金を納める人の住所地が納税地となりますので、相続税に関しても税金を納める人である相続人の住所地が納税地だと考えがちです。
しかし、相続税の納税地は税金を納める相続人の住所地ではなく、亡くなった被相続人の住所地を管轄する税務署に申告書を提出し、納税することになります。
なお、紛らわしいですが、贈与税は、他の多くの税金と同様に財産を譲り受けた受贈者、つまり税金を納める人の住所地が納税地となります。
まとめると以下のようになります。
税金 | 納税地 |
---|---|
所得税・住民税 | 納税者の住所地 |
相続税 | 被相続人(亡くなった人)の住所地 |
贈与税 | 納税者の住所地 |
ところで、住所地とはどこを言うのでしょうか? 住民票のある場所でしょうか? では、住民票を移さずに、別の場所で生活をしている人が亡くなった場合でも住民票のある住所地が納税地になるのでしょうか?
相続税法における住所地とは、住民票のある場所がどこであるかにかかわらず、被相続人の生活の本拠がある場所を言います。
生活の本拠とは、生活の中心がある場所のことです。
相続税法においては、この生活の中心がある場所を、住民票のある場所という形式的な基準だけで判断するのではなく、客観的事実に基づいて総合的に判断することになります。
それでは、実際に被相続人の住所地がどのように判断されるのかをケースごとに見ていきましょう。
被相続人が単身赴任中に亡くなった場合の納税地はどこになるのでしょうか?
結論から言うと被相続人の生活の本拠がどこにあったかで判断していきますので、生活の状況によってケースバイケースということになります。
この場合、次のようなポイントを総合的に判断することになります。
これらを総合的に判断した結果、単身赴任先が一時的な滞在地であり、生活の本拠はあくまで単身赴任前の住所と考えることができた場合にはその場所が納税地ということになります。
しかし、この判断は一般の方にはなかなか難しいのが現実でしょう。不安がある場合は税理士などの専門家や税務署に相談した方が良いでしょう。
被相続人が海外赴任中に亡くなった場合であっても、国内の場合と同様に被相続人の生活の本拠がどこにあったかで判断することになります。
では、生活の本拠が海外であると判断される場合には、納税地は海外ということになるのでしょうか? もちろん海外を所轄する税務署はありませんので、この場合は、相続人のそれぞれの住所地が納税地となります。
全相続人の住所地が同じであれば、共同で相続税の申告・納税をすることも可能です。
もし、相続人にも日本に住所地がなければ、納税地を定めて納税地を所轄する税務署に申告しなければなりません。申告がないときは、国税庁長官が納税地を指定し、通知することになります。
ご自宅とは別に別荘をお持ちで、ご自宅と別荘を行き来しながら余生をおくられている方もいらっしゃるでしょう。このような方が亡くなった場合の納税地はご自宅と別荘のどちらになるのでしょうか?
もちろん生活の本拠がどちらにあるかで判断していくことになります。
例えば一年のほとんどを別荘の方で生活されている場合には、ご自宅ではなく、別荘のある場所が納税地ということになります。
病院に入院中に亡くなる方は多いと思います。この場合の納税地は入院前に生活していたご自宅になります。
長期間入院していたような場合であっても一般的にご自宅が納税地となります。
老人ホームは、ご自宅での生活が困難になった場合に、介護サービスを受けながら生活する場所です。また、一時的ではなく、亡くなるまで利用することが一般的です。
したがって、一般的にご自宅は生活の本拠にはなり得ず、生活の本拠は老人ホームにあると判断され、納税地は老人ホームの所在地ということになります。
納税地の判断の仕方についてご理解いただけましたでしょうか? それでは次にその納税地の所轄税務署の探し方について見ていきましょう。
相続税の確定申告書の提出先及び相続税の納付先は、納税地の所轄税務署です。
納税地の所轄税務署は国税庁のウェブサイトにアクセスし、納税地の住所で検索することで簡単に調べることができます。
相続税は、以下のいずれかの方法で納付することが可能です。
ただし、インターネット、コンビニについては納付可能な金額などに制限があるため注意が必要です。詳しくは、以下の関連記事を是非ご一読ください。
相続税の納税地の考え方について、ご理解いただけましたでしょうか。
被相続人の生活の本拠を、客観的事実に基づいて判断しなければなりません。多くの場合、住民票のある場所に住んでおり、迷うことは無いでしょう。
しかし、住民票のある場所とは別の場所でも生活してており、どこが生活の本拠であったか迷う場合には、税理士などの専門家に相談する検討が必要です。