相続税もe-Taxで電子申告が可能、メリットや利用手順
相続税申告はe-Taxで電子申告が可能です。相続税申告のe-Taxのメリットや利用手順を解説します。[続きを読む]
相続税申告書の提出先(申告先)・納税地はどこか、いくつかのケースを挙げながら解説します。
目次
相続税は、「納税地の税務署に申告して納税」します。申告先と納税地は同じなのです。
では、具体的に、相続税の申告先・納税地はどこになるのでしょうか?
相続税申告書の提出先・納税地は、原則として被相続人の住所地です。相続人が複数人おり、相続人が別々に申告する際には、同じ被相続人の住所地に申告することになります。
所得税や住民税などについては、通常、税金を納める人の住所地が納税地となります。ご自分で申告している方は、相続税に関しても税金を納める人である相続人の住所地が納税地だと考えてしまいがちです。
しかし、相続税の申告先、納税地は税金を納める相続人の住所地ではなく、亡くなった被相続人の住所地を管轄する税務署になります。また、被相続人の準確定申告も、被相続人の住所地を管轄する税務署に提出書類を出すことにより行います。
なお、参考までに、紛らわしいですが、贈与税は、他の多くの税金と同様に財産を譲り受けた受贈者、つまり税金を納める人の住所地が納税地となります。
まとめると以下のようになります。
税金 | 納税地 |
---|---|
所得税・住民税 | 納税者の住所地 |
相続税 | 被相続人(亡くなった人)の住所地 |
被相続人の準確定申告 | 被相続人(亡くなった人)の住所地 |
贈与税 | 受贈者の住所地 |
では、住所地とはどこを指すのでしょうか?
相続税法における住所地とは、被相続人の生活の本拠がある場所を言います。
生活の本拠とは、生活の中心がある場所のことです。
相続税法においては、この生活の中心がある場所を、住民票のある場所という形式的な基準だけで判断するのではなく、客観的事実に基づいて総合的に判断することになります。
それでは、実際に相続税の申告先・納税地がどこになるのかをケースごとに考えてみましょう。
最初に、被相続人が単身赴任中に亡くなった場合の納税地です。
このケースでも、被相続人の生活の本拠がどこにあったかによって判断します。したがって、生活の状況によってケースバイケースということになります。
この場合、次のようなポイントを総合的に判断することになります。
これらを総合的に判断した結果、単身赴任先が一時的な滞在地であり、生活の本拠はあくまで単身赴任前の住所と考えることができた場合には単身赴任前の住所が納税地ということになります。
しかし、この判断は一般の方にはなかなか難しいのが現実でしょう。不安がある場合は税理士などの専門家や税務署に相談した方が良いでしょう。
被相続人が海外赴任中に亡くなった場合であっても、国内の場合と同様に被相続人の生活の本拠がどこにあったかで判断することになります。
生活の本拠が日本であれば、日本で生活の本拠があった場所を管轄する税務署が、相続税申告先の提出先・納税地になります。
では、生活の本拠が海外であると判断される場合には、納税地は海外ということになるのでしょうか? 海外を所轄する税務署はありません。
相続人が日本で居住していれば、相続人のそれぞれの住所地が納税地となります。
相続人が複数おり、全相続人の住所地が同じであれば、共同で相続税の申告・納税をすることも可能です。
もし、相続人が海外に居住している場合は、納税地を定めて納税地を所轄する税務署に申告しなければなりません。
万一、申告がなければ、国税庁長官が納税地を指定し、通知することになります。
ご自宅とは別に別荘をお持ちで、ご自宅と別荘を行き来しながら余生をおくられている方もいらっしゃるでしょう。このような方が亡くなった場合の納税地はご自宅と別荘のどちらになるのでしょうか?
この場合にも、生活の本拠がどちらにあるかで判断していくことになります。
例えば一年のほとんどを別荘で暮らしている場合には、ご自宅ではなく、別荘のある場所が納税地ということになります。
病院に入院中に亡くなる方は多いと思います。この場合の納税地は入院前に生活していたご自宅になります。
長期間入院していたようなケースであっても、一般的にご自宅が納税地となります。
老人ホームは、ご自宅での生活が困難になった場合に、介護サービスを受けながら生活する場所です。したがって、老人ホームは、一時的ではなく、亡くなるまで利用することが一般的です。
そのため、一般的にご自宅は生活の本拠にはなり得ず、生活の本拠は老人ホームにあると判断され、納税地は老人ホームの所在地ということになります。
相続税申告書の提出先、および、相続税の納付先は、納税地の所轄税務署です。
納税地の所轄税務署は次の国税庁のウェブサイトにアクセスし、納税地の住所や、管轄国税局と都道府県の一覧表から簡単に検索することができます。
管轄税務署がわかったら、相続税の申告書を提出します。
相続税申告書の提出方法には、次の3つがあります。
被相続人の住所地の管轄税務署に直接持参するのが、一番確実な方法でしょう。
税務署には、申告の申請窓口があるのが一般的で、申告書の正本・控えを提出し、控えに受領印を押してもらいます。受領印の日付が申告の日付となります。
受領印は、確実にもらうようにしましょう。
相続人が被相続人の住所地から遠方に居住しているなど、管轄税務署に持参するのが難しい場合には、申告書を郵送することも可能です。
この際に、気を付けるべきは、次の2点です。
通信日付印とは、郵便局が郵便物を引き受けたことを証明するために押されるもので、この通信日付印の日に、申告書が提出されたとみなされます。
【参考外部サイト】【申告書の提出】|国税庁
相続税は、e-Taxで電子申告することも可能になりました。相続税の申告書の送信先は、書類による提出と同様に、被相続人の住所地を管轄する税務署となります。送信に際しては、マイナンバーカードなどの電子証明書が必要になります。
e-Taxは、相続人が遠方に住んでいる場合などにはメリットが大きい反面、相続税申告ソフトのような自動計算機能や連動機能がついていないため、e-Taxで相続税申告書自体を作成することは難しいといったデメリットも多く、慎重に検討する必要があります。
詳しくは、以下の記事をご参照ください。
相続税は、以下のいずれかの方法で納付することが可能です。
ただし、インターネット、コンビニについては納付可能な金額などに制限があるため注意が必要です。詳しくは、以下の関連記事を是非ご一読ください。
相続税の納税地の考え方や、申告方法、納税方法について、ご説明いたしました。
相続税を納税する管轄税務署は、被相続人の生活の本拠を、客観的事実に基づいて判断しなければなりません。多くの場合、住民票のある場所に住んでおり、迷うことは少ないでしょう。
しかし、どこが生活の本拠であったか迷う場合には、税理士などの専門家に相談することも検討しましょう。