死亡退職金に課税される相続税について詳しく解説!
死亡退職金は、いざ受け取るとなると税金がかかるのか、かかるとしたらどんな税金なのか迷ってしまいませんか?死亡退職金は…[続きを読む]
不幸にして、会社の在籍中にお亡くなりになると、会社から「死亡退職金」を受け取ることが多くあります。 死亡退職金と同じように、会社から遺族に、故人を弔うために「弔慰金」というものが渡されることがあります。
その弔慰金は相続税法上、どのような扱いをされるのかをご存知でしょうか? 今回は、弔慰金と相続税の関係について、具体例とともに詳しく解説していきます。
弔慰金と聞いても、あまりなじみがなく、ピンとこない方も大勢いると思います。 ここでは、弔慰金とはどういうものかを見ていきます。
多くの会社では「慶弔金」という制度を設けられています。慶弔金とは、結婚のようなお祝い事やお亡くなりになったようなご不幸事があった時に支払われるお金のことです。 その中で、お亡くなりになった時に支払われるのが弔慰金(死亡弔慰金)です。
弔慰金は、お亡くなりになった人の労をねぎらい、その遺族の生活の支えとなるようにお見舞いとして送るお金のことです。一般的には、個人が渡すものではなく、会社などが支払うような多額のお金を指します。
そのため、今回は、会社から受け取る弔慰金を中心に説明します。
弔慰金は上記で説明した通り、「亡くなった人への功労または遺族へのお見舞い」として支払われます。
一方で、死亡退職金は、死亡した社員がもともと受け取るはずだった退職金の位置づけです。死亡退職金は、本来受取る権利があった亡くなった社員のかわりに、遺族へ支給されます。
どちらも、社員が亡くなった時に遺族が受け取るお金という観点では同じですが、上記のように、そもそも異なったものですので、税金上の取扱いが違ってきます。 税金については、後段で説明します。
被相続人の遺産ではなく、弔慰金を受取った相続人固有の財産となりますので、相続放棄しても、その弔慰金は受け取れます。
弔慰金は原則、相続税の対象とはなりません。
しかし、会社等から支払われた金銭が、実質上の退職所得(死亡退職金)に該当されると認めれられた場合は、全額、死亡退職金に加算されます。
【参考】国税庁HP 弔慰金名目での支給がある場合の「退職手当金等受給者別支払調書」の提出義務
実質的に死亡退職金に該当しない場合は、次の金額が控除されて、その金額を超える部分だけ死亡退職金に加算されます。
被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額
例)月給30万円の人が死亡した場合
非課税額=30万円×36ヶ月=1,080万円
被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額
例)月給30万円の人が死亡した場合
非課税額=30万円×6ヶ月=180万円
なお、普通給与とは、俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当などの合計額をいいます。
また、雇用主以外(例えば、以前に勤めていた会社など)から多額の弔慰金をもらった場合は、相続税の対象とはならず、遺族の一時所得などとなり、所得税等の対象となる場合もあります。 このよう場合は、税務署や税理士にご相談ください。
弔慰金の非課税枠を超えた部分は、死亡退職金に加算されて、相続税の対象になります。それでは、以下の計算例を見ていきましょう。
【例】最終月給:30万円、弔慰金:1,000万円
弔慰金の非課税枠=普通給与×3年分
30万円×36か月=1080万円弔慰金-弔慰金の非課税枠=死亡退職金への加算額
1000万円-1080万円=0円
この場合は、支払われた弔慰金は非課税枠内なので、死亡退職金への加算はありません。
上記の例で、業務上の死亡ではないときの計算をすると
①弔慰金の非課税枠=普通給与×6か月
30万円×6ヶ月=180万円②弔慰金−弔慰金の非課税枠=死亡退職金への加算額
1,000万円-180万円=820万円
したがって、死亡退職金として820万円を加算します。
今回は、弔慰金について見てきました。
通常、弔慰金は相続税の対象なりません。 しかし、 弔慰金の金額が大きい場合や、受け取った状況によっては、 弔慰金も相続税が課される場合があります。 弔慰金については、相続税対象かどうかの判断を行い、相続税対象の場合は、相続税申告に含めることを忘れないよう にしましょう。
相続税申告を税理士に依頼する場合は税理士に任せればいいのですが、ご自分で相続税申告を行う方で、弔慰金の扱いに不安がある方は、税務署の相談窓口を利用するのも一案です。