贈与税の時効は6年!本当にばれずに済むのか?

★ お気に入りに追加
贈与税 時効

相続税もそうですが、家族に財産を渡す(贈与する)のに、どうして税金がかかるのか、不満を持っている方も多いと思います。

できれば税金を払いたくないと思うのは当然のことと思います。それでは、贈与税を納めないでいるとどうなるのでしょうか?贈与税には時効がありますが、贈与税を納めないでいると、無事に時効をむかえることができるのでしょうか?

今回は、贈与税の時効について見ていきます。

1.贈与税の時効は6年、故意であったら7年

1-1. 贈与税の基本

贈与とは

贈与とは契約の一種で、「自分の財産を、相手方に無償で贈る」という意思表示をして、相手方がこれを承諾することによって成立します。

この贈与の契約は、文書(契約書)がなくても、口頭でも成立します。ただし、後々、税務署などから脱税の疑いをかけられた時の証拠として、「贈与契約書」を残しておく方が無難です。

贈与税とは

贈与税とは、贈与によって財産を取得した人に課せられる税金です。

つまり、贈与税は、個人から財産を無償でもらった場合に、もらった人にかかる税金です。

関連記事
相続税と贈与税の税率構造
相続税・贈与税の税率、速算表
この記事では、相続税・贈与税の税率、速算表について解説いたします。自動計算ツールも載せておりますので、参考にしてくだ…

1-2. 贈与税の時効

税金の時効は原則5年ですが、贈与税の時効は、贈与が行われた年の翌年3月16日から原則6年間です。

ただし、原則は6年間ですが、意図的に贈与税を申告しなかった場合、つまり、脱税しようとしたと認定された場合には時効は7年になります。

今回のテーマの贈与税を逃れようと申告しなかった場合は、7年間となります。

1-3. 贈与税の時効はめったに適用されない?

結論から言いますと、贈与税の時効は困難です。下記に順を追って説明します。

税務署は贈与を把握できるの?

贈与を行ったことが、直ちに税務署に知られてしまうことはありません。

税務署は強い調査権限を持っていますが、贈与単独で、税務調査が行われることはほとんどありません。その為、現預金の贈与に関しては、「贈与しても申告しなければ分からないので、時効で消滅する」と考えるかもしれません。しかし、残念ながら、ばれてしまうケースがほとんどです。

それでは、なぜ、贈与がばれてしまうのでしょうか?

贈与単独での税務調査はほとんどありませんが、次のケースで調査が実施され、贈与が発覚する場合が非常に多くあるからです。

①相続時の調査

贈与した人が亡くなったことで相続税の調査が行われて、過去にさかのぼって預金口座の入出金も調査されます。被相続人だけでなく相続人についても調査されますので、多額の入出金や残高があると贈与が疑われます。

②不動産の取得

受贈者は不動産の所有権移転登記をしますので、このタイミングで調査が実施されます。また、贈与された資金で不動産を購入する場合は、不動産取得のために多額の資金が動くので、この資金をどうやって用意したか調査されます。

相続財産のほとんどが、「現預金」と「不動産」であることを考えると、相続時および不動産取得時(登記時)に調査されると、ほとんどの場合がばれてしまうことになります。

現預金の不正発覚事例

ここでは、現預金の贈与について、不正が発覚してしまう事例をご紹介します。

①暦年贈与

例えば、自分の子の通帳に、毎年110万ずつ贈与の形でお金を振り込んでいたとします。しかし、振り込んだ本人が、子の通帳を管理していると、贈与したことになりません

このような預金通帳の名義人と、実質的な管理者が異なる預金のことを「名義預金」といいます。「名義預金」の場合は、贈与自体が行われておらず、振り込んだ本人の財産としてみなされ、相続財産になってしまいます。

結果的には、この場合は贈与とみなされないため、贈与の時効が成立しません。

②多額の贈与

夫から専業主婦の妻へ2,000万円の贈与をした場合を見ていきます。

この場合は、夫がお亡くなりになり、相続税申告のタイミングで、働いていなかった妻に2,000万円の預金があるのはおかしいと考えられ、税務調査が入ります。贈与税の時効は、客観的な証拠等がない限り、なかなか成立しません

この場合も、夫が妻の口座を借りて「名義預金」をしたと判断されて、この2,000万円は夫の財産となり、相続税の対象となってしまう可能性が大です。

結果として、贈与税の時効が過ぎていても贈与とみなされないため、贈与の時効が成立しません。

不動産の不正発覚例

ここでは、不動産の贈与について、かなり悪質な不正の事例をご紹介します。

不動産の贈与を行う場合に、

  1. 贈与契約書を作成しただけで、所有権移転登記をせずに”7年間”待つ
  2. 贈与税の時効となる7年経過後、所有権移転登記を行う
    (この登記のタイミングで税務署は把握することになる)

という事を行った場合、贈与税の時効は成立するのでしょうか?

「1.贈与契約書を作成した時」を贈与の時点とすれば時効が成立しますが、「2.所有権移転登記をした時」を贈与の時点とすると、時効は成立しません。

この件については、名古屋高等裁判所で争われたことがあり、判決では、「所有権移転登記をした時が贈与があった時」であるされました。結果的には、この贈与の時効の成立を認めませんでした。

登記がされていないという事は、受贈者が不動産を自由に活用し収益を得たり、売却したりすることができないからというのがその理由です。

2.贈与税のペナルティ

贈与税は、様々な税金の中でも税率が高くなっています。相続税よりも税率が高く、贈与税の申告漏れが判明した場合は、もともと高い贈与税に加算して、「無申告課税」「重加算税」「延滞税」といった追徴課税が課されることになります。

関連記事
隠す 悪い
贈与税を申告しなかったらばれるのか?
110万円を超える贈与を受けると、贈与税が発生します。 ただ、贈与税は自ら申告して納税するものであり、税務署に知らせ…

2-1.無申告課税

贈与税の申告をしていなかった場合は、「無申告加算税」が課されます。

税務調査を受けてから申告した場合は、税率は15%または20%となります。

2-2.重加算税

贈与税の課税を免れるために財産を隠していた場合は、無申告加算税に代えて重加算税が課されます。

財産を隠して贈与税を申告していなかった場合の重加算税の税率は40%です

2-3.延滞税

無申告加算税や重加算税だけでなく、申告期限から納税日までの期間に応じて延滞税も課されます。

延滞税率は次の通りです。

  • 申告書の提出日の翌日から2か月以内
    年「7.3%」と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合
  • 申告書の提出日の翌日から2か月以後
    年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合

ちなみに、相続税の税務調査は、平成27年12,576件調査実施、このうち申告漏れ等の件数は10,521件で、約85%で不正が発見されています。

【参照】国税庁HP 平成29事務年度における相続税の調査の状況について

以上のことより、贈与税の時効を狙って贈与をすることは脱税行為で、また、見つかってしまう確率が非常に高いものです。

贈与税の時効を待つのではなく、贈与税が発生しないように、あるいは、税金が軽減されるように、贈与税や相続税の非課税特例などを上手く利用して節税する事を検討しましょう。

3.まとめ

今回は、贈与税の時効について見てきました。

結果的には、贈与税を納めていないとかなりの確率で見つかり、重い追徴課税というペナルティを支払うことになります。贈与にはいくつかの特例が設けられています。これらの特例を活用して、効率よく贈与することを検討しましょう。

上記特例を検討した結果、それでも贈与として課税対象になる部分については、規則通り納税するのが無難です。

贈与については相続と一対で検討したほうが良い場合が数多くありますので、贈与税や相続税の節税の検討については、まずは、経験豊富な税理士に相談することをお勧めします。

相続税に強い税理士が問題を解決いたします

相続税申告は税理士によって力量の差がはっきりと現れます。
相続税について、下記のような不安・課題を抱えている方は、相続税に強い税理士にご相談ください。

  1. 相続税をなるべく安くしたい
  2. 税務調査が怖い
  3. 評価が難しい土地がある
  4. 相続関連のいろいろな手続きが面倒で困っている
  5. 生前対策をしたいが、何をしたら良いかわからない

相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、税理士はあなたの味方になりますので、まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

この記事が役に立ったらシェアしてください!