こんな場合でも発生するの?みなし贈与にご注意を

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相続税 みなし贈与

贈与とは、財産をあげる側が「無償で財産をあげます」と意思表示し、財産をもらう側が承諾して成り立つ契約です。贈与契約に付随して発生するのが贈与税です。

贈与税は、財産をもらう側に課税される税金ですが、本人が財産をもらった事に気付かずに贈与税が課税されている場合があります。これをみなし贈与と言います。中には、みなし贈与として贈与税が課税されていることに長期間気付かず、延滞税や加算税が課されるケースもあります。

今回は、みなし贈与に該当する取引とその対策をご紹介します。

1.みなし贈与とは?

1-1.みなし贈与

通常の贈与は、「あげます」「いただきます」というように双方の合意により成立する契約です。これを本来の贈与と言います。

一方、みなし贈与は、本来の贈与の他に定義されている贈与で、贈与とみなされる取引のことを言います。本来の贈与のように双方の合意がなくても、実質的に贈与を受けた場合と同様の経済的利益を得た場合は、贈与があったものとみなし、贈与税の課税が発生します。

1-2.贈与税は税率が高い

みなし贈与に該当すると、贈与税が課税されます。

贈与税は相続税の補完税と言われており、生前に多くの財産を贈与することにより贈与税の課税を免れないように贈与税の税率は相続税より高く設定されています。

1-3.贈与税の税率と計算

贈与税の税率

贈与税の税率は、平成27年より「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されています。

一般贈与財産の税率は、特例贈与財産用に該当しない場合の贈与税の計算に使用されます。例えば、夫婦間の贈与や兄弟間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用される税率です。

特例贈与財産の税率は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)へ贈与する場合の贈与税の計算に使用される税率です。

贈与税の計算

贈与税の計算方法は、まずその年に贈与によりもらった財産の価額を合計します。その合計額から基礎控除額110万円を差引き、上記の税率を乗じ、控除額をマイナスした金額が贈与税の額になります。計算式にすると次のとおりです。

(財産贈与価額-基礎控除110万円)×税率-控除額=贈与税額

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

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2.みなし贈与になってしまうケース

贈与税の税率を見て頂いた通り、贈与税の税率はとても高いです。

最高税率55%となり贈与した金額の半分以上の税金が発生します。そのため、みなし贈与になってしまうと思わぬ税負担が発生することになります。ここでは日常的に発生するおそれがある、みなし贈与をご紹介します。

2-1.市場より安く譲渡した場合(低額譲渡)

個人から個人へ市場価格より著しく安い金額で譲渡を行った場合、その財産の時価と譲渡価額の差額については譲渡人から譲受人へ贈与があったとみなされます。

例をあげれば、親が子に時価1億円の土地を3,000万円で売却した場合、土地の時価1億円と実際の譲渡価額3,000万円の差額7,000万円について親が子に贈与したものとみなされみなし贈与の対象になります。この場合の贈与税負担額は、次の計算式によって求められます。

特例贈与財産用として計算

(みなし贈与額7,000万円-基礎控除110万円)×55%-640万円=31,495,000円

上記のような低額譲渡によりみなし贈与になると多額の贈与税が課税されてしまいます。所得税法では、著しく低い価額を譲渡資産の時価の2分の1に満たない額と定められています。

しかし、相続税法では明確な基準は定められていません。昔は所得税法と同様の規定でしたが、この判定基準は廃止されており、現在は「著しく低い価額」は「個別に」、「社会通念上」、「合理的」に判定されるべきだと解釈されています。

この判定は専門家でないと難しいため、親子間で不動産の売買を行う際は、税理士などの専門家に相談しながらみなし贈与にならない譲渡価額で取引を行うことをおすすめします。

2-2.保険料の負担を行わずに取得した受取保険金

保険料の負担を行っていないが、「保険受取人」となっている場合、受け取った保険金はみなし贈与に該当します。

よく起こり得るケースは、親が保険契約者となり保険料の支払いを行い、満期金の受取人を子にしている場合です。この場合、満期金の全てが親から子へのみなし贈与として取扱われ、贈与税の課税対象になります。

同様の保険契約で、死亡給付金を受け取る場合は、みなし贈与ではなくみなし相続として相続税の課税対象になります。死亡保険金がみなし相続になる場合は、死亡保険金の非課税枠を利用できるため、みなし贈与より負担が少なくなるケースが多いです。

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2-3.借金を免除してもらった場合

借金を免除してもらった場合、免除してもらった金額(債務免除益)はみなし贈与となり贈与税が課税されます

このケースは、身内同士で起こる場合が多くあります。例えば、親がお金を子に貸している場合で、親がその借金を免除した場合は子に債務免除益が発生しみなし贈与になります。また、子が金融機関等から借金をしており、親がその借金を肩代わりした場合は子に債務免除益が発生するため、肩代わりした金額にみなし贈与として課税されます。

ただし、子が資力を喪失して借金の返済が著しく困難であることが明らかな場合は、みなし贈与であっても贈与税が課税されません。親族間に借金問題がある場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

2-4.夫婦で不動産を共有名義にする場合

自宅などの不動産を夫婦の共有名義で登記する場合、夫婦の住宅ローンの返済割合と不動産の持分割合が異なる場合は、その差額についてみなし贈与が発生します。

例えば、不動産の共有持分を夫婦で50%ずつにしており、かつ住宅ローンは夫が全て負担している場合は、年間の住宅ローンの返済額の50%が夫から妻へのみなし贈与とみなされ、贈与税が課税されます。不動産の共有持分を決めるときは、住宅ローンの返済割合を考慮して決めておかないと後にみなし贈与により贈与税の負担が発生するおそれがあります。

3.みなし贈与にならないための対策は?

気付かない間にみなし贈与になってしまい多額の贈与税の支払いが生じるケースは少なくありません。みなし贈与にならないためには、事前の準備や対策をすることが重要です。

ここでは、みなし贈与にならないための対策法をご紹介します。

3-1.贈与税の非課税枠(基礎控除)を利用する

贈与税には、非課税枠(基礎控除)が年間110万円あります。この110万円を有効に活用することで、みなし贈与対策が可能です。

例えば、親が契約者で受取人が子の生命保険契約の場合、年間の保険料相当額(110万円未満)の現金を親から子に贈与し、子はその現金を原資として保険料の支払いをすることでみなし贈与を回避することができると考えられます。

ただし、このスキームには実態が無ければなりませんので、親と子の間での贈与契約書、子の通帳に現金を実際に振込、子の通帳より保険料が引き落とされていることなど、客観的に事実を証明できる書類が必要になります。

3-2.特例を利用する

また、贈与税の特例を上手に利用することでみなし贈与の対策をすることができます。

相続時精算課税の特例

相続時精算課税の特例の適用を受けると親や祖父母から贈与された財産の価額が、2500万円まで贈与税が非課税になります。ただし、贈与税は非課税になりますが、相続時には相続時精算課税の特例を利用して贈与されたものは、本来の相続財産に加算して相続税が課税されることになります。

今後、時価が上昇すると思われるものを相続時精算課税により事前に贈与しておくと節税になる場合があります。相続時精算課税の特例は、相続に関係する特例なので税理士などの専門家と相談して慎重に検討する必要があります。

その他の特例

他にも、以下の特例があります。上手に特例を利用することで財産を相続人に合法的に移転することができ、みなし贈与や将来に発生する相続税の対策をすることができます。

  • 住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例
  • 教育資金の一括贈与の特例
  • 夫婦間の贈与の特例
  • 結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税の特例

3-2.税理士に相談する

親族間の取引や借金問題、自宅の購入、子を受取人にする生命保険の加入など、みなし贈与に該当する可能性がある取引を行う際は、税の専門家である税理士に相談しましょう。

経験豊富な税理士であれば、その取引のみでなく今後起こりえる問題を予測して最良の選択を考えてくれます。少しでも「みなし贈与になるかも」と思った場合は、税理士に相談することをおすすめします。

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まとめ

今回は、みなし贈与についてご紹介しました。

みなし贈与という言葉はあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、家族間での取引でよく発生します。気付かない間に発生し、多額の贈与税の支払いが生じてしまうケースがあります。みなし贈与になるような取引に心当たりがある場合や、今後みなし贈与になる可能性がある取引を行おうと考えている人は、一度税理士に相談することを強くおすすめします。

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相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、税理士はあなたの味方になりますので、まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

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