離婚した際の財産分与に贈与税はかかるのか?

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厚生労働省の「人口動態統計の年間推計」によれば、令和元年の離婚件数は21万組、離婚率は人口1000人あたり1.70と推計されています。

離婚の場合、やはり気になるのが、次のようなことではないでしょうか。

  • 離婚時の財産分与でどれくらいもらえるのか
  • 財産分与でもらった財産に税金はかかかるのか

そこで、今回は、離婚したときの財産分与、および財産分与に伴う贈与税について解説します。

1.離婚時の財産分与

1-1.離婚時の財産分与とは

離婚時の財産分与には、大きく分けて次の3つの種類があります。

  • 清算的財産分与
  • 扶養的財産分与
  • 慰謝料的財産分与

以上3つの財産分与のうち、もっとも一般的なのが清算的財産分与です。

そこで、今回は、夫婦が婚姻期間中に形成した共有財産のを分け合って清算する「清算的財産分与」について見ていきます。

1-2.清算的財産分与とは

清算的財産分与の対象となる財産が、共有財産です。法律では、夫婦が婚姻期間中に築いた財産(共有財産)は夫婦二人で分与するということが定義されています。

「離婚原因が夫にあるのか妻にあるのか」に関係なく、婚姻期間中に築いた財産は夫婦の共有財産と考え、夫婦2人で分与します。このように、共有財産を2人で分けて清算することを、「清算的財産分与」と言います。

仮に、専業主婦で収入がなかったとしても、その財産の名義が夫/妻のどちらであっても、婚姻期間中に築いた財産は共有財産となり、財産分与の対象になります。

ちなみに、清算的財産分与では、離婚原因を作った側からも財産分与の請求が認められていますので、注意が必要です。

1-3.共有財産とは

夫婦の財産には、財産分与の対象となる財産(共有財産)と、財産分与の対象にならない財産(特有財産)があります。

まずここでは、財産分与の対象となる共有財産について見ていきます。

共有財産とは、婚姻期間中に夫婦で協力して築いてきた財産のことです。婚姻期間中に取得した財産であれば、どちらか一方の収入だけで購入したとしても、また、名義がどちらか一方となっていても、共有財産となります。

共有財産には、次のようなものがあります。

  • 預貯金
  • 不動産(土地、建物)
  • 有価証券(株券など)、投資信託
  • 生命保険
  • 会員権(ゴルフなど)
  • 生活必需品(車、家具など)
  • 高額な骨董品、美術品などの財産
  • 退職金
  • 年金
  • 夫婦の生活を維持するための借金やローン(マイナス財産)

では、離婚しても財産分与の対象とはならない財産には、どのようなものがあるのでしょうか?

1-4.特有財産とは

財産分与の対象にならない財産は、特有財産と呼ばれています。

離婚の財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に夫婦で協力して築いてきた財産です。婚姻前に既に持っていた財産や、婚姻期間中であっても親族からの相続や贈与などによって得た財産は、夫婦で協力して築いてきた財産ではないため、財産分与の対象になりません。

特有財産には、次のようなものがあります。

  • 相続や贈与で取得した財産
  • 結婚前にそれぞれが所有していた財産
  • その他、夫婦の協力で築いていない財産
  • 収入や生活レベルと比べて明らかに高額な個人的な買い物や浪費のための借金、ギャンブルのための借金(マイナス財産)

1-5.離婚時の財産分与に贈与税はかかるのか?

基本的には、離婚時の財産分与に贈与税はかかりません。財産分与された財産は、相手側から贈与を受けたのではなく、夫婦で協力して築いてきた財産を分割(分与)したにすぎないからです。

その財産分与が、贈与とみなされることがあり、その場合は、財産分与を受けた側が贈与税を支払う必要があります。贈与時が課税されるケースについては、次項で説明します。

2.贈与税の対象になる財産分与

離婚時の財産分与でも、次の場合には贈与税がかかります。

  • 財産分与の額が高額すぎる場合
  • 租税回避(脱税)が目的である場合

これより、これらのケースについて見ていきます。

2-1.財産分与の額が高額すぎる場合

分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額や、その他すべての事情を考慮してもなお多すぎる場合には、そのすぎる部分に贈与税がかかることになります

どれくらいの額になると多すぎるのかという明確な基準はありません。個々の事情に応じてケースバイケースで判断されます。

この場合、妥当な分与額に変更して贈与税を回避する手段もありますが、そもそも財産分与でなるべく多くの財産を得たいわけですので、過多な部分の贈与税を支払ってでも十分すぎる分与額を得るのが通常だと思います。

2-2.租税回避が目的である場合

贈与税や相続税を免れるために離婚(偽装離婚)したと認められた場合は、それよってもらった財産すべてに贈与税がかかります

これは、全ての離婚に対して財産分与を非課税としてしまうと、同じ人と結婚/離婚を繰り返す事により、贈与税や相続税を払わずに資産を移動することができてしまうからです。

3.この場合は、贈与税はかかる?

上記「3. 贈与税の対象になる財産分与」で、贈与税がかかるケースを解説してきました。

ここでは、上記のケース以外で、贈与税の課税の判断が微妙なケースについて見ていきます。

3-1.離婚成立前に住宅の名義を変更する場合

離婚成立前ということは婚姻中ですので、婚姻中に財産を移転すると、財産分与とはならずに、贈与となってしまい贈与税がかかります。

親子間や夫婦間の贈与では贈与税の軽減措置はありますが、「贈与」と「財産分与」とは根本的に考え方が異なります。

離婚による財産分与として不動産を譲渡する場合は、離婚届を提出して正式に離婚した後に、不動産の名義を変更する必要があります。

3-2.離婚後に住宅の名義を変更する場合

ローン返済中

住宅、および住宅ローンも財産分与に含まれますので、贈与税はかかりません。離婚時に、財産分与として住宅の名義を変更しても、贈与税はかかりません。

また、離婚後、住宅ローンを相手が払い続ける場合についても、住宅ローンを財産分与に含めておけば、離婚後も払い続けてもらう住宅ローン分についても、贈与税はかかりません。

なお、後のもめ事を起こさないためにも、住宅ローンがある場合は、住宅ローンの取り扱いについても公正証書、もしくは覚書に記載しておく事をお勧めします。

ローン返済済み

住宅は財産分与に含まれますので、財産分与として住宅の名義を変更しても贈与税はかかりません。

住宅ローン返済済みの場合はマイナス財産ありませんので、考慮する点はなく、財産分与として名義変更すれば良いです。

3-3.離婚後、かなりの時間がたってから慰謝料を払った場合

基本的に、慰謝料とは、肉体的な苦痛や精神的な苦痛に対して支払われる賠償金です。

その為、原則として、慰謝料には贈与税はかかりません。

ちなみに、離婚に伴う慰謝料の時効は3年ですので、原則、離婚後3年を過ぎてしまえば、慰謝料を要求できません。しかし、時効が完成した後でも、こちらが要求した慰謝料請求に対して慰謝料を支払う意思を示した場合は、その時点で時効が過ぎていた事実は無効になり、慰謝料を受取ることができます。原則、贈与税もかかりません。

また、財産分与の時効は、離婚後2年です。慰謝料と時効の時期が違いますので、注意が必要です。

3-4.子や親族などの第三者に対して財産を渡した場合

財産分与は夫婦間だけに適用されます。

夫婦間ではなく、子や親族などの第三者に財産を渡した場合は、贈与となり贈与税がかかります

夫婦の共有財産を分けて清算することが財産分与ですので、財産分与は夫婦間で行うしか方法がありません。仮に、子や親族などに財産を移したい場合は、財産分与を行った後、贈与税の特例を有効活用して贈与により遺産を移しましょう。

4.離婚に伴う財産分与の注意点

4-1.金銭以外での財産分与

これまで見たように、財産分与を受ける側の財産分与には贈与税はかかりません。

一方で、財産を渡す側に所得税がかかる可能性がありますので、注意が必要です。財産分与として不動産や有価証券(株券等)などを渡す場合、財産を渡す側に「譲渡所得」が課税されることがあります。

財産を贈与した際に、譲渡益があった場合は、その譲渡益に対して譲渡所得がかかります。

4-2.不動産現物での財産分与

財産分与として不動産を分与する場合、次のことが分かりました。

  • 贈与税はかからない(受取る側)
  • 場合によっては、譲渡所得税がかかる(渡す側)

しかし、不動産を分与する場合は、追加で、受取り側に次の税金がかかりますので、注意が必要です。

  • 登録免許税
  • 固定資産税・都市計画税

不動産を取得した場合にかかる「不動産取得税」については、通常の財産分与ではかかりませんが、慰謝料として受け取った場合は課税されますので、この点にも注意が必要です。

5.まとめ

離婚を考えている人にとっては、離婚後の生活設計を考える上で、財産分与でどのくらい財産を受けられるのかは重要な問題です。

まずは、財産分与の対象となる財産を「見える化」することが大事です。一言で「見える化」と言っても、不動産を始めとして評価が難しい場合があります。分与対象なのかどうかの判断が難しい場合もあります。

税理士などの専門家にご相談することで、離婚に伴う財産分与を公平に、かつスムーズに行えます。また、合法的に贈与税や相続税の特例を有効活用することにより効率的に資産を移行することもできます。

ご自身で行って難しいと思う場合は、専門家に相談することをお勧めします。

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