相続税のフリーソフトや有料ソフトでホントに相続税申告はできる?

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平成27年の税制改正により相続税の基礎控除額が引き下げられ、今まで相続税申告が必要ではなかった人に申告義務が発生しました。そのため、相続税申告書の提出件数が約2倍に増加し、「相続税申告が必要だけど、税理士に依頼するコストを抑えたい」という方が増加しています。

そこで、ここでは、自分で相続税申告書の作成が可能な相続税申告ソフトや、相続税申告にはソフトと税理士のどちらがいいのかについてご説明します。

1.相続税申告ソフトを使うメリット

相続税申告を自分で行う場合に、相続税申告ソフトは大きな助けになります。相続税ソフトを利用するメリットを見ていきましょう。

1-1.メリット➀ 計算間違いがない

相続税申告書は、所得税の確定申告書などの国税の申告書と異なり作成が極めて難しく作られています。

申告書は全15表で作成されていますが、特例の適用を受ける場合に利用する申告書を合わせると50種類以上になり、相続税申告の経験がない人にとっては簡単に申告書を作成することはできません。相続税申告ソフトを利用しない場合は、税理士であっても相続税申告書作成に苦戦するほどです。

相続税申告ソフトでは、相続人や相続財産・債務などの相続税申告に必要な情報の入力を行うことで自動的に相続税申告書が作成されます。各帳票間で連動が行われるため、計算間違いや相続税率を間違うことはありません。

1-2.メリット② 相続税申告書以外も連動できる機能がある

主に有料の相続税申告ソフトに含まれている機能に「相続関係図作成機能」「財産評価計算機能」や「遺産分割協議書作成機能」などがあります。

相続税の申告では、相続税申告書だけではなく関係書類を添付しなければなりませんが、有料の相続税申告ソフトの中にはこれらの関係書類を作成する機能がついており、相続税申告書と連動するソフトがあります。

例えば、相続関係図作成機能では相続人情報を入力することで相続関係図を作成し、相続税申告書と遺産分割協議書に連動します。

財産評価計算書機能は、こちらも作成が難しい「土地の評価明細書」を作成し、相続税申告書と連動することができます。

遺産分割協議書作成機能では「どの相続人がどの財産債務を相続するのか」を入力すると、その内容を遺産分割協議書に連動します。遺産分割協議書は、相続税申告にも必要になりますが、相続後の不動産の名義変更や預金の名義変更などに必要になる重要な書類です。

1-3.メリット③ やり直しが簡単

相続税申告書は各帳票が他の帳票と連動しているため、1つ修正すると連動している帳票をいくつも修正する必要があり、手書きで申告書を作成している場合には修正に多くの時間を費やしてしまいます。

相続税申告ソフトを利用している場合は、1つ修正すると他の帳票も連動して修正されるため、もし財産評価が間違えていた場合でもやり直しが簡単にできます。

1-4.メリット④ 相続税額のシミュレーションが容易

相続税申告では、相続財産の総額が同じでも、どの相続人がどの財産を相続するかによって相続税額が変わります。

また、被相続人(亡くなった方)に配偶者がいる場合は、配偶者控除により大きく相続税額を抑えることができます。

相続税申告ソフトはやり直しすることが簡単なため、遺産分割方法を変更することにより相続税額がどのくらいになるのか容易にシミュレーションすることが可能です。

2.相続税申告ソフトの比較

相続税申告ソフトには、無料ソフト・有料ソフトがそれぞれリリースされており、独自の特徴があります。いくつかご紹介します。

2-1.有料の相続税申告ソフト(サービス)

「相続税の達人」

NTTデータの「相続税の達人」は、被相続人・相続人の基本情報を入力し、相続財産の評価額と相続人の取得割合を入力することで相続税申告書が完成するように設計されています。

相続財産については、同社が提供する別のパッケージ「財産評価の達人」を購入することにより、「財産評価の達人」に登録している相続財産を相続税申告書に連動することが可能です。

また、相続税額シミュレーションでは複数の遺産分割案を比較することができ、二次相続まで考慮した試算が可能になっています。

利用料は、Standard Edition(ダウンロード版)で21,900円です。

相続の達人紹介ページ|NTTデータ

JDL IBEXクラウド組曲Major 「相続税・贈与税申告書」

相続税申告書の他に贈与税申告書にも対応したソフトです。相続税申告書の作成はもちろん、相続財産明細書や遺産分割協議書など多彩な帳表の作成に対応しています。

相続に関する様々な事例に幅広く対応し、煩雑な相続税・贈与税申告の実務を効率よく処理できるソフトになっています。

利用料は、年額利用料金10,000円・無制限版40,000円となっています。

JDL IBEXクラウド組曲Major 相続税・贈与税申告書紹介ページ|株式会社 日本デジタル研究所

「ネットde相続税」

「初心者が自分で作れる」をコンセプトに作成されたオンラインサービスです。指定された情報を入力していくことで相続税の申告義務の有無、相続税の総額が無料で確認できます。

相続税申告書をダウンロードする場合には、ダウンロード会員(22,000円)に登録する必要があります。

ネットde相続税紹介ページ|市川欽一税理士事務所

「better相続」

相続税申告書作成を税理士のサポートを受けながら行えるオンラインサービスです。

税理士に質問することができ、税理士から節税方法の提案を受けることができます。最終的な相続税申告書を税理士がチェックするため安心です。

自分で土地の評価の計算をすることができない場合は、オプションで税理士に土地の評価を依頼することができます。

利用料は69,000円です。

better相続|株式会社better

2-2.相続税申告フリー(無料)ソフト

「e-Tax」

国税庁の電子申告サービスです。令和元年10月より相続税が電子申告に対応し、オンラインで相続税申告書の入力ができるようになりました。

帳票の入力は可能ですが、有料ソフトのように自動計算機能や連動機能がついていないため、自分で相続税申告書を作成するには適していません。

他のソフトで相続税申告書を作成し、その結果をe-Taxソフトに入力する方法でなければ、現状の利用は難しいでしょう。

申告手続(相続税申告(令和元年(平成31年)分~令和2年3月分用))|国税電子申告・納税システム

「AI相続」

AIによるサポートで相続税申告書が作成できる無料サービスです。

難しい土地の評価などがなければ相続税申告書を自分で作成できます。

もし、自分でできないと判断した場合は、運営会社の「みなと相続コンシェル」が有料で相続税申告業務を提供しています。

「AI相続」紹介ページ|みなと相続コンシェル

「ひとりで申告できるもん」

ダウンロードやパソコンへのインストールを行わずに初期登録のみで利用できる相続税申告書作成サービスです。

相続税の計算・相続税申告書の作成・相続税申告書の印刷まで無料で行うことができます。

オプションで専門家への相談や財産評価の依頼、申告業務の代行を有料で受付けています。

「ひとりで申告できるもん」紹介ページ|岡野雄志税理士事務所

3.相続税申告ソフトを使う注意点

相続税申告ソフトは、自分で相続税申告書を作成する場合にとても助けになります。しかし、次のような注意点があります。

3-1.注意点① 評価の難しい財産がある

相続税申告書の作成には、申告書の基礎となる「財産の相続税評価額」を行わなければなりません。

相続財産が預貯金や上場株式の有価証券など、比較的簡単に相続税評価を求めることが可能な財産であれば問題ありませんが、相続財産に街中にある土地や自社株式などがある場合には相続税評価額を求めることが困難です。

これらの相続税評価が難しい財産は財産評価通達という法令で評価方法が定められており、相続税に精通する専門家でなければ計算することは難しいでしょう。

3-2.注意点② 民法の知識が必要

相続税申告は相続税法をもとに作成しますが、遺産分割には民法の知識が絡んできます。

民法の知識がなく、一部の相続人に偏った遺産分割を行ってしまった場合には、他の相続人の遺留分(法定相続人に認められる最低限の遺産取得分)を侵害してしまい、遺留分減殺請求により調停や訴訟に発展し、思わぬトラブルになるおそれがあります。

3-3.注意点③ 財産の申告漏れの可能性

相続税申告では、相続財産を把握することがとても重要です。

しかし、亡くなった人の財産を完全に把握することは困難です。自分で相続税申告を行う場合に、どの財産が申告する必要があるのか分からず、結果的に一部の財産が申告漏れになってしまう可能性があります。

3-4.注意点④ 特例の見落とし

相続税申告には「小規模宅地等の特例」をはじめとする多くの特例があり、状況次第では特例の利用により多額の相続税を減額することができます。

相続税申告の経験がない方の場合、その特例自体の存在を知らなかったり、事前の準備不足により特例の適用要件を満たすことができなかったりなど、特例を上手に利用することができない可能性があります。

4.相続税申告ソフトと税理士どっちがいいの?

相続税申告ソフトを利用して自分で申告する方がいいのか、それとも相続税の専門家である税理士に依頼した方がいいのか悩まれている方も多いのではないでしょうか?

相続税申告ソフトを利用して自分で申告する場合と税理士に依頼する場合の違いをご紹介します。

4-1.税理士に頼むとコストがかかる

当然ですが、税理士に相続税申告書の作成を依頼すると税理士報酬が発生します。

税理士報酬は、一般的に遺産総額の0.5%や1%などに設定している税理士事務所が多いため遺産が多いほど税理士報酬は高額になります。また、成功報酬型の報酬設定を行っている税理士事務所もあり、最終的にいくらになるのかが予測しにくい場合もあります。

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4-2.税理士の見極めが重要

相続税申告では、税理士の経験や熟練度によって財産の相続税評価額の算定結果が異なるケースがあるため、税理士選びが重要になります。

また、財産や家族関係などプライベートなことを税理士に伝える必要があるため、信頼関係がとても重要になります。

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4-3.相続税申告ソフトは安価または無料で利用できる

相続税申告ソフトは無料のものから数万円のものまであり、税理士報酬のように遺産の総額によって金額が変動することはありません。

有料ソフトの中には、インストール不要のクラウドソフトもあり、最近では有料サービスを利用すると税理士に相談することができるオプションを提供しているサービスもあります。

4-4.税理士に頼むとメリットがたくさん

確かに、税理士に相続税申告書の作成業務を依頼するとコストが発生します。しかし、それ以上にたくさんのメリットがあります。

  1. 時間の削減ができ他の手続きが楽になる
  2. 適切な財産評価をしてもらえる
  3. 適切な税額算定が得られる
  4. 適切な控除制度の適用ができる
  5. 税務調査時の対応をしてもらえる
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まとめ

今回は「相続税申告ソフトを利用した相続税申告」についてご紹介しました。

相続税申告については年々新しいサービスが出てきており、そのサポート範囲も多様化しています。相続財産が預貯金などシンプルなものであれば、税理士に依頼せずに相続税申告ソフトを利用して申告することが可能です。

しかし、財産に土地があったり、相続人が複数人いたりする場合の相続は専門家でなければ難しい場合が多いため、相続税の専門家である税理士に依頼することを検討してみてはいかがでしょうか。


相続税に強い税理士が問題を解決いたします

相続税申告は税理士によって力量の差がはっきりと現れます。
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相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、税理士はあなたの味方になりますので、まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

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