2021年の基準地価発表|2021年の傾向は?

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2021年7月1日時点の基準地価が9月22日に国土交通省から発表されました。新型コロナの影響等で全国平均値は昨年に続く下落となりましたが、下落率は昨年より縮小して地域によっては地価が下落から上昇に転じています。

土地の購入や相続した土地の売却を考えている人にとっては、土地を売買するタイミングを見極めるため今後の地価の動向が気になる所です。この記事では2021年の地価の状況や今後の展望について見ていきます。

1.2021年の基準地価

基準地価の最新のデータから地価の動向を確認する場合、そもそも基準地価とは何か、この点を理解しておく必要があります。3種類ある土地の価格の違いや基準地価が何を表すのかを理解した上で2021年の基準地価を確認するようにしましょう。

1-1.基準地価とは

基準地価とは土地の価格のひとつで、全国2万箇所以上の基準地の価格のことです。土地の価格を表す主な指標には基準地価・公示地価・路線価の3種類あり、価格の評価時期や発表時期がそれぞれ異なります。

 基準地価公示地価路線価
調査主体都道府県国税庁
評価時点7月1日1月1日1月1日
発表時期9月3月7月
目的土地取引の目安土地取引の目安相続税、贈与税の計算

毎年7月1日時点の土地の価格を都道府県が調査して、その結果を国土交通省が取りまとめて9月に基準地価を発表します。調査時期や調査地点において公示地価と補完的な関係にあるのが基準地価です。

公示地価では都市計画区域内が主な対象ですが、基準地価では都市計画区域外も対象に含まれるため、公示地価の調査対象外の地域の地価を知りたい場合は基準地価が役立ちます。

基準地価と公示地価は、土地を売買するときの価格(実勢価格)の参考になる点は同じで、評価方法や金額に大きな違いはありません。土地を売買する時期に応じて評価時点がより近い指標を使えば参考になります。

一方で路線価は相続税や贈与税の計算で使う価格で、地価公示価格等の80%程度を目安に国税庁が毎年7月に発表する価格です。実際の取引価格である実勢価格とは異なります。

たとえば相続で土地を取得するときに相続税の計算で使うのは路線価ですが、相続した後に土地を売却するときの取引価格の目安になるのは基準地価や公示地価です。

1-2.最新の基準地価の動向

2021年の基準地価は新型コロナの影響等により2年連続の下落となりました。住宅地は下落率が縮小しましたが、商業地は昨年よりも下落率が拡大しています。

 2020年調査2021年調査
全用途平均▲0.6▲0.4
住宅地▲0.7▲0.5
商業地▲0.3▲0.5

新型コロナの拡大が雇用・賃金情勢にも影響を与える中、土地の購入などで価格に慎重になる人が増え、住宅地の地価の下落につながったものと考えられます。

一方で商業地に関しては、国内外の来訪客の増加を受けたホテル需要などでこれまで地価が上昇していた地域や、飲食店が集まる地域において、新型コロナの影響等で需要の減退や先行きの不透明感から地価の下落が続いている状況です。

ただし都市中心部のオフィス需要は店舗需要と比べると安定的に推移し、また県庁所在都市の中心部等では再開発事業の進展期待等により地価が上昇している地域もあります。

2.2021年の都道府県別基準地価変動率

2021年の都道府県別の基準地価変動率は以下の表のとおりです。

【出典】令和3年都道府県地価調査 第4表

2-1.2021年住宅地・商業地の基準地価の傾向

住宅地に関しては多くの都道府県で地価が下落していますが、下落率が昨年と同水準または縮小した都道府県が多く、下落率が拡大した都道府県はそれほど多くありません。

一方で商業地に関しては地価の下落率が昨年より拡大した都道府県が見られ、昨年の調査で地価が上昇していた都道府県でも今年は下落に転じているケースがいくつか見られます。

2-2.三大都市圏の住宅地・商業地の基準地価最高価格

地域別に見た場合、三大都市圏のうち名古屋圏の商業地の地価が下落から上昇に転じる一方、大阪圏では商業地の地価が平成24年以来9年ぶりに下落に転じました。また地方圏では住宅地の地価の下落率は概ね縮小したものの商業地では下落率が拡大しています。

商業地で基準地価が最も高かったのは、昨年と同じく東京都中央区銀座2丁目の明治屋銀座ビルで、1㎡あたりの価格は3,950万円、対前年で3.7%の下落でした。三大都市圏で地価が最高価格を記録しているのはそれぞれ次の土地です。

 住宅地の最高価格商業地の最高価格
東京圏東京都港区赤坂1丁目1424番1、487万円/㎡東京都中央区銀座2丁目2番19外(明治屋銀座ビル)、3,950万円/㎡
大阪圏京都府京都市上京区室町通下立売上る勘解由小路町156番、65万円/㎡大阪府大阪市北区大深町207番外(グランフロント大阪南館)、2,250万円/㎡
名古屋圏愛知県名古屋市中区錦1丁目324番1、120万円/㎡愛知県名古屋市中村区名駅3丁目2701番外(大名古屋ビルヂング)、1,840万円/㎡

3.今後の展望

新型コロナの影響が今後も続いて地価の下落が続くのか、逆に影響が次第になくなり経済全体が再び動き出して土地取引の活性化・地価の上昇へとつながるのか、この点を予測するのは決して簡単ではありません。

新型コロナの影響を受ける前の状態に経済が戻るには一体どれほどの期間を要するのか、専門家の間でも予想や意見が分かれる所ではありますが、少なくとも短期間で経済が元に戻るとは考えにくい状況です。

また日本の経済や地価の動向は日本国内の状況だけでなく外国の状況にも左右されますが、新型コロナによる影響が各国で落ち着くまでには時間がかかる可能性があります。以前のように多くの外国人観光客が日本を訪れて、インバウンド需要によって日本経済や地価が上向くには、もう暫く時間がかかるものと考えたほうが良いでしょう。

まとめ

2021年の基準地価は昨年に続く下落となりました。昨年に比べて下落率は縮小しましたが新型コロナの影響等が続いている状況です。土地の売買を検討する場合は今後の地価の動向を注視していく必要があります。

基準地価や公示地価は国税庁HPで確認できるので土地の価格を実際に確認してみると良いでしょう。土地の相続で悩んでいる場合は不動産相続に詳しい税理士に相談してみるのもひとつの方法です。相続税の申告を任せれば手続き負担を軽減でき、土地を相続した後に売却する場合は確定申告の手続きも依頼できます。

また土地見積サービスを使えば簡単に価格を見積もれるので、土地の購入や売却を検討中の場合にはぜひ活用してみてください。

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