公示地価は3年連続の上昇!2024年の住宅地や商業地の傾向

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2024年の公示地価を国土交通省が公表しました。

ニュースでも取り上げられている通り、公示地価はバブル以来の上昇幅を示しています。

それでは、早速、用途別に2024年の公示地価を見ていくことにしましょう。

【以下データの出典】「令和6年地価公示」|国土交通省

1.2024年全国の公示地価の傾向

以下の通り、全国平均の全用途は3年連続で上昇し、2024年の前年比は2.3%と、上昇率が2%を超えるのは、バブル以降1991年以来23年ぶりです。

住宅地と商業地も同様に3年連続で上昇し、上昇率も拡大しています。

 2020年2021年2022年2023年2024年
住宅地0.8%△ 0.4%0.5%1.4%2.0%
商業地3.1%△ 0.8%0.4%1.8%3.1%
工業地1.8%0.8%2.0%3.1%4.2%
全用途1.4%△ 0.5%0.6%1.6%2.3%

1-1.住宅地

住宅地は、景気回復傾向を背景に、都市中心部や、利便性・住環境に優れた地域で需要が堅調で、地下は上昇傾向にあります。

ただし、地域や用途によってまだ格差があるのが実情です。

1-2.商業地

商業地の地価も上昇しています。

その原因には、都市部を中心に店舗需要の回復傾向が続いたほかに、訪日外国人客などの来訪が復活したことで、観光地や繁華街の地価が上昇したことが挙げられるでしょう。

2.2024年の都道府県別公示地価の傾向

次に、都道府県別に住宅地と商業地の変動率を見てみましょう。

 住宅地商業地
2023年2024年2023年2024年
北海道7.6%4.4%4.9%5.1%
青森△ 0.3%0.1%△ 0.6%△ 0.1%
岩手0.1%0.8%△ 0.9%△ 0.5%
宮城4.0%4.7%3.6%4.6%
秋田△ 0.1%0.2%△ 0.2%0.4%
山形0.4%0.3%△ 0.1%0.0%
福島0.5%0.7%0.5%1.1%
茨城0.0%0.3%0.1%0.2%
栃木△ 0.6%△ 0.5%△ 0.5%△ 0.3%
群馬△ 0.8%△ 0.5%△ 0.9%△ 0.5%
埼玉1.6%2.0%1.6%2.4%
千葉2.3%4.3%2.9%5.3%
東京2.6%4.1%3.3%6.3%
神奈川1.4%2.8%2.9%5.4%
新潟△ 0.6%△ 0.5%△ 1.1%△ 0.9%
富山△ 0.10.0%△ 0.3%0.0%
石川1.2%1.4%0.3%1.1%
福井△ 0.7%△ 0.4%△ 0.6%0.2%
山梨△ 0.6%△ 0.5%△ 0.4%△ 0.2%
長野0.1%0.4%△ 0.5%0.0%
岐阜△ 0.6%△ 0.4%△ 0.3%0.3%
静岡△ 0.5%△ 0.2%△ 0.2%0.2%
愛知2.3%2.8%3.4%4.2%
三重△ 0.2%0.2%△ 0.3%0.2%
滋賀△ 0.6%△ 0.1%0.7%1.3%
京都0.7%1.6%2.5%5.1%
大阪0.7%1.6%2.5%6.0%
兵庫0.7%1.4%1.3%2.7%
奈良△ 0.4%△ 0.3%0.2%0.6%
和歌山△ 1.2%△ 0.7%△ 1.0%△ 0.5%
鳥取△ 0.3%△ 0.2%△ 1.4%△ 1.3%
島根△ 0.4%△ 0.3%△ 1.0%△ 0.7%
岡山0.4%0.8%1.6%1.8%
広島0.6%1.0%1.7%2.4%
山口0.4%0.5%0.0%0.3%
徳島△ 0.6%△ 0.5%△ 0.8%△ 0.5%
香川△ 0.5%△ 0.2%△ 0.5%△ 0.2%
愛媛△ 1.0%△ 0.7%△ 0.8%△ 0.5%
高知△ 0.5%△ 0.3%△ 0.8%△ 0.5%
福岡4.2%5.2%5.3%6.7%
佐賀1.2%1.7%1.6%2.7%
長崎0.6%0.9%0.8%1.1%
熊本1.9%2.5%1.9%3.1%
大分1.4%2.1%0.3%1.7%
宮崎△ 0.1%0.1%△ 0.7%△ 0.3%
鹿児島△ 0.8%△ 0.6%△ 1.1%△ 0.8%
沖縄3.6%5.5%2.7%5.0%
2023年時点で、住宅地が下降傾向にあった22県のうち5県が、商業地が下降傾向にあった19県のうち4県がそれぞれ上昇に転じています。
 
しかし、2024年にも住宅地・商業地ともに下降傾向にある県が13もあり、少子化や、人口流出による高齢化などが原因で人口減少になり、開発からも取り残されているエリアが固定化されている可能性が見て取れます。

3.2024年の三大都市圏の公示地価の傾向

以下は、三大都市圏の公示地価の変動率です。

ここからは、都市圏別に公示地価の傾向を考えることにしましょう。

三大都市圏2020年2021年2022年2023年2024年
住宅地1.1%△ 0.6%0.5%1.7%2.8%
商業地5.4%△ 1.3%0.7%2.9%5.2%
全用途2.1% △0.7%0.7%2.1%3.5% 

3-1.東京圏の公示地価の傾向

 住宅地商業地
2023年2024年2023年2024年
東京都東京都2.6%4.1%3.3%6.3%
東京都区部3.4%5.4%3.6%7.0%
区部都心部4.1%7.1%31%7.3%
区部南西部3.2%5.0%4.0%6.7%
区部北東部3.5%5.0%4.2%6.6%
多摩地域1.6%2.7%2.1%3.8%
神奈川県神奈川県1.4%2.8%3.0%5.4%
横浜市1.5%2.7%3.4%6.0%
川崎市1.7%3.2%4.3%7.1%
相模原市1.9%4.0%3.0%5.7%
その他1.1%2.4%1.8%3.8%
埼玉県埼玉県1.7%2.1%1.7%2.6%
さいたま市2.8%2.7%3.3%4.4%
その他1.5%2.0%1.2%1.9%
千葉県千葉県2.6%4.7%3.6%6.4%
千葉市1.9%3.7%3.6%7.4%
その他2.7%4.9%3.6%6.2%
茨城県0.5%0.9%0.6%0.9%
東京都圏 2.1%3.4%3,0%5.6%

区部都心部:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区
区部南西部:品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区
区部北東部:墨田区、江東区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区

住宅地の傾向

東京都区部では、3年連続の上昇となっており、2024年には5.4%と大幅な上昇を示しています。上昇率が最も高いのは 豊島区の7.8%(前年 4.7%)で、7.5%の中央区(前年4.0%)、7.4%の文京区(前年 4.4%)がこれに続きます。

多摩地区全域でも、2.7%の上昇で、2年連続で全 26 市2町の変動率がプラスになっています。

神奈川県では、上昇エリアが増加し、横浜市、川崎市、相模原市を中心に、計54市区町村(前年41市区町)がプラスに転じています。

埼玉県でも、上昇エリアは、2023年から2024年で33市町から37市町に拡大しています。

千葉県では、最も上昇率が高いのは、浦安市で9.7%(前年3.3%)と、千葉市以外の伸びが大きいことがわかります。

茨城県では、他県と比べ上昇率は低いものの、つくばエクスプレス沿線の地価上昇が原因で上昇傾向にあります。

商業地の傾向

東京都の23区内では、国内外の観光客が多いエリアや、再開発が進捗しているエリアを中心に、住商併用エリアでの上昇が大きくなっています。

多摩地区では、都心に近いエリアで、上昇率が高く、駅前再開発の行われているポイントで上昇率が高くなっています。

神奈川県では、27年に国際園芸博覧会が開かれる横浜市瀬谷区では5.6%の上昇を示し、茅ケ崎市は、JR辻堂駅近くの地点商では8.8%に達しっています。

埼玉県では、東京都隣接エリアや、さいたま市内での商業地需要が堅調で、再開発が期待されるエリアや、マンション用地と競合するエリアで特に上昇が顕著です。

千葉県では、住宅地と同様に、浦安市が14.5%と(前年4.9%)と最も上昇率が高くなっています。

茨城県での商業地も、住宅地と同様に、つくばエクスプレス沿線の大幅な地価上昇が影響しているものと考えられます。

3-2.大阪圏の公示地価の傾向

 住宅地商業地
2023年2024年2023年2024年
大阪府大阪府0.7%1.6%2.5%6.0%
大阪市1.6%3.7%3.3%9.4%
中心6区3.0%5.5%3.9%11.6%
北大阪1.1%2.0%2.4%4.0%
東大阪0.4%1.2%1.4%2.6%
南大阪0.3%0.6%1.6%2.5%
堺市1.8%2.1%3.7%4.4%
兵庫県兵庫県1.2%2.0%2.3%4.1%
神戸市1.2%2.1%2.0%4.1%
東部4区2.0%2.9%2.0%4.3%
阪神地域1.3%1.9%2.5%4.0%
京都府京都府0.9%1.9%3.0%5.9%
京都市1.2%2.5%3.3%6.6%
中心5区1.4%2.9%3.4%6.3%
その他0.6%1.1%1.9%3.1%
奈良県奈良県△ 0.4%△0.3%0.2%0.6%
奈良市0.8%0.9%2.8%3.8%
大阪圏0.7%1.5%2.3%5.1%

大阪市の中心6区:福島区、西区、天王寺区、浪速区、北区、中央区
北大阪:豊中市、池田市、吹田市、高槻市、茨木市、箕面市、摂津市、島本町、豊能町、能勢町
東大阪:守口市、枚方市、八尾市、寝屋川市、大東市、柏原市、門真市、東大阪市、四條畷市、交野市
南大阪:大阪市、北大阪、東大阪を除くその他の大阪府
神戸市の東部4区:東灘区、灘区、兵庫区、中央区
阪神地域:尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町
京都市の中心5区:北区、上京区、左京区、中京区、下京区

住宅地の傾向

大阪府では、大阪市、堺市、北大阪・東部大阪の一部エリアなど、利便性の高い住宅地では、上昇傾向が拡大しており、特に北大阪急行が延伸開業する新御堂筋沿線の箕面市の一部エリアでは、上昇幅が大きくなっています。

兵庫県では、利便性の高い東灘区・灘区・中央区で、住宅地の供給不足も手伝って上昇の拡大傾向が続き、阪神南・阪神北地域でも、大阪への通勤圏であることから2023年から上昇傾向にあります。ただし、都市部であっても利便性の劣る地点については下落が続いています。

京都府でも、利便性の高いエリアでは、需要が堅調で、京都市は全区が上昇を示しています。

一方、奈良県の住宅地は、16年連続して前年比マイナスとなってしまっています。

商業地の傾向

大阪府でも、コロナが感染症5類に移行したことにより、国内消費が戻り、インバウンド需要も回復してきたことで、商業地の地価も大阪市の5区を中心に大幅に上昇しています。さらに、ホテル需要の増加によって、立地の良い商業地でも上昇が拡大しています。

兵庫県では、神戸市内の商業地は、商業地継続地点のすべてが上昇になり、芦屋市の地価も、再開発等への期待感等から、大きく上昇しています。

京都府でも、国内外の観光客が戻ったことから、京都市内を中心に、商業地でも堅調な上昇を見せています。

奈良県でも、商業地は他県に比べ小さいながら上昇しています。

3-3.名古屋圏の公示地価の傾向

 住宅地商業地
2023年2024年2023年2024年
愛知県愛知県2.5%3.1%3.6%4.5%
名古屋市3.7%4.5%5.0%6.0%
尾張地域1.5%2.1%1.6%2.7%
西三河地域3.0%3.2%3.2%4.1%
知多地域1.9%2.3%1.0%1.7%
三重県三重県0.1%0.5%0.4%0.9%
四日市市0.3%0.7%0.5%1.1%
名古屋圏2.3%2.8%3.4%4.3%

尾張地域: 一宮市、瀬戸市、春日井市、津島市、犬山市、江南市、小牧市、稲沢市、尾張旭市、岩倉市、豊明市、日進市、愛西市、清須市、北名古屋市、弥富市、あま市、長久手市、東郷町、豊山町、大口町、扶桑町、大治町、蟹江町、飛島村
西三河地域:岡崎市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、知立市、高浜市、みよし市、幸田町
知多地域: 半田市、常滑市、東海市、大府市、知多市、阿久比町、東浦町、南知多町、美浜町、武豊町

愛知県では、住宅地・商業地とも3年連続で上昇しており、住宅地では44市町、商業地では38市町で前年比プラスとなっています。

特に、知立駅周辺では、再開発に伴って、住宅地・商業地ともに地価上昇が見られます。

三重県の住宅地では、調査対象の25市町のうち、2023年より4市町多い10市町で上昇し、商業地では、調査対象の20市町のうち、8市町で上昇しています。

4.2024年地方圏の公示地価の傾向

地方圏*の公示地価の傾向

 2020年2021年2022年2023年2024年
住宅地0.5%△ 0.3%0.5%1.2%1.2%
商業地1.5%△ 0.5%0.2%1.0%1.5%
全用途0.8%△ 0.3%0.5%1.2%1.3%

地方4市*の公示地価の傾向

 2021年2021年2022年2023年2024年
住宅地5.9%2.7%5.8%8.6%7.0%
商業地11.3%3.1%5.7%8.1%9.2%
全用途7.4%2.9%5.8%8.5%7.7%

地方圏では、住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、地方4市では、11年連続の上昇です。

特に上昇率が高いのが、住宅地では、訪日外国人の人気が高い北海道富良野市のリゾート地、商業地では、台湾の世界トップの半導体企業であるTSMCを誘致した熊本県の大津町でした。

地方圏:3大都市圏以外の市区町村の区域
地方4市:札幌市・仙台市・広島市・福岡市

まとめ

ここまで、駆け足で2024年の公示地価を住宅地・商業地を中心にご紹介しました。

2024年の公示地価は、押し並べて上昇傾向にあります。都心部を中心に、マンション需要も堅調なようです。

公示地価は、土地の相続税評価額にも影響を与えます。気になる方は、ご自分がお住まいの公示地価を調べてみてはいかがでしょうか。

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