暗号資産(仮想通貨)にも相続税がかかる!評価方法を解説

暗号資産(仮想通貨)の決済企業TripleAによると、日本では、2023年時点で、総人口の約4%が暗号資産(仮想通貨)を保有すると推定しています。日本の総人口の4%と言えば、日本人の490万人程度に相当し、被相続人が保有している可能性もあります。

暗号資産は相続財産として、相続税の課税対象です。

そこで、暗号資産が遺産に含まれていたときのために、暗号資産の相続税評価方法について解説します。

ちなみに、2020年5月1日に金融庁が呼称を仮想通貨から暗号資産に改めたことから、日本では2つの呼称が流通していますが、ここでは、暗号資産とします。

暗号資産の相続手続きについては、以下の記事をご一読ください。

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【参考外部サイト】「Japan|2023」|TripleA

1.暗号資産の相続税評価方法

国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」によると、暗号資産の評価方法は、「活発な市場が存在する場合」と「活発な市場が存在しない場合」で異なります。

【参考外部サイト】「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」|国税庁

1-1.「活発な市場」について

上記FAQによると、「活発な市場が存在する場合」とは、以下の要件を満たすことを言います。

暗号資産取引所又は暗号資産販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われており、継続的に価格情報が提供されている場合をいいます。

【引用】「4-2 相続や贈与により取得した暗号資産の評価方法〔令和2年 12 月更新〕」FAQ54頁|国税庁

主な暗号資産取引所には、次のものを挙げることができます。

  • Coincheck
  • DMM Bitcoin
  • SBI VCトレード
  • LINE BITMAX
  • GMOコイン
  • Zaif
  • bitbank
  • BITPOINT
  • BitTrade(ビットトレード)
  • マネックス証券:マネックスビットコイン
  • Bitgate
  • トレイダーズ証券:みんなのコイン
  • CoinTrade
  • トレイダーズ証券:LIGHT FX コイン
  • 楽天ウォレット
  • 岡三オンライン:暗号資産CFD
  • マネーパートナーズ:まいにち暗号資産
  • bitFlyer
  • など

複数の取引所で被相続人が保有していた暗号資産が取引されていれば、「活発な市場が存在する場合」に該当すると言えるでしょう。

1-2.「活発な市場が存在する場合」の評価方法

被相続人が遺した暗号資産に活発な市場が存在する場合には、2つの評価方法が考えられます。

相続開始日の残高証明書の金額を相続税評価額とする

被相続人が取引していた暗号資産取引所から、相続開始日の残高証明書を発行してもらい、記載されている残高と、日本円への換算レートをそのまま相続税評価額とします。

相続開始日の売却価格を相続税評価額とする

暗号資産取引所が売却価格を公表していれば、相続開始日の売却価格を相続税評価額とすることもできます。

同一の暗号資産でも取引所によって取引価格が異なることがあり、複数の取引所で同一の暗号資産を取引していた場合には、その中で低い方の取引価格を評価額とすることもできます。

1-3.「活発な市場が存在しない場合」の評価方法

一方、「活発な市場が存在しない」暗号資産については、客観的交換価値を示す相場がありません。したがって、暗号資産の内容、性質、取引実態を考慮して個別に評価します。

類似する暗号資産などの売買の実例に基づいた価格や(売買例価額)、専門家に鑑定してもらった価格精通者価格)で評価する方法が考えられます。

2.暗号資産を相続する際の注意点

最後に、暗号資産を相続する際の注意点について触れておきます。

2-1.パソコン・スマートフォンは直ぐに処分しない

相続した暗号資産の情報は、被相続人が所持していたパソコンやスマートフォンに保存されている可能性が高くなります。

そのため、相続手続き前にアカウントの削除やパソコンの解約をすると、暗号資産の情報収集に支障を来すことになります。

それ以外にも、パソコンやスマートフォンは、被相続人のデジタル遺産を特定する鍵となります。被相続人のパソコンやスマートフォンは相続手続きが終了するまで処分しないことをお勧めします。

2-2.遺産分割が終わるまで暗号資産の取引・出金をしない

家族や友人名義の口座を利用した暗号資産の取引は、不正アクセス、脱税、マネーロンダリングといった違法行為が行われるおそれがあり、法令規則で禁止されています。

また、遺産分割の終了までは、暗号資産も相続人全員の共有となるため、勝手に取引を行うと、相続争いの種となります。

遺産分割が終了するまで、暗号資産には触らないことです。

2-3.多額の相続税が発生する可能性

上場株式は値動きが激しく、相続開始日だけをとっても取引価格が急騰・急落します。そのため、相続税があまりに高額にならないよう、相続開始日を中心に、4つのポイントで最も低い価格を評価額とする規定が設けられています。

一方、暗号資産では、こうしたクッションは設けられておらず、原則として相続開始日の売却価格が相続評価額となり、相続開始日に暗号資産が急騰してれば、多額の相続税がかかってしまう可能性があります。

この点について、日本暗号資産ビジネス協会からは、上場株式の相続税評価方法と同様な手法がとれるよう、金融庁に対して「2023年度税制改正に関する要望書」が提出されています。

【参考外部サイト】「2023年度税制改正に関する要望書

2-4.相続手続きが難しければデジタル遺産に詳しい士業に相談を

被相続人が海外の取引所など相続手続きの未整備な取引所で暗号資産を取引していた場合には、相続人に知識がなければ手続きが難航するのは必至です。

マイニングや個人間取引の場合も含め、相続手続きが難しければ、デジタル相続に強い弁護士などの士業に相談するのも方法の1つです。

まとめ

暗号資産(仮想通貨)の相続税評価がわかっても、全体の相続税はわかりません。

相続税は、すべての課税対象額を合計し、

また、日本暗号資産ビジネス協会から要望が提出されている通り、暗号資産の相続税評価は、変わる可能性もあります。

詳しくは、相続税に強い税理士に相談することをお勧めします。

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監修
税理士相談Cafe編集部
税理士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続税や相続周りに関する記事を500近く作成(2023年4月時点)。
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