相続税の申告期限に遺産分割協議が終わらない未分割のときの対処法

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遺産分割協議が終わらず遺産が未分割のまま相続税の申告期限が目前に迫ったとしても、対処法はあります。

遺産分割協議が終わらず、相続税申告が間に合わない場合に、どのようなことが起きるのか、そして、それに対する対処法を解説します。

1.申告期限内に申告書を提出しないペナルティ

まず、相続税の申告期限までに申告書を提出しなかったらどうなるのでしょうか?

1-1.ペナルティの税金が発生する

申告期限までに相続税の申告をしなかった場合には、ペナルティとして次の税金を支払わなければならなくなります。
ただでさえ高額な相続税に、さらに税金が追加されることになるため、絶対に避けたいところです。

  • 延滞税
  • 無申告加算税
  • 重加算税
  • 過少申告加算税(期限内に申告はしたが、本来より少ない税額で申告していた場合)

なお、延滞税などについて詳しくはこちらをご覧ください。

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1-2.特例の適用が受けられなくなる

相続税には税額を軽減できる特例がいくつかあり、適用を受けることで相続税を節税することができます。生前の相続対策の多くは、これらの特例を有効に使えるように様々な策を執ります。

次の代表的な特例は、申告期限までに相続税の申告をすることが適用要件となっています。

遺産分割が終わらないからといって期限までに申告をしないと、大きな減税効果のあるこれら特例が適用できなくなり、支払う相続税額が大幅にアップしてしまいます。

2.申告期限を超えても遺産分割後に特例を適用する方法

遺産分割が完了していないため、相続税申告が申告期限までにできそうにないという場合には、次の流れで対処します。

こうすることで、相続税申告が遅れたことによるペナルティの税金は発生せず、遺産分割完了後であっても、特例の適用も受けることができます。

  1. 遺産を法定相続分で分割したと仮定して、期限までに申告納税する
  2. 1.と同時に分割見込書を提出する
  3. 3年以内に遺産分割を完了する
  4. 更正の請求または修正申告を行い、特例の適用を受ける

以下、具体的に解説していきます。

2-1.遺産を法定相続分で分割したと仮定して仮申告する

遺産分割協議が申告期限までに終わらなければ、とりあえず、法定相続分で遺産分割したと仮定した相続税申告書を提出し、相続税を納めてしまいましょう。

そしてこの申告書を提出するときに、「分割見込書」を一緒に提出します。これは絶対に忘れてはいけません。

2-2.仮申告時に提出する「分割見込書」とは

正式名称を「申告期限後3年以内の分割見込書」といい、遺産分割が申告期限に間に合わなくても、申告期限後3年以内に分割することができれば、特例の適用を認めてもらえます

ただし、すべての特例が対象となっているわけではなく、次の4つに限定されます。

  • 配偶者の税額軽減(配偶者控除)
  • 小規模宅地等の特例
  • 特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例
  • 特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例

農地等の相続税の納税猶予などは、分割見込書の提出に関係なく、申告期限内に遺産分割が終わっていないと適用を受けらません。とにかく遺産分割を期限までに終わらせるしかありません。

「分割見込書」の書き方

簡単に、「分割見込書」の書き方をご紹介しておきます。

【出典サイト】[手続名]相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続|国税庁 

相続人が記入すべき欄には、「分割されていない理由」、「分割の見込みの詳細」、「適用を受けようとする特例等」の3つがあります。

「分割されていない理由」

「分割されていない理由」欄には、遺産が分割されていない理由を以下のように具体的に記載します。

  • 「相続人間の分割協議が不調に終わった」
  • 「一部連絡が付かない相続人がいる」
  • 「一部相続人が海外居住者であり遺産分割協議ができない」
  • 「遺産の把握が未了」
    など
「分割の見込みの詳細」

「分割の見込みの詳細」欄には、分割ができる見込みについて、以下のように具体的に記載します。

  • 「3年以内に遺産の分割が確定する見込み」
  • 「3年以内に相続人を探し、遺産の分割が確定する見込み」
  • 「海外居住の相続人が帰国出来次第、遺産の分割を確定する見込み」
  • 「遺産の把握が終了し、3年以内に遺産の分割が確定する見込み」
    など
「適用を受けようとする特例等」

「適用を受けようとする特例等」の欄には、分割後、適用を受けたい特例すべてについて、〇をします。

2-3.3年以内に未分割の遺産の分割を確定するために

法定相続分で遺産を分割したと仮定した申告書に分割見込書を添付して提出した後は、3年以内に遺産分割協議を完了しなければなりません。

しかし、遺産分割協議は、一度揉めてしまうと相続人間に長年鬱積していた感情が爆発し、どんどん収拾がつかなくなっていきます。そうなってしまうと、相続税申告どころではなくなります。

このような場合には、すぐに弁護士や税理士などの専門家に仲介役を依頼しましょう。 法律の専門知識を持った第三者が、公平な立場で介入するだけで、冷静な話し合いができるようになります。

2-4.分割完了後に更正の請求または修正申告

3年以内に遺産分割が完了したら、修正申告または更正の請求をすることで特例の適用を受けることができます。
仮申告の時点では特例の適用を受けられていないので、ほとんどの場合は、払い過ぎた相続税を取り戻す更正の請求になるでしょう。
更正の請求は遺産分割完了後、4ヶ月以内に行う必要があります。

仮申告での相続税が少なかった場合に行う修正申告には期限はありませんが、足りなかった相続税分に対して延滞税や過少申告加算税がかかる可能性があるので、とにかく迅速に申告した方が賢明です。

ポイントは可能な限り更正の請求で特例の適用を受けられるように、仮申告の相続税額を調整しておくことです。
必要な相続税よりもあえて多めに納税をしておくことで、ペナルティが発生せず最終的に納めるべき金額を抑えることができます。

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3.申告期限後3年以内に分割できそうにない場合

「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出したにもかかわらず、約束の3年以内に分割できないかもしれないとなった場合でも、まだ特例の適用を受けられる可能性は残っています。

ただし、「やむを得ない事由」がある場合に限られます。

3-1.「やむを得ない事由」があればさらに延長可能

3年以内に分割が終わらない場合には、申告期限から3年を経過した日の翌日から2ヶ月以内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を税務署長に提出し、承認を得ることができれば期限を延長することができます。

そして、そのやむを得ない事由が解消した日から4ヶ月以内に遺産分割を完了することができれば、申告期限から3年を超えても特例を適用することができます。

【出典サイト】[手続名]遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請手続|国税庁 

3-2.「やむを得ない事由」とは

この承認申請が認められるための「やむを得ない事由」とは、具体的には次のようなものをいいます。

  • 訴訟中である
  • 調停や審判中である
  • 遺言書に遺産分割を禁止する旨が記載されている

申請書には、これらのやむを得ない事由があることを証明する書類を添付しなければなりません。
例えば、訴状や調停の申立書、遺産分割の禁止が書かれている遺言書などです。

具体的なやむを得ない事由を見ると分かるように、通常の相続ではなかなか出てくる事由ではありません。
したがって、単に、遺産分割協議が進んでいないという状態で承認申請しても、まず認められません。

まとめ

遺産分割協議というものが、財産をめぐった人間同士の話し合いである以上、協議が迷走してしまうというのはよくある話です。 肝心なことは、その時にすぐに対処できるかということです。

遺産分割で揉め出した、申告期限に間に合わないかもしれないと思ったら、すぐに税理士に相談しましょう。 分割見込書の提出から順を追って、可能な限り納税者有利になるように進めてくれます。

何より一番怖いのは、申告期限を過ぎても放置している状態なのです。


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