相続税の申告期限までに遺産分割協議が完了しなかった時の対処法

★ お気に入りに追加
分割

家族が亡くなったときに考えなければいけない税金が相続税です。相続税を適切に納めるためには、定められた期限内に申告をしなければいけません。

しかし、場合によっては相続税申告の期限内に遺産分割協議が完了しないことがあります。そこで、期限までに遺産未分割の場合の対処法や、相続税の基本事項などを解説します。

1.相続税申告の必要性

大切な家族が亡くなると、故人が所有していた物やお金を相続する(引き継ぐ)ことがあります。ですが、相続には引き継いだ資産に対する税金「相続税」が必要です。

1-1.相続税申告書に記入

相続税の申告を行う場合、申告書に必要事項を記入、提出することで申告を行います。手続きとしては簡単に感じますが、申告書への記入が複雑なこともあります。そのため、税理士などの専門家へ依頼して申請してもらうケースが多いです。

1-2.申告期限は10ヶ月以内

相続税の申告を行う場合、申告さえすればいつでも良い訳ではありません。申告には期限が決められていますので、決められた期間内に必ず申告を行う必要があります。相続税の申告期間は、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内」です。

重要なポイントは、「被相続人が死亡したことを知った日」というのは、遺産分割をした日ではないことです。電話でもメールでも連絡があれば、その日が起点となってしまいます。そのため、相続税のことを考えて、あなたがいつ知ったのかを必ずメモに残しておきましょう。期限内の申告を行うためには、自分の期限がいつなのかを正しく把握しておくことが大切です。

1-3.申告期限を過ぎてしまう延滞税や無申告加算税が!

相続を行った場合、税務署から必ず相続税の申告に関するお知らせが届くとは限りません。そのため、まだ大丈夫だと思っていても、実際には申告期限が過ぎてしまっていることがあります。もし、定められた申告期限を過ぎてしまった場合、どうすればよいのでしょうか?

申告期限を過ぎてしまった場合も、期限内と同じように申告を行います。しかし、罰則として「延滞税」や「無申告加算税」などが、本来納める税額に加算されてしまいます。したがって、1日でも期限を過ぎてしまうと、多めに納税しなければいけませんので、期限には最大限の注意を払っておきましょう。

1-4.遺産未分割でも申告は必ず必要

それでは、相続税の申告期限である10ヶ月以内に遺産分割協議が終わらなかったらどうなるのでしょうか?
相続財産の中に不動産しかなかったり、特定の相続人に多くの生前贈与があったりなど、相続人同士でもめてしまうケースが意外に多いものです。本人たちだけで解決できない時は、家庭裁判所に申請して調停や審判になりますが、そうなると早くても数カ月、長ければ数年かかります。申告期限にはとても間に合いそうにありません。

たとえ遺産が未分割であっても、申告期限までの相続税申告は必須です。どんな理由があろうとも、この期限を過ぎてからの申告では、原則的に「延滞税」などが課されてしまいます。

申告を税理士に依頼したとしても、1日、2日でできるものではありませんので、もし遺産分割協議が長引きそうなことが見えてきたら、早めに申告の準備に入る必要があります。税理士に依頼する場合でも、申告期限の少なくとも2, 3ヶ月前には相談したいものです。税理士によっては期限1ヶ月前でも引きうけてくれますが、報酬が高くなることもあります。

1-5.基礎控除額以下の場合は申告の必要なし

相続税の申告で、注意しなければいけないのは、相続したからと行って必ず申告が必要とはならないことです。相続税の申告が必要になるのは、「相続税の対象金額の合計」が「遺産に係る基礎控除」を上回った場合のみとなります。そのため、相続するお金が基礎控除以下の場合は、相続税の対象とはなりませんので申告は不要です。

遺産に係る基礎控除を具体的な金額で表すと、「3,000万円+(600万円×法定相続人)」となります。例えば、お父さんが亡くなった4人家族の場合、3,000万円+600万円×3=4,800万円が基礎控除額です。なので、相続する金額が4,800万円以下なら申告が不要となるのです。

また、相続税の対象金額を考える際には、葬儀費用や借金などを差し引いて考えます。上記の例で、5,000万円の相続を行った場合、葬儀費用が500万円必要になると、課税対象額は4,500万円となり、申告は不要となります。相続税申告が必要になりそうか、全く必要なさそうかを、早めに確認しておきましょう。

2.遺産分割協議と相続税の関係

相続税を計算するときには、負担する税金が減額される「特例」がいくつか設けられています。この特例は相続税の申告と深い関わりがあり、場合によっては利用できないことがあります。そこで、負担軽減となる制度を活用するためにも、しっかりポイントを押さえていきましょう。

会議 話し合い

2-1.相続税の特例

相続税の納税額を計算する場合、単純に相続する金額だけで計算することはありません。葬儀代などを差し引いた金額が、相続税の対象となる金額となります。特例も、基本的には同じ考え方となります。つまり、本来相続する金額から特定の割合分が減額されるため、相続税もその分減額されるのです。

この特例には、以下のような種類があります。

これらの特例は、相続するものや相続する人と故人との関係などによって受けられる制度ですが、どれも便利なので一度は目を通しておくのがおすすめです。ただし、これらの特例を利用した結果、課税対象額が基礎控除を下回った場合は申告が必要です。忘れずに申告を行いましょう。

2-2.遺産分割協議が完了していないと特例を適用できない

非常に便利な特例制度ですが、気をつけなければいけないことがあります。それが、遺産分割のタイミングです。
各特例制度には「遺産分割前の資産には適用できない」というルールがあります。遺産分割前に申告をしてしまうと上記の特例はすべて適用できないのです。申告のタイミングは遅くてもダメですが、早すぎてもいけません。

3.遺産分割完了後に特例を適用させる方法

3-1.申告時に分割見込書を提出

遺産分割が長引いてしまい期限内に分割ができず、相続税申告で特例を利用できないことがあります。この場合でも諦める必要はなく、申告の際に手続きを行うことで、申告後でも各特例が適用できるようになります。

まずは各相続人が法定相続分で財産を分割したと想定して相続税の申告を行います。その際に申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付します。この手続きを行うことで、申告期限から3年以内に遺産分割が行われた場合には、申告後でも特例を適用できるようになります。

もし、この手続きを行っても3年以内に遺産分割が行われない場合には、新たに別の手続きが必要です。具体的には、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出します。提出期限は、申告期限後3年2ヶ月以内です。

この手続きには担当の税務署長の許可が必要です。遺産分割調停が長引いているなど、やむを得ない事情があれば承認されます。そして、調停成立や審判から4ヶ月以内に遺産分割が完了すれば特例を適用できます

ただ、認められない場合は特例を利用できないこともあります。なるべく早く遺産分割が行えるように話し合いましょう。

【出典】国税庁タックスアンサー:No.4208 相続財産が分割されていないときの申告

3-2.修正申告または更正の請求

きちんと手続きを行い、相続税の申告後に遺産分割が完了した場合、残念ながら自動的に特例が適用されるわけではありません。申告後に特例を利用するためには、「修正申告」または「更正の請求」を行う必要があります。

修正申告は「納税金額を少なく申告」した場合、更正の請求は「多く納税」した場合に行います。なので、遺産分割が完了したときに、その状況に応じて必要な申告書を提出して手続きを行いましょう。

また、修正申告には期限はありませんが、足りなかった分に対して「延滞税」や「過少申告加算税」がかかる場合があります。
一方で更正の請求では、相続税を払い過ぎているため還付を受けられますが、遺産分割完了後4ヶ月以内に請求しなければいけません。

なお、更正の請求に関して、通常は申告期限から5年以内に請求する必要がありますが、特別な事情がある場合には、5年に関わりなく更正の請求が可能な状態になってから4ヶ月以内に請求をすれば良いことになっています。

【関連】相続税の修正申告と更正の請求

3-3.あえて相続税を多めに払っておくという手も

遺産分割が長引いてしまった場合、まずは法定相続分で申告を行い、遺産分割が終わった後に、修正申告または更正の請求を行います。

ここで、修正申告では延滞性などのペナルティが発生しますが、更正の請求では還付を受けるだけですので、修正申告よりも更生の請求の方がリスクが少ないといえます。
そこで、遺産分割前の申告では、必要な相続税よりもあえて多めに納税をしておくという手もあります。すると、期限内での手続きは必要ですが、ペナルティが発生せず最終的に納めるべき金額を抑えることができます。

3-4.税理士に相談して具体的なシミュレーションを

このあたりの戦略案を立てるためには具体的な相続税額のシミュレーションが必要です。個人では難しい面がありますので、相続税に強い税理士に相談のうえ、綿密な計画を立てられると良いでしょう。

相続税に強い税理士が問題を解決いたします

相続税申告は税理士によって力量の差がはっきりと現れます。
相続税について、下記のような不安・課題を抱えている方は、相続税に強い税理士にご相談ください。

  1. 相続税をなるべく安くしたい
  2. 税務調査が怖い
  3. 評価が難しい土地がある
  4. 相続関連のいろいろな手続きが面倒で困っている
  5. 生前対策をしたいが、何をしたら良いかわからない

相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、税理士はあなたの味方になりますので、まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

都道府県から相続税に強い税理士を探す
この記事が役に立ったらシェアしてください!

あなたへおすすめの記事

GoogleAdsense関連コンテンツ