家族信託でかかる税金、相続税・贈与税など

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税金 お金

家族信託は節税対策にはなりませんが、相続トラブルを避けるための相続対策としては大変有効です。一方で、通常の相続や贈与とは異なるため、どんな税金がかかり、誰が納税者になるのか分かりにくいという点があります。

【参考】究極の相続対策、家族信託(民事信託)とは

そこで、家族信託において発生する税金と納税者の関係について解説します。信託契約には「委託者」「受託者」「受益者」の三者が関与しますが、誰がどの税金を納めるのかをパターン別に確認しておきましょう。

家族信託

家族信託と関連する税金

課税原則:実際に利益を受ける者に対して課税される

日本の税制は「実体主義」「受益者負担」が原則となっています。つまり、契約の内容の如何にかかわらず、実際に利益を受ける者に対して、それぞれの税金が課税されます
家族信託では、委託された信託財産の名義人は受託者になりますが、実際に利益を受ける者は受益者ですので、各種の税金は受益者に対してかかる形になります。

家族信託と関係がある税金

家族信託契約では次の税金が関係しています。

贈与税委託者の生前に受益者に権利が移った場合
相続税委託者の死亡を条件として受益者に権利が移った場合
所得税、法人税受益権が売買された場合
譲渡所得税受益権が売買された場合
登録免許税不動産を受託者名義で登記する場合
固定資産税不動産を受託者名義で登記してある場合

委託者に課される税金について

特殊なケースを除き、委託者に課税される税金はありません。

受託者に課される税金について

家族信託では、受託者は信託財産の管理を請け負っているだけで実質的な所有権は持っていませんので、基本的には課税されることはありません。ただし、信託財産が不動産の場合、次の税金だけかかります。

登録免許税

不動産の信託では、不動産の名義を委託者から受託者に変更しますので、登録免許税が課税されます。
通常、売買や贈与による所有権移転登記では、「固定資産税評価額×2.0%」の登録免許税がかかりますが、信託による所有権移転登記の場合は、「固定資産税評価額×0.4%」となり、通常の5分の1ですみます。

固定資産税

信託財産である不動産は受託者の名義になっていますので、固定資産税の支払通知書は受託者に届きます。ただ、実際の所有者は受益者ですので、信託財産の管理費用として、信託財産から拠出することが許されており、実質的には、受益者が負担している形になります。

受益者に課される税金について

家族信託では「委託者=受益者」のケースと、「委託者≠受益者」のケースが考えられます。

「委託者=受益者」のケース

「委託者=受益者」のケースでは、受益者として納税する税金はありません。なぜなら、委託者と受益者が同一人物であるからです。実体としては、財産の移転等が行われないため、贈与税や不動産所得税が課税される余地はありません。

家族信託では、委託者の生前は、まず「委託者=受託者」とするケースが多く、税金も課税されないため、大変有効な手段です。

「委託者≠受益者」のケース

家族信託契約においては、実質的に利益を受ける受益者が税金を納税することになります。「委託者≠受益者」のケースでは、信託財産の実際の所有権は「受益者」に移るため、、様々な税金が課されます。

贈与税

委託者の生前に、「委託者≠受益者」とする家族信託契約が成立した際には、委託者から受益者に対する贈与が発生したと扱われ、贈与税が課せられます。贈与税の税率は相続税の税率よりも高く非常に高額になりやすいため注意が必要です。通常の家族信託契約では、委託者の生前は「委託者=受益者」として、贈与税を課税されないようにすることが多いです。

相続税

一次受益者が委託者、二次受益者が相続人と指定されていて、委託者の死亡を条件として、二次受益者に受益権が移転した場合、相続税が課されます。
受益権連続型信託(受益権消滅・発生型)では、一次受益者の受益権が消滅し、二次受益者の受益権が新たに発生することになりますので、法律上は相続ではありませんが、税法的には「みなし相続」と考えて、相続税が課されます。
なお、受益権連続型信託には受益権存続型というものもあり、この場合は、受益権を相続で取得しますので、相続税が課されるほか、遺留分減殺請求の対象ともなりますので、信託契約時には十分にご注意ください。

受益権を第三者に移転した場合

受益権は債権の一種ですので贈与や売買が可能です。
受益者が受益権を無償で第三者に譲渡した場合には、新しい受益者に対して贈与税が課されます(受益者が法人であれば法人税が課されます)。また、有償で受益権を譲渡した場合には、元の受益者に対して譲渡所得税が課されます。

事業承継では家族信託は節税につながる

家族信託は、柔軟な相続対策を可能とするものですが、相続税・贈与税は通常に課税されますので、節税対策としての意味合いはほとんどありません。

ただ、事業承継が絡んでいる場合は節税となることがあります。相続トラブルを避けるために、よく、オーナーが所有している株式や不動産を会社に売却し法人所有とする手段がとられますが、この場合、売却した個人側に譲渡所得税、取得した法人側に不動産取得税がかかり、高額な税金負担となることが多いです。

一方、家族信託契約で、法人を受託者として財産管理をさせ、また株式の議決権を集結させながら、一次受益者を委託者、二次受益者を相続人とすれば、信託契約時点では税金は課税されません。委託者が死亡した後は、会社の経営に影響を与えることなく、株主としての利益だけを相続人に移転させることができます。

まとめ

家族信託では、実質的に利益を受ける「受益者」が納税の義務を負っています。一般的には節税にはならないため、見落としで想定外の税金を課税されないように、税理士に相談をすることをおすすめします。

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