孫への教育資金贈与の非課税制度を恒久化の方針

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孫 教育資金

お子さんの教育費用の捻出に苦労している親御さんは多いと思います。できれば、自分たちの親、つまりお子さんの祖父母の力を借りたいというのが本音でしょう。

文部科学省は平成31年度税制改正要望にて、今まで期限付きであった「孫への教育資金贈与の非課税制度」の恒久化を求める方針であることを明らかにしました。今回は、その制度の現状と今後の展望を詳しく解説していきます。

1.教育資金の贈与の非課税制度

1-1.制度について

景気を良くしたり、経済を発展させるためには、物を購入したりサービスの提供を受けたりと、お金を動かす必要があります。そのため、政府ではいくつかのお金の流れを活発化させるための政策を進めています。その1つが、教育資金の贈与の非課税制度です。

教育資金の贈与の非課税制度とは、簡単にいうと、祖父母などの直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合、贈与税を非課税にするという制度のことです。贈与税を非課税にするというメリットの大きな制度ですが、この制度を受けるには次の要件があります。

①期間2019年3月31日まで
②贈与者
(贈与する人)
受贈者の父母や祖父母などの直系尊属に限る。
贈与者に年齢制限はなし。
③受贈者
(もらう人)
30歳未満の者に限る。
④目的教育資金の贈与:
教育資金は「学校等に支払われる教育費」と
「学校等以外支払われる教育費」に分かれる
⑤非課税枠「学校等に支払われる教育費」:子や孫1人あたり最大1,500万円
「学校等以外支払われる教育費」:子や孫1人あたり最大500万円

1-2.教育資金とは

この制度は、一定金額の教育のための資金を贈与した場合、贈与税が非課税となるものです。しかし、ひとくちに教育といっても、さまざまなものがあります。ここでは、非課税の対象となる教育資金の範囲を確認しておきましょう。

1.学校等に支払われる教育費

学校等に支払われる教育費とは、学校等に直接支払われる教育費のことです。ここで問題になるのが、「学校等」や教育資金の具体的な内容です。それぞれ見ていきましょう。

①学校等

ここでいう学校等とは、学校教育法で定められている学校のことで、幼稚園小・中学校高校大学だけでなく、特別支援学校高等専門学校大学院専修学校認定こども園保育所などの各種学校も含みます。

また、外国にあるその国の学校教育制度に位置づけられている学校や、国内にあるインターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されたもの)や 外国人学校(文部科学大臣が高校相当として指定したもの)も学校等に含みます。

②教育資金

教育資金とは、学校での教育に通常必要となる金銭のことです。具体例としては次のようなものが該当します。

  • 入学金や授業料
    授業料や保育料だけでなく、入学金入園料施設設備費入学(園)の検定料なども該当します。入学金や入園料、施設設備費や入学(園)の検定料
  • 教育に伴って必要な費用
    学用品費修学旅行費学校給食費などが該当します。ただし、学用品費については、原則、学校に支払ったものに限られます。

2.学校等以外に支払われる教育費

学校等以外に支払われる教育費とは、学校等以外の者に直接支払われる教育費のことです。ここでも問題になるのが、「学校等以外の者」や教育資金の具体的な内容です。
それぞれ見ていきましょう。

①学校等以外の者

学校等以外の者とは、一般的な塾や習い事の教室などです。具体的には次のようなものが該当します。

  • 学習に関する教室…学習塾や家庭教師そろばんキャンプなどの体験活動など
  • スポーツに関する習い事…スイミングスクール野球チームなど
  • 文化芸術活動に関する習い事…ピアノ教室絵画教室バレエ教室など
  • 教養の向上のための習い事…習字、茶道など

また、学校指定の教科書や体操服を販売している業者も、学校等以外の者に含まれます。

②教育資金

ここでいう教育資金とは、塾や習い事など、学校等以外の者に直接支払われる金銭のことです。具体例としては次のようなものが該当します。

  •  月謝や入会金
    月謝入会金参加費施設使用料などが該当します。
  • 教育に伴って必要な費用
    テキストユニフォームなどの学用品費で、通っている塾や習い事の教室に直接支払うものが該当します。通っている塾や習い事の教室ではなく、書店や専門店で購入したテキストやユニフォームなどの学用品は該当しないので、注意が必要です。
  • 学校等で指定されている業者から購入した用具など
    中学校や高校などの学校で、教科書や副教材、制服や体操着などを、学校以外の業者で購入することがあります。この場合は、学校に直接支払いをしていないので、学校等以外に支払われる教育費とされます。

ただし、学校等が書面で業者を通じての購入や支払を保護者に依頼している場合は、非課税枠500万円の学校等以外支払われる教育費に含めることができます。

私服の学校の衣服代など、学校等が書面で業者を通じての購入や支払を保護者に依頼してないものは、教育資金には含まれないので、注意が必要です。

1-3.受贈者について

教育資金の贈与の非課税制度は、祖父母から孫へ贈与した場合が対象になるという話がよく例に出されますが、実際には、祖父母から孫への贈与だけではありません。父母などの直系尊属からの贈与も含まれます。ただし、叔父・叔母や兄弟からの贈与は対象外となります。

受贈者(もらう側)についても、孫だけでなく、子やひ孫も該当します。また、養子に対する贈与についても認められます。

2.手続き方法

ここまでは、教育資金の贈与の非課税制度の内容について見てきました。ここからは、手続き方法について見ていきましょう。

実は、教育資金贈与の非課税制度は、手渡しや口座に振込などで、直接、受贈者に金銭を渡した場合は認められません。最初に教育資金をまとめて(一括で)信託銀行等に預け入れする必要があります。受贈者は、信託銀行等に預け入れられた教育資金を、必要な都度引き出して使います。
手続き方法の流れは次のとおりです。

①信託銀行等に教育資金口座を開設

まずは、信託銀行等に、この制度のための教育資金口座を開設します。

②教育資金口座に資金の預け入れ

贈与する人は、教育資金口座に一括して、教育資金を預け入れます。これで、贈与が完了します。

③教育資金非課税申告書の提出

教育資金の贈与の非課税制度を利用するためには、所轄の税務署に教育資金非課税申告書を提出する必要があります。ただし、教育資金非課税申告書の提出は、受贈者が行うのではなく金融機関を経由して行う必要があります。

また、申告書には、信託または贈与に関する契約書などの写し、受贈者の戸籍の謄本または住民票の写しなどの書類を添付する必要があります。

④教育資金の引き出し

受贈者は教育費の支払いの都度、教育資金を教育資金口座から引き出します。教育資金を教育資金口座から引き出すタイミングには次の2つがあります。

  • 先に授業料などの教育代金を支払い、後で資金を引き出す方法
    先に支払った領収書等の資料に基づいて、教育資金を教育資金口座から引き出します。
  • 先に資金を引き出す方法
    必要な教育資金を先に教育資金口座から引き出し、後に領収書等の資料を金融機関に提出します。

どちらの方法で引き出すかは、あらかじめ金融機関に相談しておく必要があります。

3.教育資金の贈与の非課税制度の注意点と今後の展望

3-1.こんな場合はどうなる?

教育資金の贈与の非課税制度の注意点を見ていきましょう。

①教育資金を使いきれなかったら?

教育資金口座にある教育資金を使えるのは、受贈者が30歳になるまでです。そのため、受贈者が30歳になると、信託銀行等との教育資金管理契約が終了します。教育資金の贈与の非課税は、使った教育資金のみが対象です。

使いきれなかった教育資金については、その年の贈与税の対象になります。贈与税には110万円の基礎控除があるため、使いきれなかった教育資金が110万円を超える場合は、贈与税の申告と納税が必要です。

②受贈者が死亡したら?

受贈者が死亡した場合も、信託銀行等との教育資金管理契約が終了します。この場合、教育資金口座に教育資金が残ることもしばしばあります。しかし、受贈者が30歳に達して、教育資金管理契約が終了した場合と異なり、受贈者が死亡して使いきれなかった教育資金について、贈与税がかかるということはありません。

③贈与契約書の作成が必要

贈与は、贈与者と受贈者の両者の意志があって初めて成立します。教育資金の贈与の非課税制度を利用する場合は、両者の意志を確認するため、通常、贈与契約書を作成します。

また、信託銀行等で口座を開設する際も、贈与契約書が必要な場合が多いです。雛形などは、信託銀行等で用意していることも多いので、贈与契約書の作成方法がわからなければ、信託銀行等に相談してみるのも良いでしょう。

3-2.教育資金の贈与の非課税制度の今後の展望

現在、教育資金の贈与の非課税制度は、2019年3月31日までの時限的なものとなっています。そこで、文部科学省では、税制改正要望で、教育資金の贈与の非課税制度の恒久化を求める方針であることが明らかになっています。また、親の将来の子育てへの不安を緩和するためにも、30歳未満という年齢上限の引き上げの検討も要求するとのことです。

子育て世代にとって、教育資金の贈与の非課税制度の改正は、とても大きな影響を与える事項の1つであることは間違いありません。今後の展望に注視する必要があるでしょう。

まとめ

この制度の手続き方法は少し複雑であるため、難しいと感じた方も多いでしょう。しかし、この制度はお子さんの教育にあたっては、かなり利益の多いものです。個人での申請が困難だと判断した場合は、専門の税理士に依頼することも手段の一つとしておすすめします。

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