2018年のアパートローン金利の最新情報

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かぼちゃの馬車事件(シェアハウス投資に伴うトラブル)をきっかけに、アパートローンについてメディアに取り上げられる回数が急激に増えてきました。現在のアパートローンの状況はどうなっているのでしょうか。アパートローン金利の最新情報とともに解説します。

1.アパートローンの現状

アパートローン(アパート向け融資)とは、土地を所有する個人に対し、金融機関が行うアパート建設資金の融資のことです。アパートローンの仕組みなど詳細については、ここでは省きます。

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さて、アパートローンを取り巻く環境は、この1年ほどで大きく変化しました。詳しく見てみましょう。

1-1.アパートローン新規融資額の動向

日本銀行が発表している「貸出先別貸出金」によると、「個人による貸家業向け」の設備資金新規貸出額(銀行勘定、信託勘定、海外店勘定の合計)は、昨年来、次のように推移しています。

期間設備資金新規貸出額
2017年第1四半期10,702億円(前年比▲0.5%)
2017年第2四半期7,228億円(前年比▲14.1%)
2017年第3四半期8,590億円(前年比▲21.1%)
2017年第4四半期6,678億円(前年比▲22.3%)
2018年第1四半期8,978億円(前年比▲16.1%)
2018年第2四半期5,603億円(前年比▲22.4%)

アパートローン新規融資額は、2015年第1四半期から8四半期連続で前年比大幅なプラスで推移してきました。しかしながら、2017年第1四半期に前年比微減に転じて以来、直近まで6四半期連続で前年割れが続いており、それまでの過熱した状態から一転、急速に勢いが失われていることがわかります。

1-2.アパートローン残高の動向

では、アパートローンの残高はどうなっているのでしょうか。
全銀協(全国銀行協会)が毎月発表している「アパートローン残高」(全国銀行116行の合計。内訳は都市銀行等11行、地方銀行64行、地方銀行Ⅱ41行)の昨年来の動きを時系列で見てみましょう。

日付アパートローン残高
2017年12月末226,450億円(前月比+0.1%)
2018年1月末226,138億円(前月比▲0.1%)
2018年2月末225,995億円(前月比▲0.1%)
2018年3月末229,197億円(前月比+1.4%)
2018年4月末228,318億円(前月比▲0.4%)
2018年5月末228,748億円(前月比+0.2%)
2018年6月末229,056億円(前月比+0.1%)

直近の残高と2017年12月末残高を比較してみると、若干増加しています。新規融資自体は減速していても、アパートローンの返済はさほど進まず、残高が高止まりしている様子が伺えます。

1-3.かぼちゃの馬車事件の影響

アパートローンの現状を考えるにあたって、もうひとつ見逃せないのが、いわゆる「かぼちゃの馬車事件」の影響です。
「かぼちゃの馬車事件」とは、スマートデイズが運営していた投資用シェアハウスにおいて、家賃支払いができなくなり、同社が経営破たんした事件です。

スマートデイズは、家賃保証を売り物に多くのオーナーを集めていましたが、経営破たんにより多くのオーナーが被害を受けました。そしてこのかぼちゃの馬車向け融資において、「地方銀行の優等生」とまで言われたスルガ銀行が、審査書類の改ざん等不正をはたらいていたことが発覚し、大きな社会問題になりました。この問題はまだ全く解決しておらず、現在のアパートローン、特に新規融資(の抑制)に大きな影響をおよぼしていると思われます。

1-4.日銀、金融庁のスタンス

日銀や金融庁は、近年、金融機関の不動産向け融資の拡大に警鐘を鳴らしてきました。なかでも、地方銀行のアパートローンへの傾注が看過できない状況にあったことに加え、前述のかぼちゃの馬車事件が起きたことから、今年に入ってからも厳しいスタンスを採り続けています。

例えば、日銀は、今年4月19日に公表した「金融システムレポート」で、金融庁は、今年7月13日に公表した「平成29事務年度 地域銀行モニタリング結果とりまとめ」で、それぞれ地方銀行の貸出スタンスやリスクテイクのあり方について問題点を厳しく指摘しています。

1-5.アパートローンの現状

整理しますと、アパートローンは、サブリースの広まりとも相まって2016年度末ごろまで急激に過熱し「アパートローンバブル」とまで言われていましたが、かぼちゃの馬車事件や金融庁、日銀のスタンスもあり、その後急減速して少し落ち着いているのが現状です。加えて、金融機関のアパートローンの審査も、特に2017年下半期以降、急速に厳しくなっています。

2.アパートローン金利の最新状況

次に、アパートローン金利の現在の状況を確認しましょう。

2-1.日銀の金融政策修正の影響

アパートローンの金利水準自体は、実はこの1年ほどでさほど変わっていません。日銀の金融政策に大きな変更がなく、市場金利は長短金利ともあまり大きく動かなかったからです。

しかしながら日銀は今年7月31日に、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」として、新しい金融政策の枠組みを発表しました。これは、これまでの金融政策を微修正するものですが、長期金利の一定程度の上昇を容認したところに大きな特徴があります。現在の金融市場は、この長期金利の上昇の容認幅を見極められておらず、プロの国内債券運用者でも見方が大きく分かれていますが、この長期金利の動向によっては、アパートローン金利(特に期間の長い固定金利)が今後上昇する可能性があります。

2-2.現在のアパートローンの金利動向

アパートローンの金利は、住宅ローン金利と異なり、金融機関のホームページや商品概要書で公表されていないことが多く、実態の把握はなかなか難しいといえます。「アパートローン金利」という呼称自体も決して一般的とはいえません。

また、都市銀行、地方銀行、信用金庫、ノンバンクでは、業態ごとに金利および貸出条件がかなり異なり、金利のレンジ(幅)も他のローンよりかなり大きくなっています。
一例を示しますと、ある地方銀行の2018年8月18日現在のアパートローンの金利は、

  • 変動金利型:年0.900%~8.400%
  • 固定金利型:年1.300%~9.000%

となっています。高低の差が大きすぎて、あまり参考にならないかもしれません。
あるノンバンク系金融機関の2018年8月18日現在のアパートローンの金利は、

  • 変動金利型:年2.675%~3.675%(店頭表示金利)
  • 3年固定特約型:年2.300%~3.300%
  • 5年固定特約型:年2.500%~3.500%

となっています。前述の地方銀行よりは金利の幅が狭くなっています。
なおもちろん、金利が低い金融機関は、その分審査が厳しいと考えておいたほうがよいでしょう。

3.今後の展望

見てきたように、現在のアパートローンマーケットは少し落ち着いています。しかしながら、相続対策や、低金利に悩む人の投資先として、アパート経営のニーズは健在です。また、「公的年金の足しにしたい」と、毎月の家賃収入のためにアパート経営をはじめる人も変わらずいます。

毎月分配型の投資信託が、金融庁の規制もあり販売自粛が続いていることから、アパート経営(による毎月の家賃収入確保)がその受け皿になっている面も否めません。不動産業者も積極的な販売を続けているため、バブルが再燃する可能性もあります。日銀の今後の金融政策と併せ、注意深く見ておく必要があるといえます。

4.まとめ

アパート経営自体は悪いものでは決してなく、リスクを正確に把握し、長期的な収支計画をしっかり立てれば、アパートローンを活用して上手に資産活用することは十分可能です。しかしながら、自分で勉強もせず、不動産業者に勧められるまま安易な考えではじめる人がいつまでたっても多いのも事実で、これがかぼちゃの馬車事件をはじめとする数々のアパートローントラブル(サブリーストラブル含む)につながっています。

不動産投資で「ラクしてもうける」ことはあり得ないため、アパートローンを利用する場合は、事前に慎重に検討するようにしましょう。

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