教育資金贈与の非課税3年延長、結婚・子育て資金は2年延長

教育 書籍 本

(2022年12月12日時点)
政府は、教育資金を一括贈与すると非課税になる特例制度を、3年延長する方向です。結婚・子育て資金の一括贈与についても2年延長する方向です。

1.教育資金の贈与非課税が3年延長

1-1.教育資金贈与の非課税特例とは

教育資金贈与の非課税特例とは、簡単にいうと、子や孫が祖父母などの直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合に、その贈与にかかる贈与税を非課税にするという制度のことです。この制度は、贈与税の非課税制度のため、無制限に非課税にできるわけではなく、対象となる人、金額、教育資金の範囲が細かく定められています。

①対象となる人

贈与者(贈与する人)は、受贈者(もらう人)の父母や祖父母などの直系尊属(年齢制限なし)、受贈者は30歳未満の者に限るという制限があります。

また、受贈者の前年の合計所得金額は1,000万円以下に限ります。

②金額

教育資金には、「学校等に支払われる教育費」と「学校等以外に支払われる教育費」の2つがあります。「学校等に支払われる教育費」は最大1,500万円、「学校等以外に支払われる教育費」は最大500万円が非課税となります。

③学校等に支払われる教育費

学校等とは、学校教育法で定められている学校のことです。一般的には、幼稚園、小・中学校、高校、大学ですが、特別支援学校、高等専門学校、大学院、専修学校、認定こども園や保育所などの各種学校や、外国にあるその国の学校教育制度に位置づけられている学校、国内にあるインターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されたもの)や 外国人学校(文部科学大臣が高校相当として指定したもの)も学校等に含みます。

ここでいう教育費とは、学校での教育に通常必要となる金銭のことです。例えば、授業料や保育料、入学金や入園料、学用品費(学校に支払ったもの)、修学旅行費、学校給食費などです。

④学校等以外に支払われる教育費

学校等以外とは、塾や習い事の教室などです。一般的には学習塾や家庭教師、そろばん、スイミングスクールや野球チーム、ピアノの個人指導や絵画教室などが該当します。

ここでいう教育費とは、塾や習い事など、学校等以外の者に直接支払われる金銭のことです。例えば、月謝や入会金、テキストやユニフォームなどの学用品費(塾などに直接支払うもの)、学校等で指定されている業者から購入した用具などです。

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1-2.3年間延長

もともと、教育資金贈与の非課税措置は、2019年3月31日までと期間が決まっていましたが、何度か延長され、2023年3月31日までとなっていました。

しかし、高齢層に偏る資産を若年層に円滑に移し、若者の進学や学び直しを支援することをさらに推進するために、政府はさらに3年間延長する方向で検討しています。

2.結婚・子育て資金の贈与非課税が2年延長

2-1.結婚・子育て資金贈与の非課税特例とは

結婚・子育て資金贈与の非課税特例とは、簡単にいうと、子や孫が父母・祖父母などの直系尊属から結婚・子育てのための資金の一括贈与を受けた場合に、その贈与にかかる贈与税を非課税にするという制度です。

①対象となる人

贈与者(贈与する人)は、受贈者(もらう人)の父母や祖父母などの直系尊属(年齢制限なし)、受贈者は18歳以上50歳未満の者に限るという制限があります。

また、受贈者の前年の合計所得金額は1,000万円以下に限ります。

②金額

結婚・子育て資金の全体は最大1,000万円まで非課税となり、そのうち結婚資金は最大300万円まで非課税となります。

③該当する費用

結婚関連の費用
  • 婚礼費用:結婚式場や披露宴会場等に支払う費用
  • 新居の費用:婚姻日の1年前後に賃貸借契約をした物件に対して、契約日から3年以内に支払うもの
  • 引っ越しの費用:婚姻日の1年前後に引越ししたもの
子育て関連の費用
  • 妊娠関連:不妊治療、妊婦検診など、国内の医療機関における治療費
  • 出産費用:出産のために入院から退院のために要する費用
  • 育児費用:子を預かる施設に対して支払う費用、子供の医療費
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2-2.2年間延長

結婚・子育て資金の贈与の非課税特例についても、もともと2019年3月31日までと期間が決まっていましたが、何度か延長され、2023年3月31日までとなっていました。

こちらも、教育資金の贈与と当道に、政府はさらに2年間延長する方向で検討しています。

監修
税理士相談Cafe編集部
税理士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続税や相続周りに関する記事を500近く作成(2023年4月時点)。
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