相続税の税務調査内容と税理士に依頼するメリット

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税務署

相続というのは、相続が発生してから財産の把握・遺産の分割・相続税の申告と納付というのが一般的な流れです。相続税を納めればすべて終了といいたいところですが、最後にもうひとヤマあります。それが相続税の税務調査です。この税務調査を乗り切ってこそようやくすべて終了です。

この最後のヤマである相続税の税務調査の内容、そして税理士に相続手続きから申告までを依頼するメリットについて解説します。

1.相続税の税務調査の内容

1-1.税務調査の実態

国税庁は毎年、税務調査に関する統計をホームページで公表しています。平成28年11月に発表された「平成27事務年度における相続税の調査の状況について」(出典:国税庁)によると、相続税の税務調査の実態は次のとおりとなっております。(平成27事務年度とは、平成27年7月~平成28年6月の間のことです。)

  • 相続税の申告件数 103,043件(うち、相続税0円の申告30,027件)
  • 税務調査実施件数 11,935件(相続税が発生した申告のうちの16.3%)
  • 申告漏れ等の件数 9,761件(調査実施件数の81.8%)

みなさん、このデータをどうお感じになるでしょうか?
注目すべきは調査実施件数より、申告漏れ等の件数:81.8%という割合です。つまり「税務調査に伺います」と税務署から連絡があった時点で何かしらの申告漏れがあるという可能性が非常に高いということです。

1-2.実施時期は1年半~2年後

相続税の税務調査は相続税の申告期限(相続開始後10か月)から1年半から2年を経過した頃に行われます。

理由は2つ。ひとつは遺族への配慮です。被相続人が亡くなり遺族の悲しみも癒えない時期に税務調査を実施したところでまともに調査などできません。逆に遺族からの反感を買うだけです。

もう一つの理由、こちらの理由が本音でしょうが、この1年半や2年という期間に税務署は相続財産の漏れがないか内々に調査を行っています。銀行や証券会社など、被相続人と取引があったであろう金融機関に文書照会等で情報を得ています。この内々の調査が81.8%という非常に高い申告漏れの指摘割合を可能にしているのです。

1-3.季節は7月~12月ごろ

相続税の税務調査は1年間通して、いつでも行われていますが、特に多い時期が、「7月~12月ごろ」と言われています。これは「2月~6月ごろ」は確定申告とその税務調査が行われる時期で、こちらに税務署の人員を割く必要があるからです。

また、あまり知られていませんが、税務署の事業年度は「7月から6月まで」となっています。7月になると、税務署内での人事変更もあり、心機一転、新たに調査に意気込む税務調査官たちがやってくるのです。

1-4.調査の対象とされる人

基本的には被相続人から財産を取得した全員(相続人)が調査の対象となります。また税理士の関与がある場合には、財産の評価など専門的な内容も含まれるため、申告書を作成した税理士も調査の現場に立ち会うのが一般的です。
ただし相続人全員が調査当日に集まるのは困難ですから、実務的には配偶者など相続人代表と税理士で税務調査に臨むことが多くなります。

1-5.対象期間は通常2日間

調査に来るのは基本的に税務調査員2名程度で、通常2日間かけて調査をします。しかし、調査が困難になる場合には、1ヶ月程度もかかる場合があります。特に、最近は長期化する傾向があります。

1-6.税務調査の時効はある?

相続税の時効は5年です(申告期限から5年後)。5年以上経過すれば、たとえ税務調査で指摘されたとしても、相続税を納税する義務はありません。
ただし、脱税を意図して隠ぺい・不正を行っている場合には時効は7年に延長されます。

【関連】遺産相続で時効・期限があるもの/ないもの
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2.具体的な税務調査の内容など

では税務調査とは実際にどのような感じで行われるのでしょうか?その内容や流れについて見ていきましょう。

2-1.事前の調査連絡

税務調査が実施される場合には基本的に、調査を行いたい旨の電話連絡が事前に入ります。税理士関与があり、申告時に「税務代理権限証書」という委任状を提出していれば税理士に連絡があります。ご自身で申告書を作成していれば配偶者など中心的な相続人に連絡があります。

まれに特別調査といって、財産計上漏れが確実で、しかもそれが意図的であると疑われるような場合には事前連絡なしに相続人の自宅に税務職員が突然訪れるケースもあります。

2-2.自宅に調査官2名が訪れる

午前10時、税務職員がいよいよやってきます。調査場所は被相続人が生前住んでいた居宅となります。多くの場合、税務職員2名で調査が実施されます。

なぜ2名か?1人は相続人からの聞き取りにより情報を引き出し、もう1人は家の中を見回したり残された書類などを確認するなど、それぞれ役割分担があるからです。また、1名だと調査当日の質疑応答のやりとりで、後から「言った、いや言ってない」など揉める可能性があるため、1人が会話で聞き取りをするならもう1人はそれをしっかりメモして言質を取るといった理由もあるからです。そして現場での税務調査は2日間行われるのが一般的です。

2-3.税務調査で調べられること

では実際に税務調査当日に現場で調べられたり聞かれたりすることを列挙したうえでその狙いについてコメントしていきます。
税務署は事前に金融機関などを内々に調査すると先ほど述べました。現場の税務調査ではその事前調査で得た情報の裏づけを確認するほか、家の中をくまなく見ることで事前調査では知りえなかった新たな情報を得ることで、相続財産の計上漏れに関する手がかりを探ります。

・被相続人の経歴や性格、趣味など

被相続人の経歴を聞くことで生前の収入状況を探ります。また派手で社交的であれば収入のわりに財産が残っていないことも考えられますが、堅実な性格であれば収入に見合う財産が残っていることが予想されます。また趣味からはゴルフ会員権や書画骨董品の有無が推測されます。

・家の中にあるカレンダーや名刺、被相続人の手帳など

高額な絵画や貴金属の有無だけでなく、税務職員は家の中に掛けてあるカレンダー、粗品類なども必ずチェックしています。これらのカレンダーや粗品が金融機関からのものであれば、その金融機関との取引があったことが予想され、預金・株式の計上漏れを調べる手がかりとなります。また名刺や手帳は被相続人の交友関係のほか、筆跡を知ることができます。また後に述べますが筆跡は印鑑とともにその財産が誰のものであるかを判断するときに非常に重要な要素となります。

・蔵や倉庫などがある場合

立派な蔵や倉庫がある場合、必ず「中を見せて欲しい」ということになります。もしかするとその中にお宝が保管されているかもしれませんので。

・貸金庫の開披

貸金庫があれば実際に銀行まで同行し、中を確認されます。貸金庫があれば通帳から手数料が引き落としされていますのでその存在は隠しようがありません。税務調査のまえ、いや相続税の申告をする前に貸金庫の中はご自身で必ず確認してください。

・被相続人が生前に使用していた印鑑

「被相続人が使われていた印鑑を全て出してください」との要求も必ずあると思ってください。そして用意した紙に実際に押印し印影の確認を行います。ところで先ほどの筆跡もそうですが、どうしてこのような事をチェックするのでしょうか。

それは「名義財産」の有無を調べるためです。「名義財産」とは、本来は被相続人の財産であるにもかかわらず、配偶者などの名義となっている資産です。例えば、配偶者名義の預金として相続財産に計上していなかった預金があるとします。その届出印がいつも銀行印として使用していた被相続人の印鑑であったり、申込書が被相続人の筆跡であったりするとその財産はいくら配偶者名義であったとしても被相続人の財産であると判断されてしまいます。預貯金に限らず「名義財産」は税務調査においての最大のポイントとなります。

・預貯金等、相続人に多額の財産がある場合の出どころ

税務署は被相続人だけでなく家族名義の財産も事前調査をしますから、家族名義となっている預貯金についてもある程度把握した状態で税務調査に来ます。

結婚以来ずっと専業主婦であった配偶者に預金が1億円あったとします。すると税務調査において「このお金はどうやって作られたのですか?」となります。「分かりません」とか「主人が私名義に作ってくれました」とでも言おうものならアウトです。この1億円は被相続人の財産であると判断され、1億円の相続財産計上漏れとなってしまいます。

・相続開始前の被相続人口座からの預金引出があった場合の資金使途

預貯金は亡くなった日の残高を財産として計上しますが、被相続人が亡くなる前に預金の引き出しが行われ残高が減少している場合にはその使途が必ず質問されます。他の家族名義の口座に移ってないか、引き出したまま現金で置いていないかをチェックするためです。

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3.税理士への依頼について

3-1.税務調査には税理士の立会が必須

以上、税務調査の流れや実際に調査されることについて見てきましたが、普段から税務職員との接点もない相続人の皆様だけでこれらのことを全て対応するのは非常に困難です。税務調査はたとえ現場での調査が終わっても修正事項について税務署との交渉も必要です。ですから税務調査には税理士に立ち会ってもらってください。

3-2.相続税の申告から依頼しよう

相続税の申告は有形無形の財産をすべて金額で評価して財産額と納税額を決定する作業です。預貯金なら残高がすぐ分かりますが、土地や建物といった不動産、経営する会社の株式を評価するのは専門家である税理士であっても難しい場合もありますから、ご自身で正しく評価するのはなおさら難しいでしょう。

また、税務調査だけを税理士に依頼するより申告から依頼する方が税理士にも責任を持って税務調査に対応してもらえるでしょう。

税理士

4.税務調査・申告を税理士に依頼するメリット

4-1.税務調査を防ぐ

税理士の署名がない相続税の申告に対しては税務調査に入られやすくなります。相続税法に精通していない一般の方がご自身で申告するとどうしても評価誤りや財産の計上漏れが起こりやすくなります。税務署もそこのところは十分に承知しています。

一方で、税理士がきちんと調査を行ったうえで相続税の申告書を作成している場合、税務調査を省略できる可能性があります。

まず、相続税の申告書を税理士が作成した場合、その申告書に「税務代理権限証書」(委任状)を添付します。この証書は、税理士法第30条に規定されているもので、税理士が作成したことを証明するものです。
さらに、申告書の作成にあたって税理士がどのように相続人の相談に応じて財産を調査し相続税の計算を行ったのかを記した「書面」を「添付」することができます。これは「書面添付制度」と呼ばれており、税理士法第33条の2に規定されているものです。

この「書面」が「添付」された申告書を提出している場合、税務署は調査を行う前に、まずその税理士を税務署に呼んで聴取をしなければなりません。そして、その聴取で不明だった内容が解消されれば税務調査は省略されることになります。

税理士からの聴取で税務調査がなくなるわけではありませんが、聴取ですむ簡単な内容であれば、あえて税務調査を行う必要もなく、相続人の負担もなくてすみます。

以上は、相続税申告を税理士に依頼していることが前提ですので、税務調査まで見越したら、申告の段階で税理士に依頼すべきといえます。

4-2.税務職員のペースになるのを防ぐ

税務調査の現場において税理士が立ち会えば一定の配慮をもって税務職員も行動しますが、ご自身だけでの税務調査であれば完全に税務職員のペースで調査が行われることの予想が簡単につきます。

税務調査とは読んで字のごとく、申告に間違いや漏れがないかどうか調査をすることですが、単純に調査して終わるほど甘いものではありません。単純に調査して終わるなら、すでに説明した税理士からのヒアリング(聴取)で事は済むはずです。それでも税務調査が行われるのは、やはり怪しいと目星をつけているか、税務署内の内部事情として調査を行う必要があるのでしょう。

税務調査官は、なんとしてでも申告漏れを見つけて修正申告させると意気込んでやってきます。調査官の多くは正義感でやっていることを信じたいのですが、中には、強引な調査を行って無理矢理認めさせてしまう調査官もいます。税務調査とは、まさに闘いなのです。しかも、相手は、日夜調査に明け暮れている腕を磨いているプロの調査官です。そのプロを相手に、素人の相続人が対応をすることは、最初から負けたいですと言っているようなものです。

ここは、ぜひ税理士を味方につけて調査に臨みたいものです。

4-3.調査後、税務署との交渉を行う

税務調査が行われた後には、申告漏れ等に関して指摘が入り、修正申告をするように促されます。それに従って、修正申告をしてしまうと税務署の言い分を認めたことになりますので、後から修正することはほぼ不可能となります。そして、修正申告をすれば、過少申告加算税と延滞税を課されます。

もし、税務署の指摘に対して納得いかない内容があれば、それを否認するべきです。税務署の対応がいい加減であれば、税務署に乗り込んででも、こちらの意見を述べる必要もあるでしょう。税務調査官との闘いは、互いに納得できるまで続きます。それを自分たちだけで行うのは非常に大変なことです。

相続に強い税理士であれば、納得のいくまで税務署と戦ってくれます。また、仮に修正申告が必要になったとしても、追加で払うべき税額がなるべく少なくなるように最大限、努力してくれます。

まとめ

以上、述べたように、それほど相続税は税務調査は厳しいものです。数年に一度のペース行われる会社の税務調査と違い、相続の場合はこの1度きりの税務調査ですから税務職員の態度も真剣そのものです。相続の経験が豊富な税理士であればきっと大きな味方となってくれるでしょう。

 

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