相続手続きの流れ

相続手続き

 1.死亡~申告納付の流れと期限

被相続人の死亡から相続税の申告納税を終えるまで10ヶ月しかありません。10ヶ月もあれば余裕と思う人もいるかもしれませんが、この10ヶ月はバタバタ過ぎていく人がほとんどです。

相続が発生したら、まず死亡届から始まり、その後も様々な手続きが必要となります。
実際に相続が発生してから慌てることのないように、一連の手続きをおさえておきましょう。

2.3ヶ月以内にやるべきこと

2-1.被相続人の死亡

被相続人が死亡した時点のことを、「相続の開始」といいます。

2-2.①死亡届、その他各種届出

2-2-1.7日以内に死亡届を提出

被相続人が亡くなったあと、最初に行う届出が「死亡届」です。 死亡届提出の流れは次の通りです。

死亡届け提出小さい

(1)医師に「死亡診断書」または「死体検案書」を記入してもらう

これらは死亡届と同じ用紙になっていますので、まず医師に記入してもらいます。 死亡診断書は病院や在宅医療など、医師の管理下の元で死亡や自然死の場合に書かれます。 死亡検案書は不慮の事故や事件などによる死亡の時に書かれます。

(2)死亡届けに記入する

医師に記入してもらったあとの同じ用紙の死亡届に、必要事項を記入し押印します。

(3)市区町村役場に提出する

死亡を知った日から7日以内に、死亡届を市区町村役場(被相続人死亡地、本籍地、届出人の所在地のいずれかの役場)に提出します。
提出期限は意外と短くなっています。大切な家族が亡くなって気持ちが沈むうえに、お葬式の準備などバタバタ忙しい時期ですが、忘れないように注意しましょう。

(4)役所から「死体埋葬火葬許可証」をもらう

埋火葬許可申請書を死亡届一緒に市区町村役場に提出すると、「死体埋火葬許可証」が発行されます。 これは火葬や埋葬の許可のための証書であり、発行されるまでは死体の火葬や埋葬はできません。

許可証2

2-2-2.その他の届出について

死亡届の他にも、被相続人死亡に関する届出は色々あります。中でも最低限必要な手続きは次の通りです。

  • 世帯主変更
  • 健康保険の手続き
  • 年金の手続き
  • 公共料金等の名義変更
  • 金融機関への届け出

これらは、残された家族の今後の生活にも関わる重要な手続きです。忘れることなく確実に行いましょう。

詳しくは、下記の「相続発生後に家族が必要な手続き」にまとめていますのでご覧ください。

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2-3.②遺言書の確認、検認

ここからが、いよいよ遺産相続の手続きの始まりです。
遺産相続は遺言書があるかないかで大きく変わってきます。 まずは遺言書を探しましょう。

遺言書がある場合には、被相続人が前もって家族に遺言書の場所を知らせていることが多いですが、場合によっては密かに残されている場合もあります。
遺言がある場合には、基本的にはそこに書かれている内容通りに遺産分割を進めていくことになります。

【遺言があった場合の注意点】

遺言書を勝手に開封してはダメ

遺言書が、被相続人が自分で作成した「自筆証書遺言」の場合には、家庭裁判所で開封し「検認」してもらう必要があります。 検認前に開封してしまうと、その内容の偽造や変造が可能になってしまい、遺言書が無効になってしまう恐れがあります。
遺言書を見つけた場合、すぐに中身が見たい気持ちは理解できますが、絶対に開けてはいけませんスライド1

遺言の執行には「検認済証明書」が必要

家庭裁判所での検認後、「検認済証明書」を申請します。 これは「この遺言書は公にその有効性が認められました。」というための証明書であり、遺言の内容を執行することができるようになります。

2-4.③相続人、相続財産の確認

2-4-1.法定相続人の確定

誰が被相続人の財産を相続する相続人になるのか、確認し決定します。
遺産を受け取る人が確定しなければ、遺産分割協議や、相続税の申告納税などが進められません。 遺言探しと同様に、遺産相続を始める前にまず行うべきことです。

相続人の家族

【具体例】例えば上記の家族の場合には、おじいちゃんが亡くなると、おばあちゃん(配偶者)、お父さん(長男)、おじさん(次男)の3人が相続人となります。

被相続人に配偶者や子供がいない場合には、親や兄弟が相続人になりますし、親や兄弟もいなければ、甥や姪が相続人になる場合もあります。
また、遺産分割協議が始まったあとに、被相続人が認知した隠し子が出てきたなど思いもよらない事態も考えられます。

確実に法定相続人を把握しておくために、戸籍を取り寄せて調査をしましょう。
うちは大丈夫。そんなことあるはずがない。と家族の数だけ数えて終わりにしてはいけません。

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2-4-2.相続財産の確定

被相続人がどのような財産を残したかを確認します。相続には財産だけでなく負債も含まれますので注意しましょう。
ここで確認した財産債務をもとに、今後の遺産分割協議や相続税の申告計算が行われますので、漏れなく把握しなければなりません。

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2-5.④相続放棄(3ヶ月以内)

被相続人の財産を相続するということは、財産の他に債務も引き継ぐことになりますが、必ず相続しなければいけないわけではありません。
相続人は次の3つから相続方法を選択することができます。

  • 単純承認
    本来の相続の形で、全ての財産債務を相続する方法です。相続人から特に申し出がなかった場合には、この方法によるものとみなされます。必要な手続きはありません。
  • 相続放棄
    全ての財産債務を相続しない方法で、家庭裁判所への一定の手続きが必要です。
  • 限定承認
    財産と債務を相殺し、債務が残るようであればその部分は相続しない方法です。財産が残った場合にはその残った部分も相続します。家庭裁判所への一定の手続きが必要です。

相続放棄の期限

相続放棄には期限があります。
相続人は自分のために相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に相続の承認・放棄・限定承認を決めなければなりません。

また、単に口頭や書面で関係者に伝えただけでは放棄することができず、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出して手続きする必要があります。

相続放棄について詳しくは、関連記事「相続基礎知識シリーズ④相続は選択できる!相続の承認と相続放棄」をご覧ください。

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相続放棄

3.4ヶ月以内にやるべきこと

3-1.⑤所得税の準確定申告

被相続人死亡の年の1月1日から死亡の日までの期間に対して被相続人の所得がある場合には、相続の開始があったことを知った日から4ヶ月以内に、準確定申告をしなければいけません。
この準確定申告は、相続人全員に義務があります。

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準確定申告は通常の確定申告と何ら変わりありませんが、被相続人死後は何かと忙しいことなどから、作成が難しいという場合には税理士に依頼しましょう。

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4.10ヶ月以内にやるのが望ましいこと

この章で書かれることについては、法的な期限はありませんが、できるだけ早めに進めていくこと良いです。
相続税の申告・納付の期限は10ヶ月以内ですので、それまでに終えていることが望ましいでしょう。

4-1.⑥遺産分割の確定

遺産の分割には次のような方法があります。

  • 遺言による「指定分割」
  • 協議による「協議分割」
  • 家庭裁判所による「調停分割」
  • 裁判による「審判分割」

指定分割

スライド1 のコピー

指定分割とは、遺言がある場合にそれに従って遺産分割する方法です。

協議分割

分割協議 のコピー

協議分割とは、遺言書がなかった場合に遺産を誰がどのように相続するかを話し合って決める遺産分割のことで、この話し合いのことを遺産分割協議といいます。 そして、協議により確定した内容を記載した書類を遺産分割協議書といいます。

調停分割

家庭裁判所8センチ

調停分割とは、遺産分割協議で解決できない場合などには、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。調査委員(家事裁判官、調停委員)を交えて、遺産分割の合意に向けて話しあいを進めていきます。
相続人達だけの話し合いではまとまらなかったことも、第三者が介入することによって解決することも多いです。

審判分割

裁判官

審判分割とは、調停でも話がまとまらなかった場合の先で、家庭裁判所の裁判官によって、遺産分割審判が下されます。
ここまでの相続はもう「争続」となってしまっており、相続人間の人間関係は崩れてしまっている場合がほとんどでしょう。

遺産分割はなるべく、調停や審判までいくことなく、遺産分割協議で決めることを強くおすすめします。被相続人死後のトラブルを防ぐためには、やはり遺言を遺すことが効果的です。

4-2.⑦遺産分割協議書を作成し、遺産を分割する

遺産分割の方法や詳細が決まりましたら、遺産分割協議書を作成し、実際に遺産をそれぞれの相続人に分割します。
例えば、預金は各相続人口座へ振り込み、動産は引渡しを行います。

遺産分割協議書は自分たちで作成することもできますが、作成方法がわからない場合や時間がない場合は、弁護士・税理士・行政書士などの専門家に依頼するのが良いでしょう。

4-3.⑧相続登記

不動産の名義変更は、相続登記をすることにより登記上の持ち主の情報が変更されます。
登記は義務ではありませんが、第三者に対して「この土地は○○(名義人)のものだ」ということを、公に主張することができます。

また、不動産登記をきちんと行っていないと、その後に代々発生する相続において処理が複雑になってしまう恐れがあります。

相続登記については期限はありませんが、遺産分割が終わり不動産を相続する人が決まったら、早めに行うのが良いでしょう。

相続登記を行うには、申請書の作成や様々な書類集めなど時間と手間が必要になります。
法務局に直接聞いたり、インターネットで調べるなどして自分で行うことは可能ですが、登記の専門家である司法書士に一任すれば、簡単に確実に終えることができます。

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不動産登記小さい 

5.10ヶ月以内にやるべきこと

5-1.⑨相続税の申告・納付

確定した遺産分割の内容から、各相続人の相続税を計算し申告書を作成します。 ただし、相続税の申告は全ての相続に必要なわけではなく、相続財産が基礎控除額以下である場合には不要です。
基礎控除額は、「3,000万円+法定相続人×600万円」によって計算され、法定相続人の人数ごとに次の通りになります。

相続人の人数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

また、申告と同時に納税もする必要があります。相続税の納付は現金一括納付が原則ですが、それが難しい場合に一定の要件を満たせば、延納または物納という納税方法を選択することができます。
延納とは現金で分割して納める方法で、物納とは現金に替わる物によって納める方法です。

5-2.期限は10ヶ月以内

税務署に作成した相続税申告書を提出し、納税を済ませたら相続税手続きは完了です。
この申告納付は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなくてはなりません。 例えば、相続開始日が6/20だった場合の期限は4/20となり、4/20が土日祝日の場合には、その翌日が期限になります。

期限を過ぎてしまうと、罰金の意味で延滞税や加算税がプラスされ、税金がどんどん高額になってしまうので注意しましょう。

6.相続手続きのポイント

6-1.間に合わないときは概算で申告納税

相続税の計算は、遺産分割が完了しない限りできません。
相続トラブルが発生し裁判になるなどした場合に、遺産分割が終わらないからと何もしないまま申告期限を過ぎてしまうと、延滞税や加算税の対象となってしまいます。

このような場合には、とりあえず法定相続分で分割したと仮定した場合の申告書を提出し、仮定の相続税も納めてしまいます。
そしてその後、遺産分割が完了した時点で修正申告または更正の請求を行い、税額を清算すれば、無申告で期限を過ぎるよりもリスクを減らすことができます。

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6-2.税務署に相談する

準確定申告書や相続税申告書を自分で作成する場合に分からないことがある場合には、税務署に相談すると良いでしょう。担当職員が状況を聞き、申告書の作成を助けてくれます。
ただしこれは無料相談ですので、納税者側に立った節税相談などは期待してはいけません。

6-3.税理士に相談する

税理士兄と姉相続税の申告を行えるのは相続人と税理士だけです。
相続税申告には財産評価を行う必要があり、国税庁サイトにある評価方法の項目数は215項目におよびます。とてもではないですが、専門知識を持たない相続人だけですべて正確に記入できるものではありません。

もしも後々、申告に誤りがあったことが判明した場合には、相続税は税額が大きくなりやすく多額の延滞税などが発生してしまう可能性があります。また、相続税は他の税金に比べて税務調査が入りやすいという特徴もあります。

よって、相続税の納税と申告に関しては、税金の専門家である税理士に任せすることを強くおすすめします。

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6-4.弁護士に相談する

遺産分割で揉めた場合などは弁護士の出番です。
専門知識のない人達が一度揉めてしまうと、話し合いが堂々巡りになってしまい、いつまでも結論にたどり着けないという状態になる場合があります。 ここに法律の専門家である弁護士が介入することで、中立な立場から解決に導いてもらえます。

まとめ

一連の相続手続きの中には、準確定申告や相続税申告、相続放棄など期限が重要なものがあります。この期限を過ぎてしまうと罰金が必要になったり、手続きができなくなってしまいますので要注意です。

家族が亡くなった悲しみの中で、このような手続きのことなど考えられないとは思いますが、期限へのカウントダウンは相続開始と同時に始まっているのです。

相続税手続きは、専門知識のない人が全て行うことは難しい場合が多いです。税理士などの専門家、それも相続に関して豊富な経験のある「相続に強い税理士」に依頼すると安心です。

【参考】各種手続きの相談先

相続や相続税などの手続きについて、わからないとき、どこに相談すれば良いか、まとめていますので、下記をご参照ください。

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