1.鎌ヶ谷市の相続税申告の特徴
鎌ヶ谷市は千葉県の北西部、東京都心から25キロメートル圏内に位置し、21.08キロメートルの市域の中に約11万人が暮らす、コンパクトな住宅都市です。
都心からほど近いにもかかわらず、北総台地の上にあることから気候が良く、さわやかな緑が広がっている点が魅力であり、住宅都市として人気を集めています。
東京都に近いことから、地価の高さと居住者の所得の高さが予想されますが、実際の相続税申告はどのような状況なのでしょうか。
今回は、鎌ヶ谷市の相続税申告について詳しく解説していきます。
1-1.管轄エリア内での鎌ヶ谷市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、鎌ヶ谷市を管轄している松戸税務署の申告割合は12.96%、課税割合は9.90%、1件当たり納付税額は1,895万円となっています。
鎌ヶ谷市のみのこれらの数値は公表されておらず、松戸税務署は鎌ヶ谷市以外にも流山市と松戸市を管轄しています。上記の数値はこれら3市の平均値となります。
いずれの市も首都圏のベッドタウンとして機能していますが、鎌ヶ谷市よりも流山市と松戸市の方が東京都心に近いため地価が高く、都心への通勤者する高所得者も多いと予想できることから、3市の中において鎌ヶ谷市は、最も相続税課税が少ない市であると考えられます。
1-2.鎌ヶ谷市と千葉県・全国平均との相続税申告状況比較
次に、千葉県と全国の平均値を見てみましょう。
申告割合 | 課税割合 | 1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
千葉南税務署 管轄エリア | 12.96% | 9.90% | 1,895万円 |
千葉県 | 11.06% | 8.50% | 1,395万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万円 |
松戸税務署の申告割合12.96%、課税割合9.90%、1件当たり納付税額1,895万円と比較すると、割合ではいずれも1%以上上回っており、さらに納付税額も大きく上回っています。
管轄エリア内の3市の中において、鎌ヶ谷市が最も相続税課税が起こりにくい市ではありますが、鎌ヶ谷市は、全国的に見ると相当上位にランクインすると考えられます。
さらに、納付税額も高額になりやすいエリアであるため、生前対策が非常に重要です。
2.鎌ヶ谷市の特徴
鎌ヶ谷市の魅力は、首都圏へのアクセスの良さと豊かな緑です。
市内に通る鉄道は、東武野田線(東武アーバンパークライン)、新京成線、北総線、成田スカイアクセス線と4路線もあり、交通網が非常に発達しています。
ターミナル駅となる新鎌ヶ谷駅から成田スカイアクセス線を利用した場合には、浅草や日本橋へ30分程度で行けてしまう利便性の高さであり、また幹線道路が縦横に通っているため、車でのお出かけにも不便がないことが、住宅都市として発展している理由となっています。
しかし、街として発展しながらも豊かな農地や緑はしっかりと守られており、梨の名産地としても全国的に知られています。イオンやアクロスモールなどの大規模なショッピングモールがある新鎌ヶ谷駅から程近い場所にも、梨狩りができる観光農園があるほどです。
2-1.子育て世代に人気のベッドタウン
東京都に隣接しているわけではありませんが、充実した交通網の整備によって、都心まで30分程度で出られる利便性の高さ、子育て支援に力を入れている市政、公園など緑あふれる街並み、十分な商業施設があることなどが子育て世代の需要とマッチし、人口増加に繋がっています。
ただ、都心で働く高所得者層はいると考えられますが、高齢化率は28.60%で全国平均並みであること、高級住宅街はないことから、相続税が課される可能性が高くなる条件は揃っていません。
2-2.中心地は「新鎌ヶ谷駅」
鎌ヶ谷市の中心地として機能しているのは、市の中央北部にある新鎌ヶ谷駅周辺です。
新鎌ヶ谷駅は、東武野田線、新京成線、北総線、成田スカイアクセス線の4路線が乗り入れているターミナル駅であり、東西南北どの方向にも行くことができます。
駅周辺には、市役所や銀行、郵便局などが揃い、徒歩3分先にはショッピングモール「アクロスモール新鎌ケ谷」、「イオン鎌ヶ谷店」があり、日常品の買い物やレジャー、子供の習い事まで賄うことができます。
新鎌ケ谷駅より規模は小さくなりますが、初富駅と鎌ケ谷駅周辺も同様に、生活に必要な施設が集約され、コンパクトシティの機能を支えています。
2-3.鎌ヶ谷市の地価
鎌ヶ谷市の地価は1㎡あたり11万円で、県内54位中10位となっており、都心から25キロメートル圏内にあることを考えると、思ったより低いという印象です。
最も高い地点は新鎌ヶ谷駅周辺で1㎡あたり19万円、次は、初富駅と鎌ケ谷駅周辺でいずれも11万円となっており、新鎌ヶ谷駅周辺の発展度が分かります。
中心部から離れるほど地価は下がっていき、最も低い地点は西白井の1㎡6万円となっています。
松戸税務署の同じ管轄内にある松戸市と流山市の地価は、いずれも1㎡あたり18万円となっており、少し東京都から離れるだけで7万円も地価が下がる鎌ヶ谷市は、お得にマイホームを建てることができるエリアといえるでしょう。
鎌ヶ谷市を都心のベッドタウンとして利用する通勤者の多くは、より便利な新鎌ヶ谷駅周辺に居住していると考えられます。新鎌ヶ谷駅周辺の地価は市内でも飛び抜けて高くなっているため、相続税が課税される可能性が高いエリアです。
3.鎌ヶ谷市の税理士情報
千葉県の税理士は、千葉県税理士会に所属しており、その税理士登録者数は2,546人(令和3年12月末日現在)となっています。
税理士会は、エリアごとに支部が枝分かれしており、鎌ヶ谷市の税理士が所属しているのは、千葉県税理士会の松戸支部になります。
松戸支部には350人の税理士が所属しており、そのうち鎌ヶ谷市に事務所を置いている税理士は、約1割の39人です。
その他の内訳は、松戸市255人、流山市56人、柏市4人、野田市1人となっています。
松戸支部の相続税申告件数に対する税理士数を計算すると、相続税申告1件当たりの税理士数は0.37人となります。
全国平均は1.9人であり、鎌ヶ谷市は非常に税理士が不足している状況にあります。
ただ、千葉県の平均は0.36人となっており、税理士不足は千葉県全体の問題です。
3-1.鎌ヶ谷市の税理士の探し方
鎌ヶ谷市には39人の税理士がいますが、全員が相続税に強い税理士ではないと推測されます。
相続税申告は、作成する税理士によって税額が変わるといわれているほど繊細な税金です。相続税に強い税理士と、そうではない税理士とでは、場合によっては数百万円の差が出ることもあり得るのです。
したがって、鎌ヶ谷市の税理士探しはその優れた交通利便性を活用して、千葉県とともに東京都も並行して行いましょう。
【参考サイト】「税理士登録者数」 | 日本税理士会連合会、千葉県税理士会、千葉県税理士会 松戸支部