1．習志野市の相続税申告の特徴
習志野市は千葉県の北西部、東京都に程近い位置にあります。北西側は船橋市、北東側は八千代市、南東部は千葉市に隣接し、南西部は東京湾に面しています。
市域は20.97平方キロメートルで、県内2番目に面積が小さい市です。その中に鉄道4路線と、主要幹線道路が集中しており、どこに行くにも利便性抜群のロケーションであることから、東京都と千葉市を中心としたベッドタウンとして発展しています。
それでは、今回は習志野市の相続税申告について、土地柄を交えながら解説していきます。
2．習志野市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、習志野市を管轄している千葉西税務署の申告割合は13.45%、課税割合は9.99%、1件当たり納付税額は1,283万円となっています。
しかし、千葉西税務署の管轄エリアは、習志野市、八千代市、千葉市の花見川区、稲毛区、美浜区の一部であるため、この数値は2市3区の平均値ということになり、習志野市のみから算出された結果ではない点に注意しなければなりません。
ただ、この2市3区の地価は、12万円から18万円の間に収まっており、千葉県内の地価ランキング全54位中において、すべてが10位以内に入っています。
つまり千葉西税務署エリアについては、その管轄全域の地価が高いため、課税割合に大差はないと考えられ、習志野市単体での数値も管轄エリアの平均値に近いものになるでしょう。
千葉県と全国の平均からもみてみましょう。
千葉県では、申告割合11.06%、課税割合8.50%、1件当たり納付税額1,395万円、全国では、申告割合10.71%、課税割合8.35%、納付税額1,714万円となっています。
全国47都道府県中における千葉県の課税割合の順位は9位と高い位置にあるうえ、さらに、県の平均値を超えている習志野市は、相続税の課税が発生する可能性が高いということになります。
| 申告割合 | 課税割合 | 1件当り 納付税額 | |
|---|---|---|---|
| 千葉西税務署エリア | 13.45% | 9.99% | 1,283万円 |
| 千葉県平均 | 11.06% | 8.50% | 1,395万円 |
| 全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万円 |
3．習志野市の特徴
習志野市は、明治時代には軍事施設が集中する軍都として活用された市です。現在はその跡地を利用して商業地や学校、病院、住宅地が建てられ、治安の良い閑静な文教都市へと進化しています。東京都や千葉市へ通勤通学する人達のベッドタウンとして発展しており、狭い市域にもかかわらず約17万人の人口を擁しています。
市内には、JR総武快速線、総武緩行線・京葉線、武蔵野線、京成本線、京成千葉線、新京成線が通り、道路も京葉道路、東関東自動車道、千葉街道などの主要幹線道路が通っています。どこへ行くにも不便がない交通網が発達しており、東京都駅までは最短28分、成田空港までも直通で行くことができる交通アクセスの良さが最大の魅力です。
3-1．内陸部は都市的な住宅地
習志野市は下総台地の端に位置しており、海岸部から内陸部にかけての高低差が大きくなっています。湾岸部は昔からの住宅地、内陸部は都市化が進んでいるエリアで、特にJR津田沼駅周辺では、近くに残されていた約35ヘクタールという広大な農地を住宅地として転換し、新興住宅地が続々と誕生しています。
大型商業施設も集中しており、日常の買い物やレジャーに困ることはありません。
また学校や学習塾も集まる文教地区でもあり、近年では盛んにマンション建設が行われ、子育て中のファミリー世帯の人気を集めています。
3-2．海岸部は昔ながらの住宅地
習志野市の湾岸部は、広大な遠浅の海岸を埋め立てたエリアとなっており、住宅地や商工業地が広がっています。
袖ヶ浦団地、秋津団地は、公団などの大型住宅団地となっており、典型的なベッドタウンの景観が広がります。
また千葉県民が住みたい街ナンバーワンの「幕張新都心」は、美浜区と習志野市にまたがって位置しています。新都心として計画的に開発された新都心で、大規模な高層オフィスビルやタワーマンションが林立し、習志野市の富裕層の居住地となっています。
埋め立てられた土地の中に、不思議と一部だけ干潟があります。ここは「谷津干潟」といい、ラムサール条約の登録湿地に認定された干潟で、渡り鳥の重要な中継飛来地として保護されています。餌となるカニや魚もたくさん生息しており、都市の近くに貴重な自然観察ができる環境があることも習志野市の魅力です。
3-3．習志野市の地価
習志野市の地価は1㎡あたり18万円で、県内54位中6位の高さに位置しています。
市内で最も高いエリアは津田沼駅周辺で、1㎡あたり39万円と平均の倍以上の金額となっています。その他、幕張新都心の25万円、谷津の20万円が平均を上回るエリアです。
地価が高く、上昇傾向にあるエリアは鉄道路線が複数ある市の西部に集中しており、東部にいくほど交通の便が悪くなり地価も低下しています。
しかし、最下位の実籾エリアでも地価は1㎡あたり11万円となっており、県内順位に当てはめると前54位中10位に位置します。習志野市には極端に地価が低いエリアはありません。
また前述した通り、千葉西税務署が管轄している2市3区の地価は、千葉市の花見川区が1㎡あたり14万円、稲毛区16万円、美浜区16万円、八千代市12万円とすべてが高く、平均値を下げるエリアはありません。
千葉西税務署の課税割合が高い理由となっています。
3-4．富裕層は幕張新都心に居住
習志野市は県内でも世帯へ金収入が高く、経済的に余裕がある人が多く居住しており、集合住宅や一般的な戸建ての中にも、ちらほら大きな戸建てがあります。
ただ、都心部にいるような超富裕層というよりは、大手企業に勤めている高所得サラリーマン層が多く、大豪邸が並ぶ高級住宅街はありません。
また、このあたりに居住している富裕層の多くは、千葉県民憧れの幕張新都心の高級マンションやタワーマンションに住んでいると考えられます。住所としては美浜区になるかもしれませんが、相続税の課税には、最も注意したいエリアになります。
4．習志野市の税理士情報
千葉県の税理士は千葉県税理士会に所属しており、その税理士登録者数は2,546人（令和3年12月末日現在）で、そのうち千葉県税理士会千葉西支部において習志野市に事務所を置いている税理士は80人となっています。
千葉西支部は千葉西税務署と同じ2市3区をエリアとしており、習志野市以外では美浜区21人、花見川区75人。稲毛区5人（3区合計101人）、八千代市67人となっています。
多くの支部では、中心となる市に税理士の大半が集中していることが多いですが、千葉西支部の場合には税理士の分布に大きな偏りがないのが特徴です。
千葉西税務署の相続税申告件数は761件であったことから、千葉西支部の税理士数248人に対する相続税申告1件当たりの税理士数は0.32人となり、全国平均の1.9人と比較すると税理士が不足している状態にあるといえます。
税理士の中には法人や個人事業主の月次顧問を主としている人も多いことから、相続税に強い税理士数に限定して計算すると、かなり少ない数値になるでしょう。
4-1．習志野市の税理士の探し方
それでは、習志野市ではどのように税理士を探したらよいのでしょうか。
まずは習志野市の立地を考えてみましょう。
南側に隣接している千葉市は県の中心都市であり、特に中央区は税理士探しの第一候補になるでしょう。
次に北側の船橋市は、課税割合が10.98%と高いことから、相続税に強い税理士が多いと考えられます。
そして、船橋市を挟んだ西隣になる市川市と浦安市は、高級住宅地の代名詞になるほど富裕層が多く居住しているエリアであり、課税割合は13.84%と県内断トップを誇ります。その分、レベルの高い相続税申告をこなしている税理士が多いでしょう。
ただ千葉県の場合には、習志野市に限らず県全体が税理士不足の状況にあります。近隣の市だけでは、相続税に強い税理士に出会えない可能性も考慮しておかなければなりません。
そこで習志野市の抜群の交通アクセスを利用しましょう。東京都内の税理士も候補に入れて税理士探しを行うことで、相続税に強い税理士に出会える可能性が格段に上がります。